マタハラって?

もうすぐ3月。街の空気は春めいている。
ウララの頬もピンク色に紅潮している。
なぜなら、お腹にベビーがいるって産婦人科の医師から告げられたから。

さっそくタクヤに知らせると、「そっか。いよいよ俺たちも結婚だな…」と少し緊張していた様子がおかしかった。

あとは…会社だよね…。

4月からは、ウララがチームマネージャーとして、新商品の開発プロジェクトが動き出すことになっている。
全てが上手くいっていた。本当に。課長に妊娠を伝えるまでは―。

課長は、ウララからの報告を聞き、一呼吸をおくと、こう言った。

「おめでとう。でも、うちの会社は産休、認めてないから。チームマネージャーも、別の人を急いで選び直さないとな。」。

えっ?これって何?
妊娠・出産したら、役職降ろされるの?産休とれないってどういうこと?
そういえば、会社に入って4年目。ウララの先輩女子は、妊娠をきっかけに辞めていってたっけ…。

でも、このプロジェクトは、ウララにとっては、ようやく巡ってきたチャンスだったし、準備も頑張ってきた。体力にも自信があった。なのに、なのに…。

翌週。ウララは親友が雑誌に載ってたと教えてくれた弁護士に相談に行った。つわりなのか気分が悪かった。

春を先取りした弁護士のリップカラーが今日のウララには眩しく見えた。
弁護士は「それってマタハラですね~」と説明を始めた。マタニティ・ハラスメントといって、妊娠・出産を理由に仕事を続けにくくされることを指す言葉らしい。

「産休は法律で取得できるんだから、大丈夫。予め、上司に、“★月★日から★月★日まで産休に入ります”と伝え、時期が来たら“産休を取得します”と言って休みましょう。」
「つわりだって、酷くて、お医者さんから仕事を休むようにと指導が入るほどだったら、会社にその旨伝えて休むことだって出来るんですよ」…。

弁護士は、他にも、妊娠・出産だけを理由に降格させることも出来ない、って教えてくれた。ウララはホッとして涙がこぼれそうだった。

私、母親になるんだ!そう思うと、弁護士から教えてもらったことを一つずつクリアーしてみようっと勇気がちょっぴり出た気がする。
ウララは、法律事務所からの帰り道、母子手帳をもらいに市役所に行くことにした。

written by haruta