「新しい方式による養育費・婚姻費用算定表」

新しい婚姻費用の算定表があると聞いたのですが、これまでの算定表と、なにが違うのですか?

日本弁護士連合会が作成した、より実態にみあった、きめ細やかな算定を目指した算定表です。

前回お伝えしたように、現在、家庭裁判所では、婚姻費用の金額を算定するにあたり、「養育費・婚姻費用簡易算定表」という参考資料を広く活用しています。

けれども、この簡易算定表には問題点があると長く指摘されていました。

たとえば、現在の簡易算定表では、実際の収入から、税金・社会保険料(公租公課)、仕事の際に必要となる費用(職業費)、住居関係費や保険掛金(特別経費)などを経費として差し引き、実際に手元に残ると考えられるお金(基礎収入)を計算し、そこから一定割合で婚姻費用を算出する、という考え方をとっています。

しかし、この「経費」が、本当にかかっている経費より高く設定されると思われることが多く、実際の収支の実情と比べて、計算上の基礎収入が低く見積もられてしまう傾向にありました。

また、基礎収入から一定割合で婚姻費用を算出するときに、子どもの年齢を0〜14歳、15歳以上の2つに大別した計算が用いられていますが、未就学児と中学生では、実際に養育にかかる費用は異なるため、計算と生活実態とが、かけ離れてしまうということも多かったのです。

こうした現在の簡易算定表の問題点を改善するため、日本弁護士連合会は、「新しい方式による養育費・婚姻費用算定表」を発表し、①収入から差し引かれる経費を実態に合わせて見直し、その結果、基礎収入が高くなる、②分担額算定にあたっては生子どもの年齢と世帯人数に応じてきめ細やかに分類する、という方式を提言しました。

この、「新しい方式による養育費・婚姻費用算定表」は、インターネットで見ることもできます。

もっとも、まだ家庭裁判所において、この算定表を用いた運用が開始されている訳ではありません。

今は、たくさんの人達・弁護士達が、実際の事案で、この新方式の算定表の利用を求めて積極的に主張をしていく経過のなかで、何れ、裁判所の運用に変化がみられるかもしれないという過渡期にある、というのが現状です。

答えてくれたのは・・・柏熊 志薫 先生

東京都出身。早稲田大学法学部、同大学大学院、中央大学法科大学院卒。新60期。誠実かつ丁寧に一つひとつの案件に取り組むことをモットーとしている。案件が解決したときに依頼者の方々が見せる笑顔が何よりの励み。好きな食べ物は、納豆とチョコレート。 趣味は、旅行と写真。

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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。