なでしこ百花繚乱

「女性活躍」という言葉が躍る世の中。全国で企業での管理職やリーダー的立場の女性も徐々に増えてはいるものの「管理職」という役職やリーダーという立場にしり込みする人も少なくない。その背景にはどんな理由が?今月は働く女性たちの仕事・昇進に関するホンネや、女性の能力を活かして実績を上げる企業、日々悩みながらもやりがいを求めてがんばる女性たちを紹介します。

組織で働く女性たちのホンネ

管理職やリーダー的立場になることが期待されている女性たち。でも肝心の私たち、働く女性の気持ちはどうだろう? アンケートで聞いてみました。
※このアンケートで言うリーダー・管理職の定義は、「役職に限らずマネジメント・教育する部下や後輩社員がいること」

「リーダーを目指したい・関心がある」人と「目指したくない」人は同率。「分からない」と答えた層が一番多く、キャリアに関する迷いがみえる。

「自信のなさ」と「今以上に仕事を増やしたくない」気持ちが同率でトップ。

2位と僅差だが、「上司・職場の理解や支援がない」「ロールモデルがいない」「自身のライフスタイルとのバランス」がやや多い。このあたりが三大悩みどころか。

\仕事で譲れないのは【給与】よりも【成長】 働く女性たちは、仕事に「成長」を求めている/
第1位は【自分が成長できること】。そして【給与額】【休日・残業・勤務時間】【希望する仕事ができる】と条件面の項目が続く。給与や勤務条件はもちろんだが、それ以上に自分自身の成長を大切にしたい女性達が多いことがわかった。

<avanti働く女性研究所調べ>
●調査期間2014年11月27日〜12月5日  ●n=94  ●年齢/25〜29歳9.1%、30~34歳20.5%、35〜39歳15.9%、40〜44歳15.9%、45〜49歳11.4%、50歳以上27.3%●職種/事務38.5%、営業20.9%、販売4.7%、接客4.7%、専門職27.9%、その他2.3%  ●結婚/未婚43.2%、既婚38.6%、経験有り未婚18.2%


『大変だからしなくていいよ』
「家庭があるから、女性だから…」と異動や出張、研修、新規事業などの機会を与えられない
→女性社員の気持ち:私、成長したいんです
●気を遣ってくれているのかもしれないけれど、男性社員と同様に仕事を割り振ってもらいたい。
●なぜ女性というだけで公平にチャンスを与えてもらえないのか?

『子育て中だから、定型業務がいいよね』
育児短縮勤務を理由に簡単な業務しか任せられない、子育て中は周囲に迷惑をかけると思われている
→女性社員の気持ち:両立のために工夫をしているんです
●公平に仕事を付与してほしいのに。
●やりがいをもって、がんばっていたのに…子育て中とひとくくりで見るのではなく、仕事ぶりをちゃんと見てほしい。

『Aさんは残業しているのに、あなたはしない』
残業していないことが、評価面談時に評価が低い理由になる
→女性社員の気持ち:私の働き方や成果をみてほしい
●長時間労働が可能な人の評価が高いのが現実。時間当たりの生産性の高さで評価してもらえないのはむなしい。

©2014 女性の大活躍推進福岡県会議「女性管理職ネットワーク(WE-Net福岡1期生)」“女性活躍競争がはじまった! 上司力をぐっと高めるその「ひと言」”より抜粋ホームページ http://www.we-project.jp/

前向きに働く女性は、仕事で「成長」を求めている。彼女たちが成長できる「リーダー・管理職」という立場で輝くためには、本人の意識はもちろんだが、上司やトップの理解、職場風土作り、周囲の支援が大事。地元の企業やリーダーたちの実例をみてみよう。

 

経営者の判断と現場の努力で今、女性の力が伸びている企業が福岡にも増えつつあります。その取り組みと実績をご紹介。

柔軟な働き方を認めて業績も拡大。勤務地や時間を調整し、社員復帰した女性も。
株式会社カクマル

測量用材の総合メーカーとして創業54年。基準点鋲の製造や加工といった男性社会となりがちな業種ながら、現在32名いる社員のうち女性は約1/3を占める10名(現在産休中1名)。勤続年数20年以上、製品の加工を専門とする女性社員や、総務課長も女性、と社員一人ひとりの能力や特性に合わせた人”財”登用を実現。その姿勢は、「女性活用」が叫ばれるずっと前から続いている。「男女ともフェアな環境のもとで、全員が自分のできることに取組み、成果をあげられるような職場を目指しています」。代表取締役・曽根田馨さんは語る。

過去にはこんな事例も。18年間勤めていた女性の営業課長が、結婚を機に東京へ行くこととなり退社。引越し先で「主婦業と両立できるパートを探す」という彼女に「それなら東京で営業課長として再度働いてほしい」と曽根田さんが提案した。週2・3回勤務という働き方を認め、東京在住の社員として職場復帰した。「これまで彼女が培ってきた経験や管理職としての能力を失うよりも、勤務体系や勤務地を調整することで働き続けてもらえるならば、それを選択しない理由はありません」と語る。実際は想定以上のメリットもあった。公共事業に必要とされる用材を扱う仕事柄、国や各省庁とのやりとりも多い同社では東京への出張も多かったが、彼女の存在のおかげで出張のコストが減り、さらに受注も拡大。「社員全員の希望や能力を集約して、成果をあげる方向へとマネジメントするのがトップの役目」と、成果主義を貫く姿勢と女性活躍とが相反しないことを証明している。

『株式会社カクマル』 代表取締役曽根田 馨さん

変革・決断ポイント

適材適所で女性を活かす
営業部隊最前線である営業販売課に8人の女性社員を配置。「全国からの注文や問合せ・見積り依頼のすべてに対応するため、女性ならではの細やかさや物腰の柔らかさが如何なく発揮されています」。

仕事時間ではなく“成果”と“質”を評価
成果主義と適切な“人財”登用の両立を可能にしているのが、会社独自の人事考課表。仕事の質・生産性・目標を達成できたかどうかを評価する仕組みで、18年前から活用している。

株式会社カクマル
業種/測量用材製造卸販売業
TEL/092-851-5656
従業員数/32名(男女比69%:31%)
住所/福岡市城南区別府3-17-17
URL/http://kakumaru.jp/
管理職男女比/80%:20%

 

まずは自分を好きになり、自分と皆を信じて前向きに決断していこう。

「うちに入らんね」。印刷会社を営む義父のひと言から、38歳の時、『(株)オー・エー企画』の取締役になった入江恵美さん。夫と義兄は別の仕事をしており、”嫁”の入江さんに白羽の矢が立ったのだ。

突然の人事のため、当初は自分の立ち位置がつかめず悩んだが、やがて気持ちを切り替えた。トップダウン型から自走型の組織へ転換を図るべく、それまでになかった部門長やマネージャー職等を設置。さらに報告・連絡・相談を徹底して、コミュニケーションを密にしたら、皆が主体的に動くようになり、組織としての成長が加速した。「スピーディな意思決定を心がけています」と語るが、実は自身の決断が正しかったのか振り返り心が揺れることもあるそう。「だからこそ自分を高めるため、常にアンテナと人脈を広げ、貪欲に柔軟に学んでく毎日です」。

入江 恵美さん
株式会社オー・エー企画代表取締役専務
大学卒業後、広告会社の営業としてバリバリ働く。30歳の時、結婚のため退社。専業主婦が性に合わず、1カ月で再スタート。いくつかの仕事を経て、2006年『(株)オー・エー企画』に入社。


私なりのリーダーズポイント
明るい雰囲気を作り、思いは言葉にする
いつも明るく楽しく笑顔でいるように心がけています。私の表情ひとつで、社内の空気が変わってしまうので。そして「あなたならできる」「期待しているよ」などと、自分の思いをしっかり伝えます。

早く決断し的確な指示をする
何か相談されたら、迷わずに判断するのもリーダーとして意識しているポイントです。リーダーの仕事は、決めることですから。ただし、もっとその人自身に考えてほしい場合は、そう話します。

 

 


 

「女性活躍」とはいうけれど、女性の活躍の場が増えればどんなメリットがあるのか? トップや上司はそこが気になるところ。ダイバーシティ経営研究の第一人者である渥美由喜さんに聞きました。

株式会社東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部 部長兼主席コンサルタント
渥美 由喜さん
2人の息子を育てるイクメンであり、父親の介護にもかかわるダイバーシティ研究の第一人者。自身の経験をベースに「ライフ」と「ワーク」をともに充実させる施策や提言を国や企業に向け活発に行っている。

ポイント1 率先して女性を抜擢する上司は、抜擢しない上司の10倍の確率で役員まで出世している
顧客企業十数社で行った調査です。理由は2つあると思います。1つは性差関係なく優秀な人を抜擢できる公正な目があること、もう1つは部下を応援することができ、部下からも慕われていること。男性上司の皆さんは自分の椅子を奪われるかも、なんて思わずどんどん女性部下を抜擢したほうがいいです。度量が広い上司ほど、実は自分も出世できるのですから。

ポイント2 女性役員が1人以上いると、企業の破綻確率が2割減る
英国の17000社を対象とした調査結果です。経営陣が男性ばかりだとハイリスクハイリターンな方針を選択する傾向が強くなります。多面的な判断をする女性役員が入ると視点が堅実になるため、海外のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)  先進企業にはCSR、コンプライアンス、法務、人事に関する部門に女性担当役員が多く配置されています。
※「ダイバーシティ&インクルージョン」とは、性差や国籍の違い、障がいの有無を超えて多様性を受け容れ、違いを尊重しつつ活用する取組み。組織の競争優位性を高める「成長戦略」として注目される。
(2008年 英国リーズ大学Credit Management  Research Centre)

ポイント3 女性の管理職登用は、企業の不祥事を防ぐ
業種別に見て女性管理職割合、また時間外労働がワースト25%以内の企業では、一般企業の3倍近い確率、またワースト5%以内の企業では、一般企業の20倍近い確率で不祥事が発生しています。逆に女性管理職割合が高く、時間外労働が少ない企業ほど、不祥事が発生している率は下がる傾向にあります。ワーク・ライフで言えば、ライフでの経験が豊富な社員は一般市民や消費者としての常識をよくわきまえており、組織が倫理上、正しいことをしているかどうか心のチェック機能が働き、不祥事の抑止力になるのです。

 

人生も仕事も前向きにがんばる女性メンター18人から、後輩へのエールやリーダーのやりがいについて聞きました。

福岡県の女性管理職ネットワーク「WE-Net」
福岡県内に事業所がある企業・団体の課長・部長級の女性管理職からなる管理職ネットワークで、 企業・団体から1名を推薦して参加できる。管理職として自己研鑽や次世代の育成に繋がることを共に学び、お互いに支え合う仲間と出会えるネットワーク。
●任期・定員/1年間・1期ごとに会員を入れ替え、各期30~40名
※問合せはホームページよりhttp://www.we-project.jp/

アヴァンティ働く女性研究所
「前向き女子&若手リーダー」コミュニティも発足!
2014年12月から、将来のキャリアを前向きに捉える20~40代の女性や管理職として活動している女性のためのコミュニティができました。定期的に名刺交換会やリーダー研修などの活動を行っていきます。
登録はこちらからhttp://www.e-avanti.com/labo

written by 編集部