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高岡 文章先生 / 沖縄といえば首里城、バリといえば伝統舞踊ケチャ。 観光によって、新しい文化は作られる!

高岡 文章先生
福岡女学院大学 人文学部 現代文化学科 講師
大阪府出身。慶應義塾大学大学院卒業。気さくで優しい先生の研究室には、自身が“旅行好き”とあって色々な国での写真が、壁を埋め尽くすように貼ってある。最近ではゼミ生たちとともに、岡垣町のまちづくりにも携わっている。

人の持つイメージが、観光地を“その土地らしく”見せる。

日本各地には、歴史を感じさせる城下町やどこか懐かしい雰囲気の鄙びた温泉街、はたまた、おとぎ話の世界が現実に現れたディズニーランドなど、人々を魅了する風景や町並みがある。しかし、それは私たちの目を楽しませてくれると同時に、困惑させてしまうものでもあるのだ。

 先生曰く、「困惑してしまうのは、私たちの中に“昔からあるものが観光名所になっている”というイメージがあるから。昔ながらの懐かしい風景を求めて旅に出ますが、例えば、現在の沖縄・首里城はつい16年前に再建されたものですし、佐賀の唐津城にいたっては、もともと存在しなかった天守閣を新たに造ったものです。京都の平安神宮だって、造られてからまだ100年ぐらいしか経っていません。にも関わらず、その場所を訪れる人たちは、その建物を“昔からあり、その土地らしさを感じさせてくれるもの”と思っているのです」。

 そして、それは日本だけにとどまらない。中世都市の町並みが楽しめると人気のドイツ・ロマンティック街道のローテンブルクは、第二次世界大戦で爆撃を受けて、町の建造物の約40%を破壊されたという。そう、現在私たちが観ているのは、戦後に町全体が復元されたものなのだ。

観光化によって、新たな文化が花開く!?

「バリ島の伝統舞踊ケチャは、実は昔からあったものではありません。昔、この島にやってきた西洋人が“何かバリ島らしいものを”と、それまで宗教のためにやっていた踊りを観光客向けにしたのです。もちろん、観光客を意識することで、本来の宗教的な色合いは薄まり、同時に、異質なものへと変化しました。これは、“バリのバリ化”なんて呼ばれているんですよ。ただおもしろいのは、“バリらしいバリ”に、観光産業の人たちだけでなく地元の人たちまでもが目覚めていったことです。観光客向けに作ったお菓子などのお土産を、今では逆に地元の人が買うようになりました。もともと観光のために作ったものが、やがてその土地の人たちの日常に入りこんだのです」。

 また、パリやベネチア、古代エジプトなどの風景を模した、テーマパークのようなホテルが多いラスベガスもそうだという。町中にテーマパーク化したホテルが溢れてきて、やがて町全体がテーマパーク化し、現実を超える世界を楽しめる町・ラスベガスとなったのだ。

「長崎では、住民の方が観光客をガイドする長崎さるく博が好評でした。また、佐世保や唐津ではご当地バーガーが人気です。このように、日本でも観光を意識しつつ自分たちのまちづくりについて、真剣に考える取り組みが始まっています」と先生は言う。“観光”は、単に地域活性化につながるだけでなく、その土地の日常や文化にも大きな影響を与えるものらしい。

 今回は、日本だけでなく海外の観光地の映像などを見ながら、違った視点から“観光”について考えてみる。知るともっと旅がおもしろくなるかもしれない!

【イベント情報】11/20(木) 第179回アヴァンティ・ゼミ 社会学的観光論
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