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 ■ 育児休業を2人で取得予定の酒村さんの場合。
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育児休業を2人で取得予定の酒村さんの場合。

男女平等の教育を受け、女性も仕事に就くのが当たり前になった現代。だが、結婚するとそれまで同じように働いていたカップルも、なぜか家事負担の多くが女性にのしかかる。「女性が家事をするのが当たり前」という社会通念の前に難なく屈服してしまう。しかし、近年、若いファミリーの間では、少しずつ異変が起きている。今月は、そんな酒村勇輝さん(27)、美里さん(28)夫妻を取材した。

2人で育児休業を取得するつもりだから、一緒に家事を練習中。

 「○月○日、ミキちゃん(名前ももう決めている)、今日はこんなことがあったんだよ…」と、毎日、美里さんの大きなおなかに顔を寄せて語りかけるという勇輝さん。昨年秋に二人で受けた夫婦セミナーで、「おなかの子どもは、いつも聞いている声は聞き分けられる」と習って以来、今日あった出来事を語りかけるのが勇輝さんの日課だ。「生まれてきたとき、僕の声を覚えていてほしいから」。最初は恥ずかしそうにオズオズと語りかけていたのが、いまではすっかり2人の日常の風景になっている。

  「休日は、車は私に運転してって言うんですよ」。なんのことかといぶかると、土日は、ずっと勇輝さんが子どもを抱いていたいから、車に乗るときは美里さんに運転してほしいということらしい。生まれてくるのが待ち遠しくてたまらない2人の様子に、こちらも幸せを分けてもらった気持ちだった。

  家事分担は、結婚当初からだった。新居は子どもが生まれたときのことを考え、2人の実家の中間地点に構えた。職場へは出勤だけでなく、帰りもほとんど車で一緒に帰る。 美里さんが夕食の支度をはじめると、勇輝さんが洗濯をし、アイロンをかける。白衣をバリッとアイロンかけるのは、なかなか難しいらしい。「家事を分担しよう」と決めていたのではなく、「ヒマだから」するようになったのだという。「それに、彼女が料理を作ってくれているのに、僕がテレビを見てるのも悪いから」。

  週に一度、先に帰る勇輝さんが作る得意料理は、オムレツにスパゲティ。「帰ってきたとき料理ができてるとうれしい!」と美里さんはにこにこ。世の多くの男性が当たり前に受けている享受を週に一度、美里さんは味わう。


毎日、赤ちゃんに語りかける勇輝さん。もうすっかり日課になっている。

アイロンかけは、プロフェッショナル。美里さんが作る料理を待ちながら洗濯し、アイロンをかける。

「子育て応援宣言」で変わった職場環境。

 育児休業は、最初は美里さんが取得し、最後の1週間から10日を、勇輝さんが取得する計画だ。あえて「なぜ」と勇輝さんに問うと、「子どもと一緒にいたくてたまらないから」と、あっさり。「本当は、もっと長く取りたいけど、仕事に支障があるからそれが限界かなと思う」。

  勇輝さんは、病院の理学療法士。美里さんは、院長秘書。2人とも北九州市若松区にある芳野病院に勤めている。芳野病院は、平成16年に福岡県の「子育て応援宣言」をした。現在500社を超える県内企業が宣言しているが、「登録番号18番」とかなり早く宣言した。従業員数210名で女性が160名もいる病院だから、結婚して出産する女性も多い。現在、年間10人前後が育児休業を取得しているという。しかしそれも、「宣言」の取り組みを始めてから。

  それまでは、子どもができると「なんとなく」辞めていっていた。育児休業を取っても大丈夫だという空気が院内に浸透しはじめるにつれ、最近では、100%近くが退職せずに育児休業を取得している。

  女性が活躍し、また、育児休業を取得しやすい企業でも、男性が育児休業取得している企業は極端に少ない。芳野病院でも、男性の育児休業取得者は、まだいない。勇輝さんの希望に院長も応援してくれているという。

2人はいちばん刺激的なライバル

 芳野病院では、「宣言」をした翌年、次世代育成推進法の「行動計画」を提出した。これは、従業員300名以上の企業に求められているもので、本来ならば芳野病院は該当しない。しかし、制度を知った美里さんが会社に申し出て、行動計画を策定することにしたのだという。行動計画づくりの中心になって仕事した美里さんは、ますます職場環境について勉強するようになった。県や市が主催するセミナーに積極的に参加して新しい知識を吸収し、現状と比較したレポートを提出し、「いい病院」になるために努力している。

  こんな2人の関係は、「いちばん身近にいるいちばん刺激的なライバル」という。勇輝さんが学会発表をしたり、表彰を受けたりすると、うれしい反面、くやしくて「自分ももっとがんばろう」と美里さんは思う。勇輝さんも、結婚していちばん変わったのは、仕事に対するモチベーションだという。互いに尊敬し、刺激しあい、協力しあう。そんな2人に、また新しい幸せのステージがはじまろうとしている。


美里さんが入院したら勇輝さんにしてほしいことをわかりやすく書いたメモ。会社や役所に提出する書類も合わせてファイルしている。

育児休業を取得したら、毎日料理を作らなきゃいけないから、一緒に台所に立ち、練習中。

酒村勇輝さん(27)芳野病院勤務(理学療法士)、美里さん(28)芳野病院勤務(院長秘書)2年半前に結婚。2007年1月末第一子出産予定。出産予定日を2日過ぎ、いまにも生まれそうな幸せいっぱいの2人を取材した。


2007年02月28日 15:38 | TrackBack
コメント

こころ温まる記事を拝見させていただきました。
お互いを刺激できる存在の、お二人からの刺激を受けて育つ
ミキティーの成長が楽しみです。
また、お二人が勤める病院の院長先生に敬意をはらいます。

いつまでも。


Posted by: suzuki at 2007年11月12日 02:43