どこまで進む?
脳科学

 

 今回は人間の「脳」がテーマ。ブレインサイエンス(脳科学)は、世界中で多くの研究費がつぎこまれているという、今注目の学問だ。「ちょっと難しいかも・・」と尻込みしつつ、スタッフが向かった先は福岡女子大学、小泉先生の研究室。だが話を聞いているうちに、人間の不思議で奥深いメカニズムにいつしか引き込まれていた。

目で味がわかり、舌で物が見える時代へ。

 「人は目で映像を見るでしょう? でも目をつぶっていても映像は見ているんですよ。それが夢です」
神経科学が専門の小泉先生が、神経のしくみを知るために、分かりやすい例としてあげてくれたのが「夢」。レム睡眠、ノンレム睡眠という言葉を聞いたことがあるだろう。眠りの浅いレム睡眠状態のとき、人の眼球は、起きて物を見ている時と同じように動いている。つまり、この時に夢を「見て」いるのだ。
 外界から情報を取り入れる覚醒時と違い、夢を見ている時の情報は、睡眠をつかさどる脳幹から発信され、視覚中枢へと伝達されている。つまり視覚中枢まで情報が届けば、情報の入り口がどこであろうと脳では映像を「見る」ことができるのだという。コンピュータがすべての情報を0と1で処理するように、神経細胞を介して伝えられる情報はすべて同じ電気信号。だから、本来は味覚の入り口である舌と視覚中枢をつなげば、「舌で物を見る」という信じられないことも理論上は可能なのだ。

神経を操れる薬の登場。

 神経科学の発達は同時に薬の発達の歴史でもある。神経の解析までが可能になった今、より直接的に脳に働きかける薬が生まれた。そのひとつに「向精神薬」というものがある。神経細胞どうしをつなぐ伝達物質を利用したもので、ニセの伝達物質となって脳に指令を出す薬物だ。精神病の症状を和らげるために使われるものもあるが、同時にこれは精神の状態を変える、幻覚剤などの精神変容剤として作用するものもある。薬で視覚中枢を刺激し、見えないものを「見た」と思わせることができるのだ。「人間は伝達物質によって大きく左右されます。でもそれは同時にとても危険なことでもあるんですよね」。
 遺伝子研究によるクローン、臓器移植などの問題と同様、脳科学の研究も様々な問題をはらみながら進められている。とはいえ、人間の体はまだまだ未知の部分がいっぱいだ。今月のアヴァンティ・ゼミでは、人の体を「脳」の観点から掘り下げた話をしてもらおう。講義の後は、自分の体が違って見えるかも?


福岡女子大学大学院
人間環境学研究科教授
小泉 修先生
 山口県出身。九州大学大学院理学研究科生物学専攻博士課程修了後、福岡女子大学に就任する。カリフォルニア大学アーバイン校発生生物学研究所、カンサス州立大学獣医学部、訪問研究員、国立遺伝学研究所客員教授を兼任。神経生物学を専門とし、現存する動物の中でも、最も単純な神経系を持つヒドラを使って、神経回路網の形成の仕組みについて調べている。

第99回アヴァンティゼミ
3月19日(火)19:00〜21:00

●講師
福岡女子大学大学院
人間環境学研究科教授
小泉 修先生

●テーマ
人の脳を考える
〜その新しい視点と問題点〜

●参加費
2,000円
(クラブ会員1,500円)


BackNumber
2002.02
エネルギッシュ中国、 その秘密とは?
岩佐 昌先生
2002.01
世界から見た、日本の喫煙事情
クリス・フリン先生
2001.12
海外と日本のお家事情
竹下 輝和 先生
2001.11
日本とフィリピンの意外な繋がり
清水 展先生
2001.10
自分があって初めて深まる人間関係
宮原 哲先生
「世界からみた、日本の喫煙事情」
 
九州情報大学経営情報学部
 経営情報学科講師 クリス・フリン先生
▲先生が出ているラジオ番組などの話も飛び出し、盛りあがった2次会。
  憤り。講義が終わった後、皆が共通して抱いた感情はこれだったに違いない。タバコを吸う権利はあると思うが、その害に関しての情報が、日本では封鎖されて国民にはほとんど事実を伝えられていないなんて…。「SMOKE KILL YOU」という政府広報が入った外国タバコの箱から見ても、「吸わない権利」が守られていないことをひしひしと感じた時間だった。



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