原田 康平さん/リノベーションで交流型の宿泊施設を開業。 門司港をゆったり楽しむ新しい拠点に。

原田 康平(はらだこうへい)さん
TunneL(トゥネル) オーナー
福岡県北九州市出身。九州国際大学法学部卒業。実家の旅館業を経て、門司港でカフェを経営。2005年輸入家具店、2011年ドーナツ店『汽笛ドーナツ』をオープン。2015年5月ゲストハウス『TunneL(トゥネル)』を開業。

原田さんへ3つの質問

Q.この仕事に向いている人は?
A.人と話すことが好きな人。

Q.あなたのバイブルは?
A.繰り返し読むバイブルのようなものはないですね。常に新しい情報に触れるようにしています。

Q.あなたのメンターは?
A.人に学ぶというより、自分自身が体験を通して学んだこと、過去の経験に学びます。

リノベーションで交流型の宿泊施設を開業。門司港をゆったり楽しむ新しい拠点に。

半世紀以上前のモダンで粋なしつらえ、タイムトリップしたようなレトロ感。今年5月門司港にオープンした『トゥネル』は、長年空き家だった元旅館を改築したゲストハウスだ。「門司港に泊まって、ゆっくりとまちの魅力を感じてもらいたい」と語るオーナーの原田康平さん。九州と本州とつなぐ関門トンネル口の路地に、新たな拠点を生み出した。

ボロボロだけどかっこいい建物

小倉出身の原田さんが、門司港で仕事を始めたのは約20年前。カフェに勤務し、その後、経営を任されることになった。カフェの隣の古いビルが空くと、そこで輸入家具店を創業。中心街から少し離れた西海岸に、人が訪れる流れができた。4年前にはドーナツ店もオープン。かわいい店構えと素朴なおいしさが人気を集めた。

ゲストハウスとなる建物に出合ったのは5年前。知人からおもしろい場所があると紹介され、見せてもらった。「建物はボロボロだったけれど、すごくかっこよかった。ここでいずれ何かやってみたいと思いました」。

当時はドーナツ店の開業準備で忙しく、見学だけにとどまった。ゲストハウスの構想が生まれたのは、それから数年後。門司港の魅力を伝えたい気持ち、実家の旅館業を手伝っていたときの経験、いろいろな人との出会いが重なり合って、アイデアが形になっていった。

門司港は海外からの旅行客も多いが、平均滞在時間は半日に満たない。歴史的な建築物だけではなく、海峡を行き交う船を眺めたり、昔ながらの商店街を散策したり、夜景を楽しんだり。多様な過ごし方を提案したいと原田さんは考えていた。「宿があると拠点ができるので、そこで情報を発信していきたいと思ったんです」。

心地よい交流のつなぎ役に

当初は1階だけ営業する予定だったが、築67年の木造3階建てすべてを改築し、複合的な施設にする計画に発展した。資金の一部は、一般の人から広く募るクラウドファンディングで集めた。半年がかりで改築し、1階は宿泊施設、2階は週末のみオープンするショップを入れた。3階のオフィスは現在改築中だ。

交流型のゲストハウスは、全国的にも増えている。相部屋と個室を備えた簡易宿所であるため宿泊料が安く、共有スペースで交流や情報収集ができることもメリットだ。 原田さんはゲストハウス業に専念するため、今年7月にドーナツ店を閉めた。「お客さん同士で交流するためには、何かきっかけが必要。自分がいつもここに居て、つなぎ役になれたらと思います。地元の人や入居者も、楽しく過ごせる場所にしていきたいですね」。

古いものを生かし、新しい価値を創造し続ける原田さん。本来持っている良さを大切に、ほどよい加工と気配りを添え、心地よい空間を育んでいく。

written by 編集部