年の瀬に多いのは…

「まじっ…?!」

マユは、すすっていたラーメン丼を思わず落としてしまいそうになった。
TVでは、コンビニ強盗の犯人が現行犯逮捕されたニュースを女子アナが早口で伝えている。

容疑者は何とマユの同棲相手のヒロシ。

2日前の夜。実家の母から珍しく電話がかかってきた。
マユの母親は、家計のやりくりなんてほとんど出来ないルーズなタイプ。
マユは、社会人になったばかりの頃、母から「迷惑かけないから、ちょっと貸してくれないかな」と頼まれ、マユが作った5枚のクレジットカードのうち2枚を渡したことをすっかり忘れていた。

母は、マユに無断でカードを使い、ローンやキャッシングをした結果、借金が200万近い金額に膨らんでいたのだ。
当然、責任はマユにある。
おまけにマユの母は何とかしようと自分名義の借金も作ってしまい…。

とにかく実家には督促の郵便や取立てのこわい電話がドンドンかかってきて、母は電話してきたのだった。 
「俺がどうにかする」って横で話を聞いてたヒロシが真面目な表情だったのがマユには怖かった。

ヒロシが逮捕された翌日。
ヒロシの事件を担当するという弁護士の事務所に行くマユの足取りは重かった。
優しそうな女性弁護士だったので、ちょっと驚き、少しホッとした。

「年の瀬が近まると、どうしても強盗の事件が増えるんですよ。犯罪を犯してしまうくらいなら私たち弁護士に借金のこと相談に来て下さったらいいのに~って残念なんです…」と小さくため息をついたようにマユには見えた。

弁護士によれば、最悪“破産”したからって勤務先にも当然には連絡もいかず、借金は帳消しに出来ること、マユみたいに毎月のお給料があれば、分割払いの方法を掛け合ってくれたり、債務の一部を払えば残りは免除してもらうという方法も採れるらしい。

「ヒロシの馬鹿…」。

涙をふきながらマユは借金の問題解決を弁護士に依頼することにした。

 

written by haruta