残業代、ちゃんと払われている?

運送会社に勤務していますが、残業代が少なすぎます。会社に尋ねると、「うちは残業代は定額で払っている。実際の残業時間より多く払っているから問題ない」と言います。給料明細では、基本給と残業代の区別がありますが、残業代の計算根拠は教えてくれません。

会社の主張は、予め残業代を定額として支給する「固定残業代」だということですね。法は、残業代は労働時間に対応して支払うことを義務づけており、定額で支払う場合は例外にあたり、厳密な要件を満たさない限り、違法で無効です。が、安易な導入が横行し、残業代不払の温床になっています。

定額の支払が許される要件は、判例によれば、
①定額とする合意や就業規則があること
②割増賃金の部分が区別できること
③残業時間と残業代が明示され計算可能なこと
④定額分の時間を超えた分の差額の清算が明記されていること

等です。計算方法が分からないなら、③の要件を満たしません。

では、正しく残業代が払われているのか計算してみましょう。残業代は、最低でも、1日8時間を超える部分は25%、深夜帯(22時~5時)は50%の割増賃金となります。

単価計算の元にするのは、「基本給」に限らないので要注意です。色々な手当を設けて、見かけの基本給を低くする手法で、残業代が不当に低く計算されないよう、法令が特に定めた手当以外は計算の基礎に含めます。除外できるのは、通勤手当、住宅手当、家族手当、賞与などに限られ、これらは名称ではなく、実態で判断されます。
例えば、いくら名称が「通勤手当」「家族手当」でも、通勤距離や扶養家族の人数に関係なく一律に支給される場合は、計算基礎から除外できず、「基本給」などと同様に扱います。

また、運送業に関しては、荷積み待機時間が労働時間なのか休憩なのかが争われることがあります。指揮命令下にあるのか、つまり労働から離れる自由が保障されているかで区別され、実作業に従事していなくても労働時間にあたる可能性があります。

残業代の請求には、2年間の時効がありますので、ご注意ください。

答えてくれたのは・・・相原 わかば 先生

首都圏と北海道を行き来して育ち、一橋大法学部卒。2006年、北海道から現事務所に入所。省エネ・脱使い捨て社会に関心があり、楽しく実践しているつもり。寒冷地仕様の体ながらクーラーも不要。物持ちもにも自信あり。

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女性協同法律事務所について

「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。