香港の年金制度とは?【後編】

香港の人はどれぐらい保険を掛けている?

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前稿では日本の年金の仕組みと香港の年金の仕組みをお話しました。

香港では自分で運用するファンドを選択する自己責任の年金の仕組みでしたが、驚きの運用成果でしたね。

では、実際香港の人はどれくらい保険を掛けているのでしょうか?

とても興味深い記事がありましたのでご紹介します。

 

掛け金の金額をいくらに設定するのがよいか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

2018年1月3日付の香港「The Standard」の記事によると、香港の年金保険契約の半数を超えるシェアを誇るMassMutual Asiaの発表では、同社の保険契約者の毎月の保険料の平均はHKD5,600(約80,640円)となり、年代別では以下の通りでした。(1HKD=14.4円換算)

 

・20歳-29歳:HKD3,500(50,400円)/月

・30歳-39歳:HKD4,600(66,240円)/月

・40歳-49歳:HKD6,500(93,600円)/月

・50歳以上:HKD9,300(133,920円)/月

 

驚くことに、同社の年金保険の契約者数のうち、20代が全体の38%を占めているとのことです。日本に匹敵する長寿の香港でも、2000年から確定拠出型の年金制度MPF (Mandatory Provident Fund)がスタートしていますが、それに加えて若い世代ほど自分で年金保険に加入し、老後や将来の資金ニーズに備えていることがわかります。

 

この結果から見ても、若い世代の老後や将来の資金に対する意識の高さが分かります。では、なぜ香港の若い世代の人たちはこんなにも老後の資金準備の意識が高いのでしょうか?

それは、働き方と定年制度に関係があるようです。

 

香港の働き方と定年制度

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日本では、就職して会社に入ったら転職をせずに定年まで同じ会社で働く、終身雇用制度が長らく維持されてきました。同じ会社に勤め上げることこそが自分の仕事に責任を持ち、全うな人生の送り方だという考えが一般的だったのだと思います。

 

しかし、香港では「転職」に対する考え方が日本と全く違います。「香港」の人は、入社して数年経つと、大多数がキャリアアップ、給与アップを考えます。ある程度実力をつけたら、次の仕事を求め、会社を変わる事も厭わず転職します。当たり前のことですが、転職するということは責任や給与アップが条件となります。そうして自分の価値を高め、仕事をしていくのです。

 

ここで、日本人の方だと、一つ疑問が浮かびませんか?「あれ?そんなに転職して退職金はいいの?」と。基本的には一つの会社に居続けることを前提としていないので退職金は最初から想定していません。そのために、前項で述べたように年金を自分で用意して老後に備えるのです。

 それと、定年もありません。自分がまだ働けると判断し、会社が雇用してくれれば、何歳まででも仕事ができる環境です。

また、香港の街でよく見かける、レストランの配膳のおばさんやツアー会社の写真係りの人、街のゴミを掃除してくれるおじさんなど、70歳超えている人が多いのです。

いつまでも健康でいられればいいですが、いつ体調を崩すか分かりません。

 

みなさん、日本の年金の仕組みだけで十分だと安心してはいけません。老後を考え、将来の資金ニーズに備えて、自分で用意するという選択肢も考えてみましょう。

 

このコラムを書いた人は・・・

hasegawaCIO長谷川 建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB/ニッポン・ウエルス・リミテッド), CIO
NWBは、香港金融管理局より、銀行ライセンス(a Restricted Licence Bank)を認可された金融機関です

京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に移籍し、リテール部門マーケティング責任者、2009年からは国際部門でアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年にはNWBを創業し、COOに就き、20173月よりCIOを務める。