座談会「人権」について考える

座談会「人権」について考える

人権に関する身近な話題から、その大切さを皆さんとともに考えていくラジオ番組「明日への伝言板」。
今回は全30話のシナリオから気になるトピックスを元に、アヴァンティ読者の皆さんと人権について語り合いました。

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-「明日への伝言板」を聞いた感想を教えてください。

吉田:まず印象に残ったのが、「LGBT~ゲイバーを訪ねて~」という話です。身近にLGBTの方がいるわけではありませんが、障害のある方や国籍が違う方など、いろんな環境で育った人がいます。多様性を認め合える社会がいいな、と日頃から思っているのでこのテーマに惹かれました。
13年前にダイバーシティのセミナーを受けたことがあるのですが、当時はまだ言葉も浸透していなかったし、理想的だけど遠い話のような気がしていました。ここ1、2年で急速にダイバーシティの考え方が浸透してきて、いろんな個性を認め合おうとしてきたように思います。

舩越私の周りにもLGBTで悩んでいる人はいませんが、テレビでは女装したりゲイを公表したりしている人をよく見るようになり、かなり浸透してきたと思います。
3年前、サンフランシスコのカストロ地区に行ったことがあるんですよ。街のあちこちにレインボーの旗が立っていて、LGBTの街といわれているところです。確かに普通の街とは違う雰囲気でした。男性同士のカップルが歩いていて、それが普通に受け入れられている。そういう光景を見たときに、日本ではまだ先のことなんだろうなと思いました。確かに理解は進みましたが、実際にLGBTの人が近くにいたら、私もすごく気を遣うかもしれない。「LGBT~ゲイバーを訪ねて~」の話に出てきた人みたいに、一生懸命に理解しようってしまうんじゃないかな。「無理に理解する必要はないよ」とゲイの人から言われたように、もっと自然に受け入れることが大切なのかなと思いました。

吉田私は今、百貨店で企画の仕事をしています。ちょうど今年は20周年のキャンペーンがあり、レインボーカラーのシンボルマークをつくって、どんな人もみんな社会の一員だというメッセージを込めました。
ダイバーシティについて考え始めると、「普通」って何だろうと思うんです。外国に行くと、日本人の普通が通じないこともたくさんあります。みんなと一緒ではないことで、生きづらさを抱えている人もいます。全員が同じ考え方をするのではなくて、多様性のなかで生まれる視点や考え方のほうが発展するのではないでしょうか。

おおした:確かに、外国に行くと常識が非常識だったりしますよね。外国では自分の価値観が壊れちゃうことが楽しい。こういうこともできるんだ、こんなこともしていいんだって。例えば韓国だったら立膝ついて食事をするでしょう。日本では正座だし、お茶碗は持つのが普通ですけど、韓国では持っちゃいけない。真逆なことが斬新で、こうじゃなければいけないというのが自分の中でどんどん崩れていって、それもいいね、あれもいいねって認めることができる。国によってマナーも違いますよね。
女性でも男性っぽい恰好をしている人もいるし、男性での女性的な雰囲気の人もいるので、みんなそれぞれ個性があっていいと思います。

-セクハラをテーマにした話についてはどう思われましたか?

舩越自分がセクハラを受けている認識って、人によって違いますよね。私はOLをしていたとき一番年下だったので、コーヒーもお茶も配っていました。私は何とも思っていなかったんですが、業務以外のことを女性にさせることをセクハラと言う人もいます。でも10人中10人が嫌だと感じることを言われたら、やっぱりセクハラなんだと思います。
実際に自分の友達が被害を受けていたら、知らんぷりはできない。一緒にいろいろ考えていかないといけないと思いました。今は相談窓口もあり、言いやすい環境になっているかもしれないけれど、相談したことで目を付けられる心配もありますよね。

吉田男の人と女の人で、セクハラに対する考え方がかなり違っていて、しかも年配の人ほど問題を大きく捉えていないような気がします。職場で深刻なセクハラの話は聞きませんが、もし嫌な思いをしている人がいれば、人間関係を壊さずにちゃんと相談できる制度が大事だと思います。

おおした:同じ会社の相談窓口だったら、私は言えないかな。相手が上司だったら、なおさらですよね。職場でうわさになると嫌だし、「それくらい大したことじゃない」と言われたらどうしていいか分からないので、別のところに窓口があったほうが相談しやすいと思います。

吉田:本人がすごく嫌でも、はっきりした境界線があるわけでもないし、どれくらいひどいことなのかを伝えるのは難しいですよね。

舩越:たぶん言っている人もセクハラという意識がない。嫌ならNOと言うしかないんでしょうね。

吉田:セクハラにしてもパワハラにしても、弱い立場の人に対して行われるから、我慢してしまう状況になる。セクハラは人によって受け止め方が違うので、ある人に言って大丈夫だったからといって、他の人にも大丈夫ということはないんです。

舩越:私はまだ独身なので、結婚しないのかとか、子どもは産まなくても大丈夫なのかって言われたりすると、とても嫌だなって思います。最近になってそういう気持ちが分かりました。自分がしたいことがあるからこうしているのに、なんで人から言われなくちゃいけないのかなって思います。言い返したいけど、そう言う人はだいたい年配の人なので、しょうがないと思ってしまいますね。

おおした:結婚していてもしていなくても、子どもを産んでも産まなくても私はいいと思います。個人の自由だし、不妊に悩んでいる人もたくさんいますよね。友達の娘さんが不妊治療をしていて、「辛い不妊治療をしているから、子どものことは本人に一切言わないで」と言われたことがあるんです。それ以来、マナーだと思って聞かないようにしています。

-絵本の読み聞かせを通して、自分の大切さを伝える「命の授業」については、どんなことを感じましたか?

舩越:絵本の読み聞かせを通して自分の大切さを伝える「命の授業」について、「悩みを抱えている子どもは、自己肯定感を高めることが必要だ」という言葉に共感しました。私も結構劣等感が強いほうなんですよ。いけないと思いつつ、他の人と比べてしまったりすることがありますね。
最近、「自分の存在価値が分からない」と悩んでいた友達がいて、彼女の良いところを伝えたら、ちょっと元気になってくれたんです。命の授業にもあるように、周囲の人が長所に気づかせてあげることは大事だと思いました。

おおした:私は、劣等感は克服できると思っています。絵を教えていると、劣等感はマイナスではなくて、人にはない個性や才能だと感じますね。みんな同じようにきれいに描くとおもしろくないんですよ。形がいびつだったり、色使いが変わっていたり、この絵変だよねって思われる人が素晴らしい。みんなと違う個性的な絵は、心に残ってもう一回見たいと思う。私も劣等感いっぱいあったんですけど、今自信満々です。

-劣等感を切り替えられるような経験があったんですか?

おおした:誰でも初めてのことはできないし、何回も重ねてできるようになっていけばいいと思います。私もパステルの講師を始めたばかりのときは、上手にできないのは当たり前と思って、できないじゃなくて、これからできるに変えたんです。もし何回やってみても自分にできないときは、できる人に任せます。

-そう考えたらいいですよね。自分ができることもあれば、そうじゃないこともある。

吉田:多様性を認め合うということにつながりますね。

おおした:個性を尊重し合って、認め合うことなんだと思います。

吉田ポジティブな考え方はもちろん大切だけど、自分を肯定することって、なかなか難しい。学校でも社会でも、叱られることやうまくいかないことも多いし、落ち込むことや傷つくこともいっぱいあると思うんですよ。みんな傷つくことがあるという認識も大事だと思います。
親から見たら、自分の子どもは何をしていても存在価値がありますよね。生きているだけでありがたい。親子で喧嘩もいっぱいするし、いろいろあると思うけど、自分は親にとって唯一無二の存在だということは気づいてほしいです。

おおしたうちの息子たちは大学生ですが、今でも口に出して「お母さんの宝物だからね。自分を大切に生きてね」と言っています。辛い思いをしてしたくない仕事をするよりも、したいことをしてほしい。親は子どもが生きているだけで満足なんです。

舩越:自分が誰かの役に立っているという実感も、自己肯定感や自信につながると思います。私は94歳の祖母と一緒に住んでいるのですが、定期的に国からアンケートがくるんですね。そのなかに「不安を感じること」という項目があり、祖母は「自分が家族のため社会のために役に立っていないような気がする」に丸を付けていたんですよ。人の役立っている実感を持てることは、生きてい上ですごく大切なんだなと思いました。

おおした:人から必要とされると、生きる価値が感じられるし、自信になりますよね。

-最後に、今日の座談会の感想をお願いします。

おおした人権について深く考えたことがなかったので、今回人権について調べてみたんです。「お互いに尊重し合って、認め合って、理解しようとすること」と書いてあり、分かり合おうとすることなんだと改めて思いました。

舩越職業柄、話すことが多いので、女性も発言がしやすい社会になればいいな、と思いますね。我慢したり諦めたりするのではなくて、もっとみんなが思ったことをちゃんと言える、そしてそれを受け止められるような社会になったらいいなと思います。

吉田:誰でも嫌なことや傷つくことがあって、心が弱くなるときもあるけれど、最終的にはみんな命は大事。それぞれ個性があって、かけがいのないものだな、と改めて感じました。

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written by 編集部