長寿の国、香港【後編】

前回のコラムでは、世界一の長寿国、香港について、その秘訣をお話しました。今回のコラムでは、香港の医療の制度についてお話ししたいと思います。

care-clinic-cure-371941

【香港の医療機関】

香港には、大きく分けて3種類の医療機関が存在します。

 

・私立病院

大型の私立病院で、専門科も多く、医療機器もサービスも充実しています。中には日本語通訳のサービスまで提供している病院もあります。外国人の患者も多く見かけます。支払いは100%自費での負担となり、かなりの高額です。日本では健康保険が適用されるので、100%自費負担というだけでも高い印象になりますが、それよりも高いという感覚で、自分で掛けた医療保険も無しだと躊躇するほどです。なお、カード決済も可能です。事前に予約していくことで、ほぼ待たずに診察を受けられ、スムーズに終えることができます。

 

・公立病院

香港政府が管理・経営する病院です。地区にひとつは設置されていて、かなりの大型総合病院です。基本的に通訳はおらず英語か広東語での会話が必要です。公的なサービス提供の一環として香港政府が管理しているので、香港永住者や香港居住者(=香港ID保有者)には費用が安くなるように設定されています(下表参照※1)。香港へ旅行でいらしている方は、下表よりも高い費用が請求されます。

 

種類

金額

一般外来

50HKD(約700円)

事故や緊急事態

180HKD(約2,520円)

注射

18HKD(約252円)

入院費/1日あたり

120HKD(約1,680円)

 

私立病院に比べると驚くほど安いです。ただし、いつ行っても長蛇の列で、余程の急患でないと、とても待たされます。

 

・クリニック(医院)

大きな病院に属さない、個人医師が開設している医院です。医師の専門により何科を診療するかが明示されています。医師を探すときには、基本的に専門医・専門クリニックを探すことになります。香港の医師の多くは英国やオーストラリアで学んで学位を取ってきた医師が多いことも特徴です。なお、英語での会話はほぼ問題ありませんが、医師自身が何語で話をしてくれるかには差があります。費用は私立病院と同じく、100%実費負担となり、クレジットカード決済が可能です。診察の予約も必要です。

 

この3種類の病院を比べると、注目すべきは「公立病院」の費用の安さです。実際に請求額を見ると驚きます。さんざん待たされるのですが、支払いの時に、費用を見ると安いので仕方ないなと、風邪をひいて苦しんでいるのに冷静に納得してしまうほどです。

 

香港には、公的年金や健康保険制度がないために、日々の生活や食事に気を遣い、病気に備えているとお話したと思いますが、万が一怪我や病気になっても公立病院へ行けば、非常に安く、医療を受けることができます。

 

たくさんの人が公立病院で医療を受けるので、先生方の患者さんを診る数がとても多く、数をこなしているため、熟練度や技術の高い医療を受けることができると言われます。もちろん、医師の技術に個人差はあります。

 

自分の置かれた環境や収入に合わせて、病院も多様な選択肢が用意されている点は、素晴らしいですね。医療水準も相当に高いといわれています。そうした点も、香港の長寿の秘訣のひとつになっているのだと思います。

 

※1 醫院管理局HP(最終閲覧日2018年11月9日)

http://www.ha.org.hk/visitor/ha_visitor_index.asp?Content_ID=10045&Lang=ENG&Dimension=100&Parent_ID=10044

Fee and Chargesより抜粋


このコラムを書いた人は・・・

hasegawaCIO長谷川 建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB/ニッポン・ウエルス・リミテッド), CIO
NWBは、香港金融管理局より、銀行ライセンス(a Restricted Licence Bank)を認可された金融機関です

京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に移籍し、リテール部門マーケティング責任者、2009年からは国際部門でアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。 2013年にはNWBを創業し、COOに就き、20173月よりCIOを務める。