仕事人インタビュー「言語聴覚士」

仕事人インタビュー
「言語聴覚士」に聞く
“サリバン先生” をめざして

「言語聴覚士」の有資格者へのニーズが増々、高まっているという。
その仕事は幅広く、奥深い。
今回は、7名の「言語聴覚士」が活躍する福岡市・シーサイドももちの『福岡山王病院』をお訪ねし、社会人からチャレンジして言語聴覚士になった市丸佳奈子さんにお話をうかがった。

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言語聴覚士  市丸 佳奈子さん
大学卒業後、出身地・佐賀で事務職として勤務。言語聴覚士になるため、学校法人高木学園の『柳川リハビリテーション学院』に入学。3年後、言語聴覚士の国家試験に合格。2016年、『福岡山王病院』に就職し、今に至る。

 

コミュニケーションを教える仕事

屋外テラスを含め1,400平方メートルの広さを持つ『福岡山王病院』リハビリテーションセンター。その一角にある言語聴覚室のドアを開けると、市丸さんが元気な笑顔で迎えてくれた。

患者層は大きく小児と成人に分かれ、市丸さんの担当は約7割が小児である。

「仕事は簡単に説明すると、発達障害によって言葉が出ないお子さまにコミュニケーションを教える、ということです。年齢は3歳から。これから言葉を獲得していく段階ですから、それをどう支援するのか、という視点を持つことが大切になります」。

ヘレン・ケラーのお話をご存知だろうか?言語聴覚士は、ヘレン・ケラーの手に水を触れさせ、幾度も手の平にwaterと書いて、世界のさまざまなものに名前があることを教えたサリバン先生のような役割を果たす。

最近、市丸さんが仕事の中で喜びを感じたのは、よくかんしゃくを起こす子どもと向き合った時だという。

「かんしゃくのタイミングをお母さんと一緒に分析し、予定変更に弱いことがわかりました。課題を始める前に、今日行う課題や最後に片付けをしたら全部終わりですよ、ということをしっかり伝え、その子がどう行動すればいいか理解できる状況を作ってあげるのです。それを反復することで、お母様からも家でもかんしゃくの数が減ってきたという報告をいただきました」

お子さんの症状の改善、家族の喜び
それが仕事の原動力

市丸さんは、24時間子どもと過ごす保護者の小さな努力の積み重ねが何よりも大切だということも実感している。

「言語聴覚療士による療法だけで、一気にコミュニケーション能力が向上するわけではありません。24時間一緒にいるお父さん、お母さんの力に勝るものはないのです。子どものために一番努力されているのは保護者なのですから、『ご両親が一番頑張っていらっしゃいますよ』といった言葉と思いは忘れないようにしています。みんなで頑張ってこその成果なのです」

前述のかんしゃくのように子どものハンディキャップを軽減するために、家族に対して適切なアドバイスすることも言語聴覚士の重要な仕事。市丸さんは、保護者とのコミュニケーションを大切にしているという。

そんな彼女のもとに、今年も運動会シーズンが過ぎるころ、

「最後まで走りきりました」
「少なくとも自分の競技の時だけは参加できました」
「“ヨーイ、ドン!”のスタートが切れました」

などたくさんの報告があった。

街で「市丸先生!」と、子どものほうから声をかけられることもある。母親と離れて行動できなかった子どもが、スーパーの中だけでも一人で行動できるようになっていたり、人に全く興味を示さなかった子どもが、きちんと挨拶できようになっていたりして、驚かされるという。

「小児の場合は、小学校に上がるまでにある程度のコミュニケーション手段を獲得し、落ち着いて学校生活が送れるようになることが、ゴール。当病院の神経小児科のドクターとリハビリスタッフで月1回ミーティングを行うのですが、私たち言語聴覚士もその話し合いに参加します。地域社会の中で、その子が自立できるためのサポートのほんの一端ではありますが、自分も力添えできているという実感は大きいですね」

自分のアプローチによって、子どもが何かをできるようになった時、その家族から喜びの声が届けられた時の達成感は、やはり何物にもかえがたい。

「学校卒業後は教職をめざしていました。その夢は叶わなかったけれど、事務職から思い切って新しい世界に飛び込んで、それ以上の適職に巡り合えたと思います。もちろん、サリバン先生の足元にも及びませんが、一生を賭けるつもりで極めていきたいですね」

チャレンジし続け、
そして、極める!

これからの夢は、摂食嚥下・失語高次脳の認定言語聴覚士にチャレンジすること。成人の分野にも踏み込んで、幅を広げたいと考えている。

「祖母がアルツハイマーで6年間、入所していました。嚥下が悪くなり、物が食べられなくなってしまい、祖母を介護する母の困った様子も目の当たりにしました。私がもっと嚥下について深い知識と経験があれば、祖母ももうちょっと長く美味しいものを食べられたのかなという悔いる気持ちもあります。高齢者福祉施設でも言語聴覚士はますます必要とされる存在になるでしょう。小児から成人まで、困った時に頼りにされる幅広いスキルを研鑽していきたいと思っています」

6C6A5127言葉と聴覚、人と人のコミュニケーションを扱う仕事だからこそ、「人と話すのが好きな人」「人が好きな人」であれば、適性を発揮できると市丸さんは話す。
04_02口中の状態を診たり、きれいにしたりするための舌圧子とスポンジブラシ。言語聴覚士の必携ツールだ。

言語聴覚士とは?

8251991c6e3eccdbda7dff0f56da212b_s言語聴覚士とは、言語、聴覚、嚥下に困難がある方を対象に、医学的な知識や技能をもとに言語聴覚療法を実践し、①ことば②聞こえ③声や発声④食べる(噛む・飲み込む)の障害に対する指導を行います。対象は小児から高齢者まで幅広く、失語症などの言語機能の回復だけでなく、認知症の方に対する生活支援なども行います。

どうしたら、なれる?

学校で必要な単位を取得し、国家試験に合格する必要があります。福岡国際医療福祉大学の言語聴覚専攻科では2年間で国家試験の受験資格が取得可能です。入学時から学修方法や国家試験への準備など様々なアドバイスをいたします。

どこで働く?

医療機関やリハビリテーションセンター、介護・保健・福祉関連施設、教育機関、補聴器メーカー、ボイストレーナーなどからのニーズがあります。

将来の展望は?

発達障害児に関しては受診待ちの児童がいる状況。また超高齢化社会の中で、訪問リハビリテーションにおけるニーズも拡大していくと予測されています。


福岡市初、高度なリハビリテーションを総合的に学べる大学

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入試情報

言語聴覚専攻科 2年課程

◉定員/40名>
◉出願資格/4年制大学を卒業または卒業見込みの方(学部・専門分野は問わず)

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医療学部同時開設/理学療法学科・作業療法学科・視能訓練学科(定員各40名)


〒814-0001 福岡県福岡市早良区百道浜3丁目6−40
TEL 092-832-1200

ホームページからパンフレット・学生募集要項がダウンロードできます。
https://fiuhw.takagigakuen.ac.jp/

written by 編集部