< 『病床の君へ』 >

抗がん剤3クール目の入院の前日
私はとても気分が落ち込んでいた

ほんの何ヶ月前まで 毎日綺麗にお化粧をして
スーツ着てハイヒール履いて バリバリ仕事に励んでいた
ところが今はどう?
すっぴん ― パジャマ姿 ― 髪も構わず ― 薬の日々

だから何なんだ!・・・生きるために戦っているんだから!
そんな事どうでもいいじゃない!!取るに足らない事よ!!!

・・・ そうなんだけど ・・・
どうしようもなく  孤独感に襲われた

特に 社会から疎外されているような
もう だれも私の事なんか 忘れてしまっている
忘れられている・・・ きっと・・・
こんなんじゃ 私なんか 何の役にも立たたないし
ただひとり苦しみと向かい合っているだけ・・・

そんな風に感じていた

抗がん剤の副作用は精神的にもダメージが来るって
聞いた事はあったけど
その時は 本当に寂しくて 世の中に必要のない人間のように感じた

そんな思いが渦巻いていた時に届いた 『病床の君へ』
添えられていた手紙には
「よくなるまでの徒然にお読みください」 と書いてあった

それは お友達のエッセイだった

その内容は 日常や趣味の事や私が全く知らない専門的な事なども書かれていて
とても新鮮だった
そして その情景がとてもよく浮かんできた

病気一色だった私に 真逆の新鮮な空気を送り込んでくれたそのエッセイは
私の心を 一気に暖かくしてくれた

励ましの言葉や病気の事には何も触れず
まったく普段と変わらない その文章は
かえって 思いやりや優しさを感じた

淋しさに包まれていた私は
人の温かさに触れて 涙がぽろぽろあふれてきて・・・
嬉しかった
一人ぼっちじゃない・・・って思えた
心が救われた気がした

それから不定期に送られてくる 『病床の君へ』が
待ち遠しく 楽しみになった

20090322-1237733327

孤独の渕に沈んでいた心を
すぐに引き上げてくれた出来事だった
☆いっこ☆

written by 編集部