【特集記事】結婚しないのと聞かないで

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50歳で一度も結婚をしたことがない人の割合を表す「生涯未婚率」。20年前からこの割合は男女ともに上昇を続けており、2015年の調査では、男性23%、女性14%で過去最高となった。予想ではこの先も10年以上、未婚率は上がり続ける計算だ。
今月は「結婚しない」かもしれない福岡の独身女性たちが感じていること、結婚しない選択をした場合の生き方について考えてみた。


女性のおよそ7人に1人が生涯未婚のいま、アラフォー世代で独身の女性たちはもはや珍しくない。
彼女たちのリアルを取材した。

仕事はできても恋愛ができない

「お前はいいかげん結婚せんのか?」

 サトコさん(38歳)が今月結婚する社員へ贈るお祝いの色紙を部長に渡すと、軽口が飛んできた。
「部長が残業ばかりさせるから出会うヒマないし!」

 事業部で数少ない女性の管理職である課長のサトコさんは盛大に泣キマネをしながら、「部長のセクハラだ、パワハラだ」と訴え、周囲を笑わせた。こういう自虐ネタなら、いくらでも持っている。
「人生、普通に生きて働いていたら、自然と結婚するものだと思っていたんですけどね…」 

 真面目に仕事していたら順調に昇進してしまい、部下や後輩からも慕われる存在となった。仕事は忙しいがやりがいはある。ただ、恋愛だけはさっぱりご無沙汰となった。

 先日、中期の出張先で久しぶりにタイプの男性に出会い、心ときめいたが、どうしてもきっかけが掴めずに終わった。「出張の最後の夜に、お疲れ様会をしてもらうというチャンスがあったのに無念です」

 もはや恋愛の始め方すら分からなくなっている。

1人でいる方が好き

派遣で事務のカオリさん(35歳)は、最近妹に子どもが生まれてホッとしている。両親が孫に夢中になり、カオリさんに結婚のことをうるさく言わなくなったからだ。
「孫の顔を見せてあげられない申し訳なさはあったけれど、これでひとまず大丈夫」 

 もともと一人で過ごすのが好きなタイプ。以前は交際した彼もいたが、束縛の強さに疲れ果て、別れて以来、もう5年ほど恋人はいない。
「一人でふらりと旅行に行ったり、自分の好きなことに時間とお金を使えるのが、とても楽です」

 派遣という不安定な立場で将来の経済的なことや老後のことを考えると、結婚していたほうがいいのかな、という不安もよぎる。だが、「仕事でも気を遣うのに、家に帰ってまで気を遣わなければならないかと思うと…」とどうしても出会いに積極的になれない自分がいる。

 同世代の独身の友人同士で飲むと、「このまま結婚しなかったら、みんなで近くに住んで助け合って暮らすのはどうよ?」という話になる。
「私、むしろそっちが現実的な気がしてきました」

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50回越えの戦いを経ても

ユキさん(36歳)は20代の頃から、実に50回以上の婚活パーティに参加して今の彼をゲットした努力の人だ。「『出会いがない』ってよく言いますけど、正直、自分で行動もしないで出会おうなんて甘い。ボヤく前に動けと言いたい」

 念願の彼を得て、週末は一緒に過ごす日々だが、ユキさんは最近不安を感じている。2日間を過ごしたあと、1人になった時の解放感がすごいのだ。
「毎日顔を合わせて一緒に暮らすなんて、果たして自分にできるのかとても不安。私、結婚に向いていないのかも…」

「結婚」に価値を見出せない

「人の気持ちのことだから止めないけどさ、リスクは覚悟しておいたほうがいいよ」

 前職の後輩の恋愛話を聞いていたユカさん(41歳)は心の中で「またか」と呟いた。
後輩の相手はユカさんもよく知る前職の上司だが既婚者だ。恋愛ネタが大好きなユカさんは、どこに行っても周辺の恋愛事情は一通り把握しており、悩み相談もよく受けるが、それにしてもこの手の話は多い。
そういうユカさんも、実は20代の時、既婚者と付き合った経験がある。

「転職で県外に引っ越したのを機に別れましたけど、そうじゃなかったら続いていたと思います」。
だから後輩の気持ちも分かるが、結局誰も幸せになれないことも知っている。

 ユカさんには今、付き合って7年になるバツイチ子持ちの彼がいる。もうすぐ成人する彼の息子とも仲がいい。
彼からは「一緒に住まないか?」と何度か言われ、事実上プロポーズをされているのだが、ユカさんはその度になんとなくはぐらかしている。

「なんで結婚しないの? とよく言われます。ひと言では難しいんですが、周りを見ていて、結婚がベストとは思えない、という気持ちはあるかも」


「結婚しないの?」と問われても、本人たちにもその答えはわからない。
日々の仕事や家族、友人関係の中で結婚する、しないの狭間で、揺れながら毎日を過ごしている。

written by 編集部