八月 【第十五回】

◆カウンターで揚げたてをサクッ。 ハネ木搾りをキュッ。
天麩羅とハネ木搾り 本醸造 白糸

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◆甘いから憩う。
鶏モモ酒粕漬のグリル と 憩根

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◆カウンターで揚げたてをサクッ。 ハネ木搾りをキュッ。 天麩羅とハネ木搾り 本醸造 白糸

ハネ木搾り醸造酒 本醸造 白糸 
720ml 877円
精米歩合65% 米・米麹・醸造アルコール アルコール度数15~16度未満

日本古式の絞りで生み出される酒本来のコクとまろみが特徴。

有限会社 白糸酒造
福岡県前原市大字本1986 
TEL 092-322-2901


 天麩羅は本来、夏のごちそう。食欲が落ちるこの季節に、さらりと良質の油分と栄養を取るためだと伺ったのは、創業39年の老舗天麩羅 割烹料理店『天政』二代目高本真洋さんだ。

 サクッとした衣の中に食材の美味しさが凝縮されている天麩羅は、揚げ物というよりむしろ、食材の持ち味を衣で包み込む蒸し料理だという言葉も新鮮だった。

 酒は嗜好品、味噌や醤油のように慣れ親しんだものが一番落ち着くと、ここでは長年、前原市の酒蔵『白糸酒造』の本醸造で客をもてなしている。安政2(1855)年の創業から、日本古来の醸造手法である「ハネ木搾り」にこだわり、酒造りを続けている唯一の酒蔵だ。「ハネ木搾り」はもろみを圧搾する力が弱い分、雑味が搾りきれず、透き通った味わいになるという。

 頂いた老舗の天麩羅は、厳選し全国から直送された海老にあなごに夏野菜。衣の中に大切に包まれた素材の美味しさを楽しみながら、『白糸』を一献。伝統の技で生み出された福酒は個性的でいて素朴な、懐かしさを感じる味わいだった。

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天麩羅 割烹 天政 
福岡市博多区冷泉町2-29 
TEL 092-281-6067(予約制)
営/11:30~13:30(月~金曜のみ)・17:00~OS22:00
昼定食 2,000円/おまかせ割烹コース 5,000円~/日本酒 500円~

◆甘いから憩う。 鶏モモ酒粕漬のグリル と 憩根

憩根(イコネ) 純米酒 
1,800ml 2,100円
美山綿 精米歩合70% 米・米麹 アルコール度数15度

純米酒のしっかりとした味わいと、すっきりとしたのどごし。風光明媚な清流の里の清らかな澄んだ水で醸した。

片岡酒造場 
朝倉郡東峰村大字宝珠山22 
TEL 0946-72-2321


 福岡のお酒は甘い。この「甘い」は、マイナスイメージで使われることが多い。いつの頃からか誰が言い出したか「端麗辛口」が良い日本酒の常套句になったからだろう。日本酒で言う甘辛は、普通の味覚の甘辛とは違う。甘辛を く一番シンプルなコツとして、いろんな味を感じる方が甘口、といつか習ったことがある。

福岡のカフェ文化の拠点『カフェソネス』の妹店『イコネ』の屋号がそのままつけられた定番酒「憩根」が今月の主人公。このお酒は、甘い。端麗辛口と間逆の味。ふんわり蜂蜜のような風味がして、後味は綿アメのようにすっと消える。酒粕の風味がするやわらかい鶏を食みながら呑みすすめると、さらに甘みが膨らみ、口の中で蜂蜜のベールが重なっていくような感覚と一緒に幸福感も膨らんでくる。そう、甘い味は幸せの味だ。夜カウンターに座る人の多くがこの「憩根」をオーダーするそう。

人が集い音楽がありアートがあり、いろんな「味」が交感されるカフェでこの甘いお酒が若者に飲まれていると聞くと、日本の、福岡の未来は捨てたもんじゃないなと思う。

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CONE(イコネ)
福岡市中央区薬院1-16-18-101
TEL 092-771-3282 
営/12:00~15:00・18:00~26:00(日曜は~21:00) 休/木曜
憩根 グラス470円/鶏モモ酒粕漬のグリル 730円/かまぼこのくん製 420円/きき酒セット 780円

七月 【第十四回】

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◆純粋・小倉DNA。
小倉名物ぬかみそだきいわしと無法松特別純米酒

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◆37年、愛され続ける食事処の看板酒。
あじのとろろかけと耶馬寒梅特別純米酒

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◆純粋・小倉DNA。 小倉名物ぬかみそだきいわしと無法松特別純米酒

無法松(むほうまつ) 特別純米酒 
720ml 1,323円
福岡県産夢一献 精米歩合60% 米・米麹 アルコール15度以上16度未満

福智山の伏流水で仕込み、米の旨みを堪能できるコクのある味。

無法松酒造有限会社
北九州市小倉南区大字新道寺310
TEL 093-451-0002


ぬかみそだきは、江戸時代から小笠原藩のお殿様の大好物だったといわれる郷土料理。陣を立てるときの縁起物として「じんだ煮」とも呼ばれ、小倉城城下であり、かつての漁師町である今の旦過市場あたりでいわゆる雑魚であるさばやいわしを各家庭にあるぬか味噌で炊いたのが始まり。

小倉っ子にとってぬかみそだきはおふくろの味なのだ。店で買うものになった今でも、人それぞれひいきの店があるそう。旦過市場の中でさばといわしだけを売る『ぬかみそだき専門店ふじた』の常連さんもほぼ浮気はないそう。

2代目崇秀さんに「酒だったらこっちでしょう」とすすめられたいわしを奥歯でぎゅっと噛むと、滋味に富むパンチのある味がして、確かに手が伸びるのはお酒。ひいきといえば、蔵にも蔵の味があり、色々呑んでみても、最後は馴染みのある蔵の味に帰るという人が多い。

『無法松酒造』は小倉唯一の酒蔵で、紫川の上流で生粋の小倉酒を仕込んできた。長い間小倉っ子にひいきにされてきた味同士の組合せは、どこかDNAに訴えかける濃い味がする。

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ぬかみそだき専門店「ふじた」 北九州市「食」の認定ブランド
北九州市小倉北区魚町4-1-9(旦過市場) TEL 093-551-1263
ぬかみそだき さば200円、 ぬかみそだき いわし200円 ※地方発送あり

◆37年、愛され続ける食事処の看板酒。 あじのとろろかけと耶馬寒梅特別純米酒

寒造り 耶馬寒梅 特別純米酒 
720ml 1,207円
精米歩合55% 米・米麹・アルコール度数15~16度未満

しっかりとしたコクと味わいある濃醇辛口。冷または温燗でも楽しめる。

比翼鶴酒造 株式会社 
福岡県久留米市城島町内野466-1 
TEL0942-62-2171


「魚は、いとこが志賀で漁師をしようけん、半分くらいは、いとこんとこのやね~。野菜はたいがい瑞梅寺(前原市)の自家菜園で作りようけん、それを採ってから、足らんもんは、近所のおばちゃんたちから、分けてもらいようったい。」とまあ心地いい博多弁で話してくれるのは、古くから薬院で親しまれている『ひょうたん』の店主横田一幸さん。

店を始めるときに、やはり地元の酒を飲んでもらいたいと出合ったのが、九州の名醸地、城島の『比翼鶴酒造』だったという。それ以来、37年の時を経ても、かわらずこの店の看板酒は『比翼鶴』だ。料理のメニューはどれも福酒に合いそうな小鉢が300円~。瑞梅寺の棚田米で作る「麦めしとろろ」も地元にこだわった「ひょうたん」ならではの一品だ。素材があれば、メニューにない肴にも答えてくれるというのも嬉しい。

今宵は、『耶馬寒梅』のお供に、あじのとろろかけをリクエスト。『耶馬寒梅』のコクと味わいに、脂ののったあじととろろの組み合わせは、ほっと落ち着ける味わいだ。さあ、心もオフに切り替えて、今宵も福酒タイムへ。

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麦めし屋 ひょうたん 
福岡市中央区薬院1-10-5 TEL 092-711-0955 営業時間 17:00~24:00
万福膳2,000円、あじのとろろかけ600円、比翼鶴700円・耶馬寒梅900円(各二合)

六月 【第十三回】

酒と肴があれば、梅雨なんて。
わた惣の常備惣菜・酒肴 と 寒北斗 純米清酒

寒北斗(かんほくと) 純米清酒
720ml 1,220円
山田錦
精米歩合55% 米・米麹
アルコール15度以上16度未満


「手ごろな価格でおいしい清酒を造って欲しい」という小売店グループの熱望によって造られた。
玉の井酒造 株式会社
福岡県嘉麻市大隈町1036-1
TEL:0948-57-0009

さわやかな梅雨なんてどこにもないが、盆地である筑豊の梅雨は、福岡市内に比べると輪をかけて湿っぽい。今では筑豊富士なんて呼ばれるボタ山もたんまり雨を吸い込んで、緑が深く憂鬱に見える。今日は家から一歩もでないぞ!と固く誓って、常備しているお酒と瓶や干物などの酒肴を冷蔵庫から出し、ひとり酒盛りとする。

「寒北斗」は、筑豊で酒といえば寒北斗。というくらい地元に根付いたお酒。『玉の井酒造』は、英彦山系の雄峰・馬見山の湧き水を集める清流、嘉麻川の伏流水を屋敷内の二つの井戸から汲み上げて、すっきりした飲み口の飲み飽きない味の酒造りを代々継承している。

そして、肴はこれまた飯塚で150年続く食品店『わた惣』の珍味。3代目駒山豊氏がその舌で全て味見、吟味し、「おいしい!」と太鼓判をおしたもの。肴をちびちび、酒をちびちび気のむくままにやっているうちに、鬱鬱していた気持ちも晴れやかに。窓の外に見える土砂降りだって、じとじと雨だって、いずれおいしいお酒になると思えば、さらに気持ちよく酔えるというもの。

【料理協力】
わた惣(わたそう)(博多大丸店あり)
福岡県飯塚市本町16-10/TEL:0948-22-1457
http://www.wataso.com/
〈青い器上から〉甘口地酒酒盗473円、ほたるいか 630円、かなぎ735円、〈赤い器上から〉江戸前佃島の佃煮えび630円、家伝まがに漬735円、山椒しじみ683円

五月 【第十二回】

◆江戸に倣う、北九っ子の粋。
江戸前鮨と天心特別純米酒てんしん
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◆素材の旨味を活かしてこそ。
岡山県産の白みる貝と麹屋純米吟醸
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江戸に倣う、北九っ子の粋。
江戸前鮨と天心特別純米酒てんしん

天心(てんしん) 純米酒
720ml 1,208円
山田錦
精米歩合60% 米・米麹
アルコール15度以上16度未満


食に合うように香りはあまり高くなく、純米酒だけどさわやかさのある味。
溝上酒造 株式会社
福岡県北九州市八幡東区景勝町1-10
TEL:093-652-0289

至極シンプルなラベルが、蔵元の人柄を語る。『溝上酒造』の溝上智彦さんは、十数年前、全く知らなかった酒造りの世界に飛び込み、二年目には杜氏になったという異例の経歴。

大学や研究所で学んだ経験はなく、ただ自分の舌を信じて、米と水を相手に格闘し、いまや毎年賞を取るお酒に育ててきた。この叩き上げの蔵男が目指すのは、味はあるけど透明感があって後味のキレる酒。「色々講釈は言わんで、呑んでみておいしければいい」。ぶっきらぼうだけど心はアツい。

そんな心意気がまるで江戸っ子のようだ、と江戸前鮨と合わせた。「風呂上りにふらり屋台で、鮨をアテに酒をくいっ。これがにぎり鮨の生まれた江戸後期の鮨屋の形」とは『二鶴(にかく)』の二代目船橋節男さん。

彼が握る、酢飯に砂糖を使わない鮨は、北九ではちょっとした噂だ。塩と酢、甘くない醤油を使うとこんなにもネタとシャリの味がストレートに伝わるものかと驚く。鮨ひとくち、酒ひとくち・・・どちらも後味の引きがよく、手が止まらない。この北九州の鮨職人と蔵男の粋は、多くは語らずとも咀嚼すればわかる。

【料理協力】
江戸前鮨 二鶴(にかく)
北九州市小倉北区足立1-4-31/TEL:093-531-2442
http://www.edomaezushi-nikaku.com/
ランチ1人前 2,100円~(赤だし・デザート付)、おまかせにぎり 5,000円~、おまかせコース 7,500円~

素材の旨味を活かしてこそ。
岡山県産の白みる貝と麹屋純米吟醸

麹屋 純米吟醸
720ml 1,313円
精米歩合55% 米・米麹
アルコール度数15~16度未満

米の旨味をそっくり酒味に。フルーティーな微香と香味のバランスが綺麗。
株式会社 高橋商店
福岡県八女市本町2-22-1
TEL:0943-23-5101

『福酒』をほとんど知らない時に人に勧められ飲んだのが、高橋商店の代表銘柄『繁枡』だった。きれいなお酒ってこんな感じなのかと、その時の印象は今でも記憶に残っている。後に聞けば、全国新酒鑑評会で18回の金賞受賞をしているとのこと。

そんな高橋商店でロングランの逸品が『麹屋』だ。すっきりとしたのどごしと、ふくらみのある高い香りが愛され、既に20年になるという。この爽酒を旬の海鮮に合わせたくて、訪れたのは今春4月高砂にオープンしたばかりの『酒剛』。「酒に合ううまい食材をシンプルに楽しんでほしい。一人でも安心して通ってもらいたい」と店主の河野剛さん。カウンター8席、テーブル2つという小さな店だが、料理は看板メニューの沖縄のアグー豚の溶岩焼き、博多赤どりの刺身に、自慢の鮮魚と充実している。

5月は貝類が旬を迎える。身も大きく、甘みも増し酒の肴にはもってこいということで、白みる貝をメインにした刺し盛を注文。乳白色の身にシコシコの歯ざわり、口中に広がる磯の香りと甘みは米の旨味を活かした『麹屋』に良くあった―。

【料理協力】
酒剛 
福岡市高砂1-15-7 シルバー高砂1F/TEL:092-531-3810(要予約)
営業時間18:00~
刺し盛 1,575円 溶岩焼 2,079円~ 地鶏刺盛り合せ 1,029円 日本酒 630円

四月 【第十一回】

◆青い春。
筍の田楽と博多百年蔵しぼりたて新酒 タンク直詰・量り売り
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◆キラめく春。
アスパラとアオリイカの耳の春香ドレッシングと金襴藤娘大吟醸新酒
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青い春。
筍の田楽と博多百年蔵しぼりたて新酒 タンク直詰・量り売り

しぼりたて新酒 
タンク直詰め・量り売り

720ml 1,000円
精米歩合70%
米・米麹・醸造アルコール・糖類
アルコール17~17.9度

一切加熱処理をしていないお酒。この時期にしか味わえないフルーティさがいい。
石蔵酒造株式会社
福岡県福岡市博多区堅粕1-30-1
TEL:092-651-1986

青々とした杉玉が、蔵の軒先にかかる。「今年もお酒を搾り始めましたよ。おかげさまでいいお酒ができましたよ」という、この季節恒例のお知らせだ。

さて、今年のお酒はどんなできだろう。今回は、今だけしか飲めない新酒を二蔵から取り寄せた。通称“博多百年蔵”としても知られる『石蔵酒造』からは、生原酒。槽の口からこぼれるお酒をそのまま柄杓でいただいているかの様な、生まれたての勢い漲る味。合わせる料理も博多のお店を、と。

石蔵酒造から目と鼻の先、石堂橋のたもとにある『白つぐ』の店主に「春のしぼりたての生原酒に合うものを。ちょっと甘めのお酒です」というオーダーでアテをお願いする。出てきたのは、青々とした緑が美しい、筍の田楽。味噌、木の芽、山椒を練ってほうれん草の色素で色づけされた特製味噌を、熊本産の若い筍にのせて炙ったもの。

口に含むと山椒の香りがたちこめ、噛むと味噌とまだ若い筍の甘みがさらに香る。しぼりたてをあわせると、味噌とお酒両方のほろ甘さが引き立ち、これはもう春以外の何ものでもないだろうという青い味がする。

キラめく春。
アスパラとアオリイカの耳の春香ドレッシングと金襴藤娘大吟醸新酒

金襴藤娘 大吟醸 新酒
720ml 3,150円
精米歩合38%
米・米麹・醸造アルコール
アルコール17度

「花大吟」は、 そのナデシコの花からとったという珍しい花酵母で仕込んだ大吟醸。
合資会社 後藤酒造場
福岡県八女郡黒木町大字黒木26
TEL:0943-42-0011

創業1677年(延宝5年)の老舗。福岡で2番目に古い蔵『後藤酒造場』からは大吟醸の新酒。季節限定で、しかも大吟醸、という「今だけ、ここだけ、いいもの」に弱い女心にはたまらない。

このお酒のキラキラしたネーミングやラベルにも合う、金色のからすみが入ったドレッシングがかかっているのは、太い元気なアスパラとアオリイカの耳。アスパラは昆布だしでさっとゆがいていて、気づくか気づかないくらいのところできちんと和食の仕事がなされているのが心憎い。

ヤリイカでもコウイカでもなくアオリイカを選ぶのは、歯ごたえとやわらかさのバランスのよさ。アスパラの柔らかすぎない食感とアオリイカの耳の歯ごたえは、山のものと海のもの別のものなのに、“新鮮な”という共通の印象を残す一皿だ。お米をよく磨いたいい大吟醸の新酒だからこその、ちょっととんがった強さを、からすみがさらりとかわす感じがおもしろい。

同じ新酒の生酒にも関わらず、明らかに性格の違うこの2種類のお酒に、この2品を合わせた白次氏に脱帽の春だ。

【料理協力】
石堂橋 白つぐ 
福岡市博多区中呉服町10-1
<昼>定食 1,200円~(コーヒー、デザート付+400円)、コース 3,200円 
<夜>コース 5,250~7,350円 ほか各種一品料理 ※コース内容は相談に応ず

三月 【第十回】

◆秘密の桃色の節句。 春の花のジュレと 国菊 色彩にごり 純米酒
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◆春を呑む。春を食む。早春船と 冨の寿 花大吟
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秘密の桃色の節句。
春の花のジュレと 国菊 色彩にごり 純米酒

国菊 色彩にごり 純米酒
500ml 1,050円
精米歩合65% 米・米麹
アルコール7~8度



米の成分から桃色の色素をつくりだす特別な酵母を使用したにごり酒。
株式会社 篠崎
福岡県朝倉市比良松185
TEL0946-52-0005

「昔々ピンクが大好きなお姫さまがいました。お姫さまの食卓には、ピンクのお酒にピンクのゼリー…」なんておとぎ話が聞こえてきそう。

今回の主役は乳白色がほんのり色づいた、桃色のにごり酒。これは正真正銘の純米酒で、桃色は米の成分からできる天然の色素だそう。三月だし、桃の節句だし、女の子だもの。ということで、このおとぎ話の感覚を分かってくれる料理人を…と井口和泉さんに料理をオーダー。

まるで永久冷凍保存されたような花のジュレは、口に含むとほんのり蜂蜜とバニラ香り。甘酸っぱいお酒とよく合って、ビジュアルも味も期待通りのまとまり感。しかし実はこのお酒の裏の魅力を引き出したのは、後ろに見える小さな前菜、なんとフォアグラだ。

一口大に切ったフォアグラと八朔とクランベリーを一度に口に含んで、お酒をひと口。フォアグラのぬめっとした食感と、どろりとしてまだ少しぷちぷちと発泡しているにごりが絡むと、今までに味わったことのない甘い香りが鼻腔にたちこめてくる。桃色なのにちょっとワイルドでちょっとビター。どこか後ろめたい味は、男子禁制で。

【料理協力】
仏菓子・家庭料理教室 Puits d’or(ピュイドール)井口 和泉 
福岡市早良区飯倉
izumingo@mac.com
昼のクラス11:00~14:30、 夜のクラス19:00~22:30
内容/6~8品 レッスン料/5,000円(材料費込)

春を呑む。春を食む。
早春船と 冨の寿 花大吟

早春船と 冨の寿 花大吟
500ml 1,890円
精米歩合35% 米・米麹・醸造アルコール 
アルコール14度



「花大吟」は、 そのナデシコの花からとったという珍しい花酵母で仕込んだ大吟醸。
冨安合名会社
福岡県久留米市山川町326
TEL0942-43-6391

「冨の寿花大吟」は、まるで春を飲んでいるよう。蜜のような香りにするりと口に馴染む軽やかな口あたり。「花」といっても大輪ではなく、可憐でつつましい小さな野の花のような初々しさがある。そのまま食前酒としてもいいが、梅が芽吹きだす頃の食ともしっくり馴染む。

例えば、2~3月に山を歩いていると落ち葉の間から1~2cm顔を出す筍。まだえぐみもなく、やわらかな歯ごたえで香りがするものがいい。例えば、瑞々しいあおい味のする菜の花もそうだ。合わせて食すと、お酒の春らしさも、食の春らしさも、お互いが引き立てあって香り立つという最高のマリアージュをみせてくれる。

「人生を旅にたとえると、春は可能性に向かって出発のとき。色でいうと、“あお”かな」と、春の食材を舟に見立て、鮮やかなほうれん草のソースに浮かべた素敵な一皿に誂えてくれたのは、老舗『料亭きくしげ』の榎田シェフ。様々なものが芽吹く春の陽気の中、お酒と食でほろ酔いを楽しみながら、改めてこれからの旅に思いを馳せてみるのもいい。

【料理協力】
料亭 きくしげ/クィジィーヌ明(あきら)
福岡市中央区西中洲4-1
TEL きくしげ/TEL 092-761-2230 明/TEL 092-712-3124
きくしげ…会席15,000円~※各種会席応相談
明…鉄板焼コース6,000円~、アラカルトメニュー各種 

二月 【第九回】

◆シンプル・イズ・ベスト。湯豆腐と蜻蛉(とんぼ) 特別純米酒
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◆この1本で、 有明の海を食べ尽くす。平貝(たいらぎ)と花の露 特別純米酒
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シンプル・イズ・ベスト。
湯豆腐と蜻蛉(とんぼ) 特別純米酒

蜻蛉(とんぼ)
特別純米酒
300ml 472円、720ml 1,365円
山田錦(麹米)・ 夢一献(掛米)
精米歩合55% 米 ・ 米麹
アルコール14.5度

福岡産の山田錦 ・ 夢一献、 名水百選である阿蘇の白川水源湧水と原料にこだわった造り。
若波酒造合名会社
福岡県大川市鐘ヶ江752
TEL:0944-88-1225

料理も酒もシンプルで素朴であるほど、素材と腕が試されるもの。冬の寒ささえ楽しくなるような温かいものをと今回紹介するのは、そんなシンプルの極みのような組合せ。

大豆と水で作る豆腐と米と水で造る酒だ。お酒は、家具で有名な町大川の酒蔵である『若波酒造』から。蔵人は、5人と小さな蔵で、仕込むお酒も多くはない。

だからこそ、一つひとつ丁寧に愛情と労が注がれている。お酒主役ではなく、料理をさらに引き立てておいしく食べてもらうためのお供に、というコンセプトで造られた「蜻蛉(とんぼ)」は、ひと口めから不思議と懐かしい感じがする素朴な味わい。

その蔵元が合わせるならこれと太鼓判を押すのが、蔵元一家で行きつけにしているという『梅の花』の湯豆腐。鹿児島の温泉水を使ったこだわりの豆腐を火にかけて10分弱、おたまですくうと、とろりととろけて角がないくらいでいただくのがいい塩梅。

蜻蛉と合わせるとあら不思議、白子のような舌触りと大豆の濃い風味がさらに豊かに感じられてほっこりと頬が上気してくる。

【料理協力】
梅の花 久留米店 
福岡県久留米市東町40-7
TEL:0120-36-1423
梅の花膳3,700円、梅の花ランチ1,500円、蜻蛉(300ml)1,200円~

この1本で、 有明の海を食べ尽くす。
平貝(たいらぎ)と花の露 特別純米酒

花の露(はなのつゆ)
特別純米酒
720ml 1,260円
山田錦(麹米)・夢一献(掛米)
精米歩合55% 米・米麹
アルコール15~16度

どんな温度でのんでも、 どんな料理と合わせても美味しい。
株式会社 花の露(3月中旬HP開設予定)
福岡県久留米市城島町城島223-1
TEL:0942-62-2151

出しゃばらないけど懐の深いお酒。「花の露 特別純米酒」をひと言でたとえるならこうだ。何かを強く主張するような派手さはなく、春搾ってひと夏から1年くらい寝かせて味を落ち着かせている。

昨年の春に搾ったものが、ちょうどこの2~3月頃にはのみごろというわけだ。こういう地味でいいお酒は、コップ酒でひとりしっぽりと、カウンターに腰を据えていただきたい。

決して特別ではないけれど、地元でとれた地元の食を静かにだしてくれる昔ながらのこじんまりした居酒屋がいい。『鳥喜(とりよし)』は、昭和46年創業高山さん親子が営むお店。有明海と筑後の肴を食べさせてくれる。

2月なら、平貝(たいらぎ)の刺身と冷やからはじめるのがツウ。飴色の艶としっかりした歯ごたえが、今では希少品となってしまった有明産の証。次は筑後弁でくっぞこ(靴底)と呼ばれる舌平目の煮物を、少しあたためたぬる燗でちびちびと。最後はワラスボの炙ったものの上にさらに熱くしたお燗酒を注ぎ、ひれ酒風に仕上げる。「たいらぎは干潟の泥の質で形が違ってね…」なんて、おやじさんのうんちくまで聞けたらいうことなしだ。

【料理協力】
鳥喜(とりよし)
福岡県久留米市東町34-45
TEL:0942-32-0875
平貝(11/1~2/末 ※とれない日もあり) 時価、日本酒(1杯)460円 

一月 【第八回】

◆東風吹かば・・・縁起のいい福酒初め。大丸別荘の前菜と大吟醸 筑紫野
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◆紅白の愛でたい福酒で新春を祝う。メロンの生ハム巻きと発泡性清酒あいのひめ
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東風吹かば・・・縁起のいい福酒初め。
大丸別荘の前菜と大吟醸 筑紫野

大吟醸 筑紫野
720ml 2,625円
山田錦
精米歩合38% 米・米麹・醸造アルコール
アルコール15度以上16度未満


太宰府の名峰宝満山の花崗岩を水源とする伏流水と山田錦で醸した華やかな酒。
大賀酒造株式会社
筑紫野市二日市中央4-9-1
TEL092-922-2633

福岡の初詣の定番といえば、太宰府天満宮。寒い中行列に並んでいよいよ自分の番、お賽銭を投げ、二礼二拍手一礼。顔を上げたところで、お堂の前をちょっと覗いてみてほしい。奉納された数ある酒樽の中で、毎年一番前に堂々と在るのが『大賀酒造』の樽だ。

福岡県で最も古い酒蔵である大賀家は、毎年秋の大祭で使われる牛車の牛を所有するなど代々太宰府天満宮とゆかりが深く、今でも季節の行事には必ず酒を奉納している蔵だ。中でも今回の「大吟醸 筑紫野」は、天皇陛下や皇太子殿下・妃殿下も召し上がられた格式高いお酒。

合わせる料理は、同じく二日市『大丸別荘』の前菜(写真は12月のもの)。宝満山の花崗岩を水源とする伏流水で醸された清清しい華やかなお酒は、まるでおせちのような色とりどりのひと口サイズ料理のどれともよく合って、気持ちまでワクワク華やいでくるようだ。

そしてこのお宿、太宰府天満宮御指定の宿であり、昭和天皇が宿泊されたこともある。不思議なご縁で結ばれたお酒とお宿と太宰府天満宮。これほど縁起のいい福酒初めはない。

【料理協力】
大丸別荘 
筑紫野市湯町1-20-1 二日市温泉
TEL0120-026-145
平日昼5,775円~、土・日曜、祝日昼9,240円、夜9,240円~

紅白の愛でたい福酒で新春を祝う。
メロンの生ハム巻きと発泡性清酒あいのひめ

喜多屋 発泡性清酒(純米)あいのひめ、あいのひめロゼ
各180ml 各399円
山田錦
精米歩合60% アルコール約7度


ロゼのピンク色は紅麹を使用。
冷やして開封前には優しくよく混ぜて。
株式会社 喜多屋
福岡県八女市本町374番地
TEL0943-23-2154

新春はもちろん、地元福岡の日本酒で祝っていただきたいが、数ある福酒の中でも祝いの席にピッタリなのが、創業180年の八女市『喜多屋』の「あいのひめ」ではないだろうか。

名前の由来は、日本書紀に記された八女地方の語源ともなる女神、『八女津媛』の愛称「あいのひめ」からくるという。ボトルの色はブルーとピンクだが、グラスに注ぐと乳白色の白と華やかな紅色で、瓶内発酵によるきめ細やかな泡立ちが楽しめる、山田錦を100%使った贅沢な純米の発泡性清酒だ。

めでたい紅白とシャンパンのような泡立ちは食前酒や乾杯のシーンにもおすすめ。低アルコールで甘酸っぱく、さわやかな味わいに合わせた一品は、地元の食材を生かしたイタリアンで人気の『BAR DEL MAESTRO』に特別にリクエストした、生ハムとメロンのオードブル。

程よく塩分の効いた生ハムと、麹のクリーミーな風味、そこにメロンの芳醇な香りが加わると・・・ほら、想像してみて口の中に広がる幸せ。新年は女神「あいのひめ」からの贈り物で、幸せな一年をスタートしてみては。

【料理協力】
BAR DEL MAESTRO(バール・デル・マエストロ)
福岡市中央区天神2-10-3 VIORO7F
TEL092-752-7558
営/11:00~23:00
ランチコース1,300円~、ディナーコース1,800円~、生ハムの盛合わせ900円 

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