内田 美智子さん/豊かに生きるために大切なことを伝えたい。

内田 美智子(うちだ みちこ)さん
『内田産婦人科医院』助産師、
思春期保健相談士
1957年大分県生まれ。国立小倉病院付属看護助産学校助産師科卒業。1988年、行橋市で産婦人科医の夫とともに父の『内田産婦人科医院』を継ぐ。院内で子育て支援『U遊キッズ』を主宰するほか、「いのち」「子育て」「食育」などをテーマに全国で講演活動を展開。九州思春期研究会事務局長、福岡県家庭教育アドバイザー。著書は「いのちをいただく」「ここ─食卓から始まる生教育」など。

豊かに生きるために大切なことを伝えたい。

助産師歴30年、2700人の新しい命の誕生に関わってきた内田美智子さん。「生まれてきて、生き続けることは奇跡の連続だと知ってほしい」と年間200回の講演活動を行い、命の尊さを伝え続けている。

いのちをいただきつないで、育む
大分県の小さな町で育ち、産婆さんは憧れの存在だった。自宅出産が主流の時代、町中の女性から頼りにされ、道端でもよろず相談を受ける姿を見て、「あんなおせっかい役になりたい」と、中学から助産師を志した。

27歳で産婦人科医の夫と結婚。夫婦で父の病院を継ぎ、3人の子育てをしながら仕事を続けた。ママ友達から避妊や育児の相談を受けたことをきっかけに、少しずつ人前で話す機会が増えた。その後、口コミで評判が伝わり、全国各地の学校や団体から講演を依頼されるようになった。

20年間携わる思春期の子どもの相談では、食の影響力を実感してきた。寂しい思いを抱える子どもの共通点は、食事をおざなりにしていること。「働いているから忙しくてできないというのは、親の甘えにすぎない」と言い切る。

「生きる基本は食です。どんなに口で子どもに愛を伝えても、子どもは親が何をしているかすごいアンテナで見ているんですよ。コンビニ弁当やインスタント食品が並ぶ食卓で、自分が大切にされていると思うでしょうか」。

幼少期にたくさん抱っこされ、家族で食卓を囲んでいる子どもは、大きな問題を起こすことは少ない。子どもたちは、親が「面倒くさい」を「忙しい」にすり替えていることを見抜き、愛されていないと感じるのだ。親から子どもの相談を受けたときは、「温かいご飯を作ってあげればいいですよ」と話している。

女性にしかできない世界で一番素敵な仕事
素敵な女性になるためには、やはり食が大事。健やかな美しさは、内面からつくられる。外面を着飾る前に、口から入るものにもっと気を配るべきだ。「まずは、毎日使う調味料を変えること」と、できるだけ添加物の摂取を減らすアドバイスをしている。

女性の社会進出とともに進む晩婚化。「結婚適齢期はないけれど、出産適齢期はある」と内田さんは語る。働く女性は、つい仕事を優先してしまいがち。それが本望であれば構わないが、もし母親になってみたいと思うなら、自分の気持ちに素直にアクションを起こしてほしい。卵子の数は年々減っていくため、一日も早い出産をすすめている。

「出会いを待っていてはダメ。自ら動いて努力しなくちゃ!願いは口に出したほうが叶うんです。口に十と書くでしょう」。

出産後の社会復帰について相談されることも多い。長期間の産休・育休を心配する女性に、力強いエールを送る。「出産で仕事にブランクができても、大丈夫。リハビリは必要かもしれないけれど、それ以上に大きなものを得て社会復帰できると思います。子どもを産むということは女性にしかできないこと。母親になるって、すごく素敵なことなんですよ」。

命と向き合う仕事を通して、人として大切なことを率直に伝える内田さん。大切で、手間暇かけるべきところに時間を費やす。そんなシンプルな生き方が人生の土壌を耕し、幸せを育むことに気づかせてくれる。

written by 編集部