徳田和嘉子さん/会社の要は、やはり人。 社員一人ひとりの成長が 会社の成長につながるから。

徳田和嘉子さん
株式会社 CROSS  FM  代表取締役社長
(ネクスト・キャピタル・パートナーズ株式会社 マネジャー)
1983年茨城県生まれ。東京大学在学中に教育ベンチャーの起業に携わり、『東大生が教える!超暗記術』を出版。2008年ゴールドマン・サックス証券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に従事。環境エネルギーの事業会社を経て、2011年『ネクスト・キャピタル・パートナーズ株式会社』入社。2012年から『株式会社 CROSS  FM』に出向。

会社の要は、やはり人。社員一人ひとりの成長が会社の成長につながるから。

2013年6月、29歳の若さで福岡の放送局『株式会社 CROSS FM』の社長に就任した徳田さん。気取ったところがなく、「会社に早く溶け込みたくて、1日1回笑いを取ろうとしたこともあるけど、失敗しました」と屈託のない笑顔で話す。

話を聞くことで苦境を突破

4人兄弟の一番上で、小さな頃から姉御肌。高校時代はバスケに明け暮れ、東京大学在学中に出版した本が日韓で14万部のベストセラーに。卒業後は8カ月かけて、世界一周未来の夫探しの旅に出るなど、ユニークな経歴の持ち主だ。

帰国後に就職した外資系の金融機関では、数字を追う激務に心身のバランスを崩し1年で退社。今の『ネクスト・キャピタル・パートナーズ株式会社』に入社したのが27歳のときだった。同社は、地方の中小企業の再建をメインとする投資会社。投資先に出資や助言をするだけでなく、社員を出向させて、相手の社員と共に会社を立て直す手法が特徴的だ。

徳田さんは28歳で『株式会社 CROSS FM』へ派遣され、社長室長として経営から営業、人事まで幅広く携わることに。当時、社員20人は全員年上。「若い女性に何ができるんだとすごく警戒され、社内で完全に孤立していましたね。夜は社外のおつき合いで飲むことが多く、深夜に帰宅すると毎晩のように泣いていました。海外を旅したときは、言葉の通じない外国人ともすぐ友達になれたのに、日本人と心が通わないなんて…と」。でも、へこたれはしない。社員一人ひとりに根気強く声をかけ、一緒にご飯を食べることから始めた。「その方の仕事内容や会社への想い、趣味などを聞くことで、会社の現状や社員のことをよく知り、その後の接し方や人事に活かしました」。コミュニケーションを取ると、徐々に信頼関係もできた。

キャリアのピークは60歳でいい

副社長を経て2013年、29歳で社長に。日本の放送メディアで、20代の女性がトップになるのは初めてだ。だが、本人に気負いはない。「どこでもどんな立場でも、人として礼儀さえ忘れなければ、身構えることはない」ときっぱり。ただし、管理職という立場は強く意識してきた。「社員のいいところや想いを引き出し、それが活かせる環境にするのが管理職の役割。社員の成長が会社の成長につながるのだから」と力を込める。管理職になることをためらう女性が多い現状に「ポジションが人を作ってくれる。誰かのマネではなく、自分らしいリーダーシップでいいと思う」と穏やかに語る。

長年、減収減益だった同社は、徳田さんが副社長に就任して半年で減収増益に転じ、その後は増収増益が続いている。経営が軌道に乗れば、徳田さんのミッションは完了だ。「会社は成長ステージに入りました。自立に向けて、私の権限をどんどん委譲しているところです」。

プライベートでは、27歳で出会った年上の日本人と2年前に結婚。「いずれは子どもがほしいし、仕事も続けたい。私、女性のキャリアプランのピークは60歳くらいでいいと思っているんです。憧れの緒方貞子さんが国連難民高等弁務官になられたのも60歳を過ぎてからですし。すべてはめぐり合わせ。いいことも悪いことも臆することなく受け入れつつ、焦らず自分のペースを守っていきたい」。

written by 編集部