11/11(土)・12(日) 『ゴジゲン』松居大悟&目次立樹Specialインタビュー!

「くれなずめ」

 北九州市・若松区出身の若手映画監督・松居大悟主宰の『ゴジゲン』が、約8年ぶりの北九州公演! 公演に先駆け、松居大悟(まついだいご)さん、目次立樹(めつぎりっき)さんがプレスインタビューに応えてくれました。

 ひとつひとつの質問に対して丁寧に真摯に応えていく2人の姿は、熱くてまっすぐ、でも不器用にしか生きられない…そんな日常を切り取る『ゴジゲン』の世界観を垣間見ているようでした。結成以前から日常を共にしてきた2人ならではの関係性や、そこから生まれる『ゴジゲン』の舞台制作秘話に迫ります。

『ゴジゲン』第14回公演「くれなずめ」

ゴジゲン ポスター

[公演情報]
作・演出:
 
松居大悟
出演者: 
奥村徹也、東迎昂史郎、松居大悟、目次立樹、本折最強さとし、善雄善雄
日程:
11月11日(土)14:00開演/18:00開演★アフターイベント有
11月12日(日)14:00開演
会場: 
北九州芸術劇場 小劇場
料金: 
一般3,000円、高校生〔的〕チケット1,000円(枚数限定・劇場窓口・前売のみ取扱)*全席自由 *当日300円増 *未就学児入場不可

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『ゴジゲン』松居大悟さん・目次立樹さんのプレスインタビュー全公開!

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―物語に込められた意味は?

松居大悟 チラシのビジュアルで気付いた方もいると思うんですが、「くれなずめ」は、結婚式のお話にしようと思っています。結婚式の披露宴と二次会の間ってなんか変な時間になるじゃないですか。移動時間含めてちょっと時間があって。その時間に放り出されると、一緒にいたやつらに向き合わないといけなくなって、へんな時間だけど、かけがえのない時間だし、人間性が出るなと思って。これは裏のテーマなんですけど、演劇をやってると居なくなっちゃうメIMG_8007ンバーも多くて。時間を止めることは出来ないけど、僕らの意思や感情で、存在や一番近い人の記憶を残すことはできると思ってて。

 “くれなずむ”っていうのは、太陽が沈みそうで沈まないギリギリの状態なんですけど、それを命令形にして、沈ませないようにするっていうか、「俺たちは失わせないぜ」というのをキャッチコピーにこめました。それを披露宴の後の時間を通して描けたらいいなと思います。

―ここ数年「ドキュメント」演劇を上演されていましたが、6年ぶりに「物語」を上演しようと思ったきっかけは?

松居大悟 『ゴジゲン』は3年間活動を休止していて、その間、映像などを手掛けていたんですが、やっぱり演劇やりたいなと思って目次君に連絡して、単純に楽しんでた頃の初期衝動を取り戻したいと思って作ったのが「ドキュメント」演劇でした。それを2回やって、そろそろ「物語」をちゃんとやりたいなと思ったんです。『ゴジゲン』に居る面白い劇団員と一緒に、物語とドキュメントの間みたいなことに挑戦したいなと思って。

―活動休止からドキュメント演劇が生まれたんですか?

松居大悟 活動休止前、僕は頭でっかちになっていて。「苦しまないといいものは生まれない」って役者さんに押し付けたり、ピリピリしたり、自分ひとりで作っていて。そうじゃなくて、みんなで作ってるんだって気付いてからは、稽古場で決めずにみんなの言いたいことだったり、出てきた表現が作品に反映されていくのが心地よくて、新鮮で。

IMG_8048目次立樹 『ゴジゲン』自体は順調に行ってたんですが、人間関係も含めてギリギリの状態で突き進んでました。その頃東日本大震災がきっかけで、僕は役者として活動してることに疑問を感じてしまって。それで島根で親父の米作りを手伝いながら農業をしていました。

 3年くらいたったある日の深夜、たぶん2時とか3時頃に松居君から「もう一度ゴジゲンやりたいんだ!」って、すごい熱い電話があって。僕はちょうどそのとき戯曲を読んでたんですよ。そのタイミングで、「じゃぁ…、農業が忙しくない冬だけならいいよ」って。翌日には松居君が劇場を押さえてて再開を余儀なく(笑)。

 そのとき作ったのが、メンバーがそれぞれ何をしていたのかっていうドキュメント演劇でした。

―休止前とは違っていましたか?

目次立樹 休止前は「ゴジゲンをどう有名にするか」がモチベーションだったんですけど、続けるためじゃなくて、ふっと力が抜けて、このメンバーとこの演劇をやりたいと純粋な部分で作品作りに取り組めるようになりました。

02IMG_7952松居大悟 僕らちょっとふしぎで、「面白い劇作ろうぜ!」みたいのがなくて、出会った面白い奴らと一緒に何かを産み出したいなって。だから、ガチガチのストーリーじゃなくて、この6人じゃなきゃ出来ない説得力っていうか、演劇じゃなくて、ライブともちょっと違って、調度良い言葉はなくて、それが「ゴジゲン」てことになんないかなぁって(笑)。

 お金を稼ぎたいとかだったら、演劇よりも儲かることはたくさんあるけど、僕にとっては『ゴジゲン』がすごく大切な場所なんです。そのメンバーじゃなきゃ生まれないものが僕にとっての総合芸術なのかなって思います。

―目次さんから見て、松居さんってどんな演劇人ですか?

IMG_8056目次立樹 いわゆる演出家って、イメージしやすいのはトップダウンの中で自分の世界観を役者なりスタッフなりに押し付けることが多いと思うんですけど、松居君の作品に僕は最初から出ていて、松居君はそういう演出家とは違うっていうか。役者が出来ないときはそうするときもありますけど、言葉で言うよりも、ちょっとヒントだけ与えて後は役者の成長を待つタイプの演出家でした。活動休止を挟んで、さらにその部分が大きくなりました。委ねる部分というか。

IMG_8032 ドキュメント演劇の場合は、稽古はじまってもなかなか松居君が作品を書いてこないんですよ。「3年間何やってたんだお前ら。じゃぁそれ書いてきてよ」って松居君以外の5人が書いてきて、じゃぁこれやってみようかって、文化祭の延長線みたいな感じで始めたんです。いつかは松居君が書いてくるだろうと思ってたんですけど、いつまでも書いてこないんですよ(笑)。それが休止後1本目の作品になりました。本当に、活動休止を挟んで“自分で作ろうとしない”の度合いが上がってますね。みんなで創作する、相乗効果っていうか相手を引き出すスキルは上がってる印象を受けます。

松居大悟 休止空けのときは、稽古始まるときにみんなの「どんな感じでやるの?」って待ちの感じがすごくて、それに腹立ってきて(笑)。俺の作品やるんじゃなくて、おまえらとやりたいんだよ俺は、って。

07IMG_8064 映像やってるときもずっとそうだったんですけど、最初に言っちゃうとみんな言うとおりに行動するというか、それってこの人とやる意味ないよなって。それ以上にみんなの意思とか本当に思ってることが出てきた方がその作品が有機的になるなぁと。みんな最初は“松居待ち”の状態だったんだけど、だんだん「あれこいつやばいぞ、本当に書かないぞ」ってなってからは理想の状態に近くなりました。

 台本は今も僕の頭の中にしかなくて、僕が台本を作ってしまうと、みんなそれに向かってしまうので。普段は役者をやってないメンバーもいるから、そいつが不利だし。テーマを散らせつかせながらみんなで作っていってます。

―舞台セットに関して構想は?

松居大悟 今回はどこからがセットかわかんない感じにしようって思っていて。前にも友だちん家で隠し芸の出し物を出し合う友だち同士みたいな感覚で、靴脱いで真ん中で劇をやるスタイルでやったんですけど。演劇始まるぞってなるとちょっと僕は緊張しちゃうので、いつはじまったかわかんない感じで劇をはじめたいなと。もともとは音楽が鳴って暗転、板付きでてのも好きだったんですけど、そこじゃないとこで僕らは戦いたいなと。

IMG_8002 どっからが役かわかんない、どっから客席かわかんない、でもいつの間にか物語の中に連れて行かれて、自分の知らなかった感情が出されてくるってのが僕ららしいし、それが一番お客さんにも伝わる気がして。なので、どっからか客席かわかんない感じでセットを作ろうとしています。

―8年ぶりに北九州での公演ですね、意気込みを!

松居大悟 8年前は劇団を結成してすぐだったし、がむしゃらで、自分の中でも記憶がないっていうか…無我夢中だったんですよね。北九州で公演をするという意識を持ってやるのは初めてかもしれません。30歳を超えてちょっとだけ俯瞰できるようになってきて。高塔山の麓に祖父の会社があって、かっぱの話とか若戸大橋とか、自分が生まれた場所とか景色とか匂いとか、その頃の地元の空気とか覚えてて。自分の生まれ育った若松の女子高生が東京を目指す物語を作ったりとか。

IMG_8039 届けるのは難しいけど、体温とか匂いとか描き、それが作品を作る上で大切だなと思ってて。今回は今までで一番体温を感じられる作品になると。僕が最初に演劇をやりたいと思った気持ちを忘れないように作りたいし、見に来てくれた人が、「なにかやりたいな」とか、「あの人に会いたいな」とか思ってもらえる作品にしたいなと思っています。

目次立樹 時を経てこうやって北九州で公演できるのが感慨深いです。ちょうど8年前くらい前は、若いエネルギーがみなぎっていた頃。その後、活動休止期間が3年くらいあって、これからゴジゲン10周年を見据えて、劇団のムードもその頃と似てると思います。僕らも30代になったので、心持ちはちょっと違うんですが、またこの地で公演ができるのを嬉しく思います。



ゴジゲン 
2008年に旗揚げ。独自の感性で、不器用にしか生きられないIMG_8099人々の日常を切り取ってきた。北九州での公演は2009年「たぶん犯人は父」以来、8年ぶりとなる。主宰の松居さんは北九州市若松区生まれ。2012年「アフロ田中」で映画監督としてもデビューした後、北九州市に暮らす女子高生たちのロードムービー「私たちのハァハァ」を発表。国内外で高い評価を受け、近年はミュージックビデオ作成やコラム連載など多岐に渡る活動を行う。目次さんは劇団旗揚げより、ゴジゲンの全ての作品に出演。昨年は北九州芸術劇場プロデュース公演「しなやか見渡す穴は森は雨」にも出演。


 

written by ライリー