日本語はどこから来た? 
どこへ行く?

最近、「若者ことば」や「過剰敬語」が話題にのぼることが多い。先日、「マジっすか?」を正しい敬語だと思っている人の話を聞いて笑ったが、果たして自分はどれだけきちんとした日本語を使えているのだろうか?日本語のことをどれだけ知っているだろうか? 今回は、言語学を専門にしている板橋先生を訪ねた。

日本語の起源・形成論とは?

「日本語はどこからこの列島にやって来たのか。言語については、まだ明らかになっていないんですよ。ただ、言語というものは人間と一緒に移動するもの。日本人はどこからやって来たのか、という答えから推測することができるんです」。
今は方言という形になっているが、日本語にもっとも近いとされていたのが琉球語だ。日本語の「ハナ(花)」は、琉球語では「パナ」。日本語の「h」と、琉球語の「p」が対応しており、「p」が次第に弱化して「h」となったと思われる。このような変化した言葉はどのくらいあるのか? 琉球語と日本語は、どのようにそれぞれ変化していったのか? 仮説を組み立て、確かめるのが先生の研究だ。
先生が琉球語以外で日本語と同系関係があると考えている言語が、朝鮮三国時代の高句麗語。高句麗語と日本語の数字には、対応するものが4つもあるという。「こんなに対応するものは珍しいんですよ」。高句麗語か、その親言語から高句麗や日本語以前の言語が生まれ、そこにオーストロネシアなどの南方系の言語が入り、さらに農業技術などの文化と一緒に朝鮮語やツングース系言語などの北方系言語が入り…。それを繰り返してできたのが日本語ではないか、というのが先生の考えの1つだ。

言語は変化するもの

古代語の研究だけでなく、大学院で「現代日本語の言語学」の授業を持つ先生だが、やはり最近の日本語の変化が気になっているそう。たとえば「お席のほうご用意できました」「お会計のほう、レジのほうでお願いいたします」など、やたらと連発される意味のない“ほう”。「私って、○○じゃないですか」「○○って、あるじゃないですか」と、相手の反応を窺いながら話を進める人。「わたし的に」「ビミョー」など、自分の意見をぼかす言葉。これらの言葉には、話している相手への必要以上の「恐れ」が影響しているのではないだろうか。気を遣って自分の意見をハッキリ述べることができない。また、自分が否定されたくないという思いから、ぼかし言葉や新しい敬意表現が生まれるのではないだろうか。
「言語は絶えず変化し続けているのです」と先生が言うとおり、日本語も今まで大きく変化し続けて、今の表現になった。ただ、その変化速度がここ数年加速しているといえるだろう。日本語は、今、どうなっているのだろうか。日本語の過去、現在を先生と一緒に考えたい。


九州大学大学院比較社会文化学府・
留学生センター助教授
板橋 義三 先生
工学部4年時に渡米。アメリカの大学で言語学を学び、ブラウン大学で修士、ワシントン大学で博士学位を取得後メルボルン大学に1年勤務。10年前から家族で糸島郡に移り住み、自然農法で果樹園や畑を育てている。また、「メンズ・リブ福岡」の中心的会員として「男らしさ」からの解放、子どもの不登校についての講演など「自分らしく生きる」ための活動を多くしている先生だ。

第114回
アヴァンティゼミ
6月26日(木)
19:00〜21:00

●講師
 九州大学大学院比較社会文化学府・留学生センター
助教授
 板橋 義三 先生

●テーマ
日本語はどこから来た? 
どこへ行く?

●参加費
 2,000円(クラブ会員1,500円)


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