日本と香港の税制【後編】

さて、前項では個人に掛かる様々な税率に触れましたが、今回は法人税について書きます。

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法人税と聞くとあまり自分には関係ないように感じますが、国や地域の大きな税収の一つですし、企業活動の活性化や収益の増大は、様々な形で、企業からの分配として、個人所得に影響を与え、個人の消費や生活に繋がります。

 

そもそも法人税とは何でしょうか。法人税とは企業の利益に対して企業が納める税金のことです。日本では、年々減少傾向にあります(下図)がどれくらいの税率が課されているのでしょうか?

現在の日本の法人税

会社の資本金や売り上げの大小にもよりますが、法人税率は15%~23.4%です。かつては、一時、最高税率が43.3%まで上がった時期もありました。

法人税グラフ

                                                                                                                    ※財務省HPより

 

この表から見て取れるように、法人税率は、段階的に引き下げが続けられてきました。これは、国際的にもひとつのトレンドです。経済のグローバル化が進み、企業活動が、ボーダーレスとなってくると、国と国の間で、企業を誘致しよう、あるいはそれへの対抗として、企業を引きとめておこうとする流れが出てきました。そこで、各国間で、法人税率の引き下げを競うようになったのです。

加えて、日本で法人税を納めている企業は全体の約3割しかいないことも奇異に感じられる事実でしょう。企業の7割は法人税を納めていません。

理由はそれだけ「赤字」企業が多いからなのです。法人税は、法人の利益に対して課されます。したがって、赤字決算をしていれば、税金を払う必要がないのです。

これでは頑張って利益を出した企業が報われませんね。そこで基本税率を下げ、稼ぐ能力のある企業の税金負担を軽くして、新しい事業や人材確保、従業員への還元を促すようにしているのです。

その結果、新しい工場を設立して雇用が産まれたり、従業員の給与が上がったりと個人に還元されていくのです。

 

香港の法人税

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では、次に香港の法人税のお話です。香港での法人税は資本金や売り上げの大小に関わらず税率は16.5%です。

更には、2017年10月に発表された報道によると、実施時期は未定なものの、法人税の軽減税率の導入が検討されています。200万香港ドル(約2800万円)までの法人税の税率が、なんと8.25%まで引き下げられる予定です。

もともと香港の法人税率が16.5%と低い上に、軽減税率が導入されると、企業として手元に資金が残り、更に新しい事業を始めたり、従業員へ還元したりできますね。

そして、低税率な法人税は他国からも魅力的に映り、香港に法人を設立したり、香港で企業活動を行いたいという印象を持つ企業が世界中から香港にあつまり、国の税収が増えていく正のスパイラルが発生し続けているのです。

 

法人税をまとめたグラフになります。

 

法人税

日本

15%~23.4%

香港

16.5% (200万香港ドルまで8.25%米印時期未定)

 

 

これまで、税金と年金について連載してきましたが、改めて考えてみると日々様々な税金が課されていることに驚きますね。したが、それぞれの税金には意味があり必要なもの、ということも理解できましたね。

 

このコラムを書いた人は・・・

hasegawaCIO長谷川 建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB/ニッポン・ウエルス・リミテッド), CIO
NWBは、香港金融管理局より、銀行ライセンス(a Restricted Licence Bank)を認可された金融機関です

京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に移籍し、リテール部門マーケティング責任者、2009年からは国際部門でアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年にはNWBを創業し、COOに就き、20173月よりCIOを務める。