会社の懇親会で抱きついてくる上司

会社の上司が、懇親会で盛り上がったときに、皆で抱きついたり、肩を抱き寄せたりするので、私はちょっと気持ちが引いてしまいます。その場は我慢していたのですが、去年の忘年会で、上司が酔ってわたしに抱きついてきて、おまけにその様子を後輩の男性社員が写真にとってFBに投稿してしまいました。

懇親会のとき以外は職場の人間関係も良く働きやすいのですが、今回はさすがに頭にきています。しかし同じように抱きつかれていた同僚の女性のKさんは何も気にしてないようで、私一人があれこれ言いだすのもどうかと思い悩んでいます。いっそのこと懇親会なんかなければ良いのにと思いますが、そうもいきません。私は我慢するしかないのでしょうか。


普段は働きやすいのに、お酒の席の雰囲気がイマイチで、それに乗じてか、上司がいささか度を超えた身体接触をしてきた、さらに不本意にも写真も撮られ、ネットにアップするような軽率な後輩もいる、なのに社内でも特に問題にもされず、同じ女性のKさんとも受け止め方が異なり、まるで自分が過敏すぎるようにも思えてともかく不愉快極まりない?多くの方が経験する職場での悩みですね。

法的にはあなたの感じている不愉快さは、セクシュアルハラスメントによる被害だといえます。少なくとも上司が抱きつき、周囲が止めるどころか写真に撮るなど、いわば囃し立てる行為をするというのは、懇親会の席上であっても裁判では違法性が認められる程度に達していると思います。

このような場合には、まずは味方を作りましょう。

同僚のKさんにもあなたの気持ちを伝え、同じ感じ方でなくともあなたは嫌だと感じていることを理解してもらいます。Kさん以外にも理解してくれる人を増やせるといいですね。

最近の裁判では、「職場の新人歓迎会の二次会のカラオケで、男性社員が女性社員を抱き上げたためにスカートがずり上がった」という事案で、福岡地方裁判所は二次会での出来事であっても会社の責任も認めています。

そもそもお酒が入る懇親会は苦手という人も、実は多いかもしれません。職場の人間関係は、飲酒や「盛り上がるバカ騒ぎ」もある懇親会によって維持されている、というのは錯覚であることが多く、夜の懇親会が必須というわけではありません。これまでの男性社会の慣習を引きずっている部分が多いといえますから、一度、ランチ形式を提案してみるのはどうでしょうか。実際に子育て中の人も参加しやすいランチ部会が好評だというニュースもあります。

なお、人の写真を勝手にネットにアップする行為も肖像権の侵害として損害賠償の対象となります。

懇親会だから、職場で親しいから、などの甘えは通りません。

職場の人間関係は、私的なものではないということを誰もが理解した上で、信頼や親しさを作っていける理想の職場を目指せるといいですね。

答えてくれたのは・・・松浦 恭子 先生

松浦 恭子 先生
修猷館高校、九州大学卒。44期。松坂法律事務所を経て1994年に現事務所に入所。弁護士登録以来、薬害HIV,薬害肝炎事件などの集団訴訟に携わりながら、子どもの権利に関する事件に一貫して関与している。特にセクシュアルハラスメント事件や性被害、DV被害の事件を多数手がける。 趣味は、図書館や美術館巡り、エレクトーンなど。あこがれの山登りや一人旅にも行きたいと考えている。

女性協同法律事務所

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女性協同法律事務所について

「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。