物忘れが多い父。将来の病院費や施設費を父の預貯金から使っても大丈夫ですか?

最近、父の物忘れが急に増えてきたような気がします。将来は私が介護する予定ですが、病院や施設にかかる費用を父の預貯金から支払っていいのでしょうか?

柏熊 志薫 先生
東京都出身。早稲田大学法学部、同大学大学院、中央大学法科大学院卒。新60期。誠実かつ丁寧に一つひとつの案件に取り組むことをモットーとしている。案件が解決したときに依頼者の方々が見せる笑顔が何よりの励み。好きな食べ物は、納豆とチョコレート。 趣味は、旅行と写真。

 


家庭裁判所に監督してもらいながら、お父さんの財産を適切に管理できるようにするための制度があります。

預貯金は名義人本人の了解(委任)がなければ家族であっても、金融機関は払い戻しに応じないと考えられます。ところが、実際に病院や施設にかかる費用を支払う必要が生じたとき、お父さんは認知症などで委任してもらうのは難しいでしょう。そういう事態を想定して、法律はさまざまな制度を用意しています。

現在、お父さんに自分の財産を守る能力(判断能力)がある場合には、「任意後見契約」を締結することができます。任意後見契約は、
①公正証書にしておき、
②後で判断能力が低下したときに、
家庭裁判所で任意後見監督人(任意後見人の業務を監督する人)を選任してもらってはじめて、本人に代わって財産管理が出来たり生活や介護のために必要な手続きすることができるという制度です。

もし、既にお父さんの判断能力が著しく低下している場合には、家庭裁判所に対して「後見開始の審判」を申立て、あなたを成年後見人に選任してもらうこともできます。なお、判断能力の低下の程度に応じて、成年後見のほかに、保佐と補助がありますが、これらは本人に代わって出来る事務の範囲などに違いがあります。

どちらも家庭裁判所に監督してもらいながら、お父さんの財産を適切に管理できるようにするための制度です。誰が財産管理をしていくか親族間で争いがある場合には弁護士を後見人にすることもできます。お父さんの老後を安心して見守れるようにしましょう。

 

女性協同法律事務所
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TEL 092-751-8222
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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。