パートナーと入籍していない母。男性に万一のことがあった場合の母の生活が心配です。

女手ひとつで私を育ててくれた母は、現在は仕事を定年退職し、男性と結婚式をあげて第二の人生をおくっています。母はその男性と入籍するつもりがないようなので、男性に万一のことがあった場合の、母のその後の生活が心配です。

パートナーと入籍をしない予定の、お母様の生活へのご心配ですね。

まず、遺族厚生・共済年金等(遺族基礎年金は原則として18歳未満の子がいることが必要です)は、内縁の妻であっても支給を受けられる可能性があります。入籍をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあること、生計維持・生計同一関係があるなど、一定の受給資格を満たす場合であれば、内縁の妻であっても年金受給がありえます。

もっとも、男性に戸籍上の妻がいる場合(重婚的内縁関係)には、戸籍上の妻との婚姻関係の実態が全く無くなっていることなども条件となります。なお、お母様がご自身の老齢年金を受給される場合には、併給調整があります。

お母様の年金受給権をより確実にするためには、住民票上同一世帯として続柄を妻(未届)とする、男性の健康保険の扶養に入る、生計を同一にするなどされておくとよいと思います。

相続権は、内縁の妻には認められません。このような場合に、男性がお母様に財産を遺すためには、生前贈与・死因贈与・遺言による遺贈という方法が考えられます。

贈与税は非課税率が少なく税率も高いことを考えると、死因贈与(生前に死因贈与契約を結んで行います。不動産では取得税がかかります。)や遺贈(遺言にその旨を記載して行います)が利用しやすいかもしれませんが、死因贈与・遺贈による場合も、内縁の妻の税額は、入籍をしている妻と比べて割高になります(2割加算)。詳しくは専門家へご相談ください。

なお、先々の争いの余地を少なくし、作成した書類の保管に悩まなくてよいためには、公証人役場で公正証書を作成されるとよいと思います。

ほか、民間の生命保険を利用することも考えられます。ただし、保険会社によっては戸籍上の妻しか加入できないこともあります。また、生命保険金を受給したのちに全額が課税対象となる(法定相続人に認められている非課税枠を使えない)というデメリットもありますので、よく説明を聞いてから加入をするようにしてください。

答えてくれたのは・・・郷田 真樹 先生

愛媛県出身。愛媛大学法文学部卒業、九州大学大学院法学府修士課程修了(基礎法学)。民間企業勤務を経て、2000年から当事務所に入所。53期。女性の権利に関する問題、医療過誤(患者側)、労働問題(労働者側)、薬害C型肝炎訴訟に主に関わってきた。仕事を通じて、「どんな時でも、どんな人でも、ふたたび歩き始める力がある」という思いを強くしている。最近のお気に入りは、福岡ハカセの『動的平衡』。

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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。