入江恭子さん/すばやい決断と行動が 時代の荒波を越える力に

「自分から “変えよう” としたことはない。いつでも向こうから変化が訪れた」天神の街の変遷と共に歩んできた『株式会社入江商店・茶舗いり江豊香園』の社長、入江恭子さんはそう笑顔で語る。

『株式会社入江商店』は、父が昭和22年、現在の天神1丁目に創業した会社だ。学校を卒業後、同社に入社した入江さんは、『茶舗いり江豊香園』と同時に、コーヒー専門の喫茶店『谷間』の営業も手掛けた。「当時の客層は50代以上。客単価も低かった」。そこで若い人に好まれるスタイルを追求し、当時珍しかった全面ガラス張りの店舗に改装。純喫茶店からパーラー風にして一気に売り上げを伸ばした。入江さんが持っていたのは時代の変化を読む判断力と、素早い行動力、決断力だけだ。喫茶事業の転換期に当たった際は、世界的なチェーン店としての出店を検討したものの時期が合わず、喫茶事業自体をやめた。こうした思い切った転換や時代に合った事業の刷新は、しばしば父に反対され、幾度となくぶつかりあった。茶舗も天神の開発と共に数度にわたって移転を余儀なくされ、一時は店舗を縮小し、宅配業務に切り替えた時期もある。だがその後中央区舞鶴に建設した自社ビルで、お茶の店舗販売を再開した。

50歳を前に、二代目として会社を引き継いだ直後は、人員不足で疲弊し果てたこともあった。だがそんな中にあっても「辞めたい」と思ったことは一度もない。「困難を背負って立つのが好きな性分もあるし、必死だったのもある」と入江さん。現在は家族が入社し、これから先の希望がつながったため気持ちも明るくなった。子育て、高齢になった父母の世話、会社の事業と何足ものわらじを履いてきた自分を「欲張りなのかも」と振り返る。「それもまわりの協力があったからこそできたこと」。今後は家族と共に、新たに会社の歴史を紡いでいく。

『株式会社 入江商店』代表取締役
入江 恭子さん

福岡市出身。1947年に父が創業した『株式会社入江商店』を幼少時より手伝う。短大卒業後、1966年入社。以降祖父・父の下で会社・店舗運営に関わる。天神の街の変遷とともに、数度にわたって店舗移転や事業の拡大縮小を余儀なくされるも、柔軟に時代の波を乗り越え、会社を支え続ける。1999年に代表取締役に就任。2007年に中央区舞鶴に自社ビルを新築し、店舗営業を再開。独自のブレンド茶を中心とした商品の店頭販売、インターネット通販を行っている。

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▲1.舞鶴2丁目に建つ『茶舗いり江豊香園』。先代より引き継いだおいしいお茶づくりや、真心こもった接客を提供している。

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▲ 2.「誰が淹れてもおいしく飲めるように」と先代がオリジナルで開発した「いり江豊香園特製かりがね茶」は、口コミで全国にその人気を広げている。

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▲ 3.玉露や高級煎茶の茎と抹茶を独自にブレンドした「かりがね茶」。ふわっとした。さわやかな甘み、深い色合いが特徴だ。


株式会社入江商店
茶舗いり江豊香園

福岡市中央区舞鶴2-8-12 舞鶴いり江ビル1F
http://www.cha-irie.com/
TEL/[free]0120-47-1188
営/9:00〜19:00
休/土・日曜、祝日

written by 編集部