企業を、社会を牽引する 女性リーダー

働く女性の数は世界各国と同レベルにも関わらず、大幅に遅れをとっているのが、日本の企業における女性管理職の割合。その理由は日本企業の風土にあるのか、はたまた女性たち自身の意識にあるのか。ここ福岡で働く女性たちのリアルな声を探っていく。  
また、今まさに管理職として活躍している女性たちに、その立場になってみて何を感じ、どう変化したのかをインタビュー。これからの企業を、社会を変えるのは女性たちかもしれない。

階級が上がるほど女性管理職の割合は低くはなるものの、役員を含めた女性管理職全体の割合は、全体的に右上がりに増えてきています。 また、企業規模が小さくなるほど、女性管理職の割合が高いことが分かります。


 

福岡県は、行政も女性リーダーの育成に力を入れています!

●福岡県「女性研修の翼」
男女共同参画社会づくりを進めるにあたって、女性が様々な分野で能力を発揮できるよう、女性の社会進出が進んでいる諸外国を訪問して海外の制度や施設などの視察。現地の人々との交流を通して、 国際的な視野を持った女性リーダーを育成する研修制度を設けている。(平成24年度はオランダ・フランスを訪問)
問合せ先/福岡県新社会推進部 男女共同参画推進課(092-643-3391)

●ふくおか女性いきいき塾
今後、地域や企業で活躍する女性リーダーの養成を目的とした、福岡県の事業。国際情勢や行財政、リーダーシップやコミュニケーションスキルなど、各方面の第一人者を講師として招き、講義やディスカッションを開催。4つのグループに分かれて課題研究に取り組み、2月16日(土)には『アクロス福岡 国際会議場』で、パネルディスカッション&課題研究成果報告会を開催予定。 
問合せ先/福岡県男女共同参画センターあすばる(092-584-1261)

 

○福岡で働く女性たちの生の声を聞いてみました!
Q. 女性管理職に、あなたはなってみたい?

管理職昇進に積極的な人は約3割にとどまり、
20代の女性に至っては「9割以上が消極的」という結果に!


昇進・昇格に消極的な女性たち。でも、「大変そう」「自分には無理」と諦めるのはまだ早い!福岡には、管理職として楽しく仕事をしている女性がたくさんいる。今回は、その中でも3人をピックアップして取材した。  
彼女たちが語る、昇進して変わったことや、管理職ならではの仕事の醍醐味とは―。

自分の意志を反映できるので、より一層やりがいを感じます。
仕事がますます楽しくなりました。

「様々な仕事に携わることができ、いろんな人に出会うことができる。この仕事が楽しくて仕方ありません」。そう話すのは、『JR九州』ホテル事業課長の浜田真知子さん。新卒入社してから約20年、鉄道会社に勤めながらも、事業開発分野一筋に歩んできた女性だ。ホテル開発は、用地取得や設計、行政手続き、工事期間中の調整、運営に向けての準備など、内容が多岐にわたり、スタートからゴールまで2年以上はかかる長期スパンの仕事。『JR九州グループ』では、現在、博多駅前と東京・新宿に出店を予定していて、さらに長崎のホテルの改装も進行中だ。  
「私たちの仕事には、いろんな人の視点や力が必要。だから、チームみんなで連携して行うことが大切なんです」。そんな彼女が率いるのは、頼もしい4人のメンバーたち。管理職としては6年目になるが、「財務や不動産、建築設備、マーケティングなど、ホテル開発には様々な知識が必要です。1人でできることには限りがあるので、彼らにどう動いてもらうか、マネジメントには常に気をつけています」と語る。  
「成長と進化」を合言葉に、事業を拡大するという方針は会社からあらかじめ示されているので、後はそれを実現すべく進むのみ。ただ、その中で「いかに自分なりの視点を織り込み、お客様に選ばれるホテルを造るか」を常に意識している。「机の広さやクローゼットのつくりなど、どんなものだと使いやすいか。魅力に思うサービスや、食事内容、価格など、あらゆることに考えをめぐらします」と話す彼女は、多いときで週3日、様々なホテルに泊まり下見・研究を行う。  
「特に意識はしていませんが、管理職になってから『こうしたい!』という自分の意志を社内の経営陣に直接伝えやすくなり、実現できることが多くなったように思います。同時に、判断を求められる緊張感や責任感も増しましたが、私は街が変わるきっかけになるこの仕事が好き。開業したときの喜びをチームで分かち合い、より一層の達成感を味わえることに感謝しています」。気負うことなく、常に自然体。仕事を楽しむ彼女の姿は、後に続く女性たちにも眩しく映っていることだろう。

人が成長する姿に喜びも2倍。
これからも、経営者と社員の翻訳者でありたい。

「実は私、バリバリ仕事をしたいと思っていなかったんです。だから、昇進にも消極的でした」。開口一番、意外な言葉を口にしたのは『パナソニックホームエンジニアリング(株)』副参事の福永さん。化学系企業の研究職から現在の会社に転職した、異色の経歴の持ち主だ。しかも派遣社員からスタートし、3年後に正社員、さらにその7年後には管理職に登用されるスピード出世。「成長できる仕事を与えられ、徐々にステップアップさせてもらったので、大変だったという感覚はありません」と、当時を振り返る福永さん。そこには、尊敬する女性上司の存在があった。  
入社当初、ショウルームアドバイザーとして働いていた彼女に、その上司から主任抜擢の声がかかったのは34歳のとき。大きなプロジェクトを一つ任され、本来の仕事以外に、社内外のいろんな人との交渉やチームのマネジメントを経験した。「立場が変わったことで、同じ事柄でも違って見えるようになりました。会社の方針や経営側の意図が解かるので、なぜその業務が必要なのか理解でき、すべての仕事に意味があると気づかされました」。さらに課長に昇進するとき、「今の仕事を完璧にこなせていない私に、管理職が務まるのだろうか」と不安になった彼女に、上司はこうも言った。「完璧な人が管理職にならないといけない訳じゃない。あなたは、課長として期待された役割を果たすことが大切なのよ」。そうして、尊敬する女性上司に育ててもらったと話す福永さんは、現在、自身も後輩を育てる立場に。  
主に社員の教育を任され、自社の全国各エリアの統括者が集まる7人ほどの会議で、全体の研修内容を考えたり、九州各地のショウルームなどを回り現場の社員教育に携わっている。週2~3日は出張で忙しい日々だが、それでも「教育に携わった人たちが、変わっていくのを見るのが楽しい」と話す。「同じ仕事を与えるにも、全力で仕事をしてもらうには一人ひとりへの伝え方が大切。『この仕事はこんなことに繋がるんだよ』と、いい方向に思考を転換させて仕事を与えることが、『人を動かす』ことにおいて大切だと思います」。経営側から社員へ、方針や仕事が伝えられる際、その伝達役も兼ねる管理職という役目。「これからも、両者の翻訳者のような存在でありたい」と語ってくれた。  
福永さんのように、素敵な女性たちには、「私もあの人のようになりたい」と思える存在がいる。「ロールモデルは、次なるロールモデルを生む」。彼女の姿に、ふとそんな想いが湧いた。

立場が変われば、見える景色が変わる。
それが面白さとやりがいに繋がっています。

『株式会社新菱』は、化学技術をベースに環境リサイクル事業などを行う製造業の会社だ。社員の男女比は9対1で、来米さんは現在女性で唯一の管理職。総務人事部の課長代理として3人の部下を抱え、採用や異動などの人事全般、社内の制度設計に携わっている。  
以前はソフトウェアを扱うIT系企業で営業の仕事をしていた。業界柄か役職のある女性も多い職場だったので、女性が管理職になることに特別な意識はなかったという。5年前、男性社員が9割を占める今の会社に転職してからも、その意識は変わらなかった。仕事ぶりが認められ課長代理に昇進したのは2011年の7月から。実はこのとき、来米さんは妊娠中。8カ月のお腹で出張に行き、産後3カ月目に復職したのは、出産によってキャリアを諦めたくなかったから。 この昇進と妊娠・出産が、来米さんのそれまでの仕事のやり方を変えるきっかけになった。  
「もともと、仕事は全部自分でやってしまうタイプでした。だから遅くまで残業することもあったし、家で企画を考えることもあった。でも、課長代理になってからは任される業務の幅が広がったし、出産後は定時の17時半には必ず退社という時間制限ができたので、うまく業務を割り振らないといけなくなって…」。今は部下に業務を任せ、その中で出てくるさまざまな判断・指示や進捗管理を主に行う。管理職として新たに求められるようになったのは、会社で決めた目標を部署で達成できるように計画・推進・実行していくこと。責任も増えたが、やりがいはあるという。  
「管理職になったことで、以前は知りえなかった情報が多く入ってきて、今までより会社を広く見通せる面白さを感じています。今の部署では、自分なりに現状をよりよくするための提案ができるよう、人材育成や職場の制度などについて勉強したり、情報収集をしていますが、今後はもっと広く深い視点で会社と関わっていきたい。いろんな新しいチャレンジをしてみたいですね」。今の目標は経営的な視点で会社を見られるようになること。そのために、週末は九州大学のMBA(短期エグゼティブコース)に通う日々だ。  
立場が変われば見える景色も変わる。来米さんの視線は、好奇心いっぱいにまだまだ高みを目指している。


written by 編集部