
ミュージシャン
勝木 ゆかりさん
S.E.N.S.(センス)
かつきゆかり/1956年福岡県生まれ。深浦昭彦(ふかうらあきひこ)氏とのインストゥルメンタル・ミュージックのユニット“S.E.N.S.”で作曲、ピアノ、ヴォイス、コンピュータプログラミングを担当。1988年デビュー。2001年にはアルバム「透明な音楽」で日本ゴールドディスク大賞「インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を’94年に続き2度目の受賞。その独自の音楽は、日本はもちろん世界でも注目されている。
今回、お話をうかがったのはS.E.N.S.(センス)の勝木ゆかりさん。ドラマやCMで「癒し系」と呼ばれたセンスの音楽は、誰でも一度は耳にしたことがあるはず。その音楽から想像できる柔らかい印象とは対極の、エネルギッシュな女性。それが勝木さんだ。
言葉の壁がない、音楽への挑戦
幼少時代から作詞作曲が好きだった勝木さんは、常に気持を歌で表現していた。20代前半で上京、シンガーソングライターとして活躍する一方、ずっと自分自身の感動を歌ってきた彼女は「作りものの話は書けない」と違和感を抱くように。悩み抜いて選んだ道は、言葉のない音楽―インストゥルメンタル・ミュージックへの挑戦だった。
新しい音楽への挑戦は表現方法を模索する日々。そんな時、福岡にいた頃のミュージシャン仲間、深浦昭彦さんと東京で再会し、1本のカセットテープを聴く。彼がコンピュータで作った音楽だった。ずっと鉛筆と譜線紙で作曲していた勝木さんは、新しい音楽表現の可能性を感じ、衝撃を受ける。「面白い! 2人で一緒にやろう!」これがセンスの始まり、27歳の頃だ。
ニューヨークでの、あてもない旅
5年後、センスはデビュー。その音楽は“風や波の音と同じ種類の音”と評され大ヒット、「癒し系」ブームを生んだ。「これは多くの人が聴いてくれる良いきっかけでした。でも私達自身は“癒し”というカテゴリから離れて、前進したかった」。そんな思いから、次は世界を目指しニューヨークへ。もちろん何の当てもなかったが、がむしゃらに行動した。ジャズバーへ飛び込み、演奏したことも。初めて2人の音を聴いた人々から暖かい拍手をもらった時には、初心に戻り素直に喜びを感じた。
こうした活動が実を結び昨年7月、 センスは日本人初、メジャーリーグのマウンドでライブを行った。観客はアメリカ人、それも野球ファンだ。「観客総立ちのブーイングを想像してました(笑)」。だが結果は大成功、2人の演奏に3万人が歓声を上げた。「言葉の壁のない私達の音楽がニューヨーカー達に伝わった。世界へ1歩前進した気がします」。ニューヨークでの経験から掴んだもの。それは「自分で前進するための“扉の鍵”」だったのだ。
“The Key”扉を開ける鍵
平成15年9月、アルバム「The Key」発売。センスが大きく前進したニューヨークで生まれた1枚だ。「悩んで立ち止まってる時にこそ聴いてほしい。悩みが癒されるのを待つのではなく、自分で扉を開けて前進しなくちゃ。私達も今後は“癒し系”じゃなく、“ド根性系”を目指します!」最後にそう語った勝木さんの瞳は、力強く輝いていた。

▲昨年7月、メッツ対レッズ戦のオープニングアクトとして、メジャーリーグのマウンドで3万人の観客を前に演奏。曲はアルバム「The Key」にも収録されている「The Beginning」だ。「彼らの音楽はインターナショナル」と大絶賛を受けた。

▲S.E.N.S.「The Key」 BMGファンハウス \3,059(税込)





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