未払い賃金はどうしたらいいの?

勤務先から「不況で経営が苦しい」と言って、賃金を少ししか支払ってもらえていません。
また「管理職だから」と言って残業代ももらえていません。
これは仕方がないことなのでしょうか。


郷田 真樹 先生
愛媛県出身。愛媛大学法文学部卒業、九州大学大学院法学府修士課程修了(基礎法学)。民間企業勤務を経て、2000年から当事務所に入所。53期。
女性の権利に関する問題、医療過誤(患者側)、労働問題(労働者側)、薬害C型肝炎訴訟に主に関わってきた。仕事を通じて、「どんな時でも、どんな人でも、ふたたび歩き始める力がある」という思いを強くしている。最近のお気に入りは、福岡ハカセの『動的平衡』。

 

そのようなことはありません。
賃金請求権は、労働者(管理職も労働者です)の最も基本的な権利であり、労働基準法は、これを厚く保護しています。
使用者は、経営難であっても賃金を支払わなくてはなりません。

時間外労働(残業・休日労働)についても、使用者は労働者に対して、原則として残業代金を支払う義務がありますし、労働基準法の定める労働時間(1日8時間・1週40時間)を超える残業については賃金の25%以上、休日労働については賃金の35%以上などの割増賃金を支払う必要もあります。

以上のような未払賃金・残業代を請求するために裁判手続を要する際には、未払い額と同額の「付加金」も請求できます。

賃金や残業代を請求する場合には、どのように賃金が計算されているのかがわかる資料(給与規定・給与明細・タイムカードなどのご自身の勤務時間などを証明する資料など)を集める必要があります。勤務先が、これらの資料を破棄・改ざんしてしまうおそれが高い場合には、裁判所の人たちに予告無しに勤務先へ出向いてもらい、その場で証拠を集めてもらう「証拠保全」という手続きもあります。

どのような請求をされる場合にも、証拠資料が最も重要となりますから、直接勤務先との交渉を始められる前に、弁護士などの専門家に御相談をされておくことをお勧めします。

なお、「管理職」の方については、労働基準法上、残業代の請求はできないものとされていますが、残業代のがれのための「名ばかり管理職」という問題があります。職務の内容・権限・責任、出・退勤の自由、地位にふさわしい待遇などからみて、実質的に管理職の地位にあると言えない場合には、たとえ管理職の肩書きを与えられている場合であっても、残業代請求が認められる例は多くあります。肩書きだけであきらめられず専門家に御相談ください。

以上のような賃金請求権には時効があり、原則として2年間で権利が消滅してしまいますので、お早めに相談などをされることをおすすめします。

 

女性協同法律事務所
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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。