情報発信の手段は変わっても人と人がつながり、まちが息づく
働く女性に勇気や元気や希望を感じてもらえる情報誌を作りたいという思いで創刊したアヴァンティも25年目。月刊から季刊に変わって最初の今回、「アヴァンティ好き」を自認する読者のみなさんにお集まりいただきました。
SNSアドバイザー/ブロガー
竹村 玲奈さん
FB、インスタグラムなどSNSフォロワー5万人超え。女性起業家をはじめ、企業のSNS活用、運用アドバイスを行う。
15年NZ政府観光局、18年毎日新聞(タイ政府観光局協賛)の各企画に、インフルエンサーとして選出されている。現在4歳児の子育て中。
西日本鉄道(株)住宅事業本部勤務
櫻井 ちはるさん
大牟田在住。PTA役員歴17年。第32回福岡県女性研修の翼団員としてデンマークへ。月1回大牟田で開催する異業種交流の場「バーさくら」のママ。
アヴァンティ働く女性研究所のメンバーで「韓国好き女子部」の運営委員。3人の娘達は成人し夫と暮らす。
(株)Branches 代表取締役
権藤 光枝さん
福岡市内に保育園8カ所、運営受託保育園3カ所、訪問看護ステーション1カ所運営。
24歳で起業。子ども2人。
働く母親の視点に立った多様で柔軟な保育サービスを提供している。
09年第8回女性起業家大賞最優秀賞、10年第9回福岡県男女共同参画表彰(県民賞)受賞。
(株)アヴァンティ 代表取締役
村山 由香里
34歳で起業しアヴァンティを創刊。働く女性に「一歩前に出よう」とメッセージを続けている。
02年第1回全国商工会議所女性会連合会女性起業家大賞奨励賞、08年内閣府女性のチャレンジ賞等受賞。
10年より15年まで福岡県男女共同参画センターあすばる館長。
「アヴァンティに載る」のは夢だった
村山 アヴァンティは、読者とともに成長し、行動する地域情報誌を目指して創刊しました。
竹村 (当時の誌面を見ながら)わっ!髪型やメイクに時代を感じますね~!
権藤 特集もおもしろいですね。
竹村 若い転勤族の男性だけで「福岡の街」について座談会している号もありますね。
櫻井 こっちの号のタイトルは「福岡にはイイ男がいない!」。挑戦的!
村山 当時から、福岡は女子余りだったんですよ。福岡女性のナマの声を取材しながら、「時代」を感じさせる記事を目指してきました。1998年1月号の特集は、「幸せな結婚の鍵は家事男(かじお)にあり」。イクメンという言葉が生まれるずっと前です。アンケートや取材記事を載せて、「あなたはどう思う?」と読者に考えてもらう記事づくりを目指していました。
竹村 私は大学時代、2005年から09年までですが、西鉄天神駅のラックでアヴァンティを入手するのが楽しみでした。アヴァンティと日経ウーマンの2冊を持って、授業に出ていました。起業を目指していた私にとって、アヴァンティは憧れの女性の宝庫。皆さんの姿から大学では教わることのない生き方の指針を得ていました。
村山 大学生の心に刺さっていたんですね。それはうれしいなあ。
櫻井 私も大ファン!3年前の福岡県女性研修の翼に、村山さんが団長だったので即応募しました。今ではアヴァンティの社外セールスウーマンです(笑)。
権藤 私は「アヴァンティに載る!」が目標でした。手帳に書いていました。村山さんと出会ってしばらくして「27歳の頃」で取材依頼を受けたとき、「えーっ?」という驚きと「よしっ!」という気持ちでドキドキしました。
村山 権藤さんは弊社が出版した「私のstory」など単行本でも取材させていただきました。
権藤 自分のことを紹介するのに「これ、出てるんです」と言えるのでいいですね。それと、母がいちばん喜んでいます。
SNSは一人ひとりがメディアを持つこと
村山 竹村さんはSNSのフォロワーがすさまじい数ですが、始まりはどこから?
竹村 2009年、大学生の時、アロマとカウンセリングのサロンを始めました。「アメーバブログバブル」と言われた時代で、ブログで集客したら予約がいっぱいになったんです。大学生で、芸能人でもなく、しかも、地方で集客がうまくいったということで、この世界でちょっとフューチャーされて。大学に通いながら、週末は集客のための講演やコンサルのために出張するという生活になりました。
権藤、櫻井、村山 すごい!!
竹村 2011年にフェイスブック(FB)を始めると、1ヵ月半で友達が5000人になり、アメブロの時と同様に、FBの使い方や企業活動への導入方法など講演依頼がくるようになりました。
村山 私があすばる館長時代に、FBでものすごく集客できた頃ですね。2012年に男女共同参画センターと九州経済産業局や九州経済連合会と共催した女性活躍フォーラムでは、FBにイベントページを立ち上げて500人近く集めました。
櫻井 コツはあるんですか?
竹村 FBはコミュニケーションの場だと解釈して、画面の向こうにいる方を想像してていねいに返事を書いていたんです。人に教える時に特に力を入れるのは、好きに写真を撮って投稿すればいい、ではなく、何を伝えたいのか、テーマをちゃんと決めること。SNSは、一人ひとりがメディアを持つということです。自分をどう表現したいのか、自分の思いがどこにあって、何のためにこれを書いているのか自覚して運営することが大切です。
権藤 経営指針と似てますね。
村山 個人や企業がメディアを持つことで既存メディアに広告出稿が減り、情報発信の手段が全く変わったのがこの10年です。企業自ら、オウンドメディアやSNSなど、情報発信をがんばっています。
竹村 企業側もSNSなどWEBメディアを運営したいという気持ちは皆あるのですが、わからないといって専門業者に丸投げすることが少なくないんです。でも、企業のコアなコンテンツが外で作られると、情熱が薄まってしまう。運営できる人を自社で育てていくことが必要です。社員一人ひとりがインフルエンサーになる会社が出てきたらステキだと思います。
権藤 保育園でもできますね。当社のスタッフが仕事の楽しさとか、今日は「ここ頑張ったぁ!」なんてFBで発信してるって夢がありますね。
竹村 プライベートと仕事が分かれているんじゃなくて、生き方の同一線上にあることで、SNSの表現がもっと自由になるじゃないでしょうか。社員全員が自分らしさを開示しながら発信することで企業はより強くなっていくと感じています。
村山 人と人をつなぐのが地域情報誌の使命だと思ってイベントに力を入れてきましたが、つながる場づくりもSNSで誰もができるようになりました。櫻井さんは、まさに一人ピンで立って大牟田でネットワークづくりを始められましたね。
櫻井 宗像で友人が「バー洋子」という月1回、いろんな人が一品持ち寄りで集まる場を作っています。その暖簾分けということで、大牟田で「バーさくら」を始めました。集客はFBです。
村山 人と人がつながったら、大牟田でおもしろいことが起こりそうですね。
櫻井 まだ始めて数カ月ですが、そこで知り合われた方同士でビジネスにつながったりしているんですよ。
村山 人と人がつながるには、コアになる人、「つなぎ手」が重要です。つなぎ手がママなんですね。地方創生は人から。いまの時代は、気負わずさらりと何かを始めることができるのがスゴイですね。アヴァンティは、これからも、女性活躍とともに女性視点の地方創生に力を入れていきます。今日はありがとうございました。