不器用だと思っていた短所もひとつの個性。

横田 きよみさん
プランナー コンセプトピディア代表よこた・きよみ / 1966年生まれ。広告代理店「株式会社西広」を経て、1992年に企業や事業展開のプランニングを行う『コンセプトピディア』を設立。昨年から「子育て支援住宅づくり」に携わり、今年からNPO法人子ども文化コミュニティーの活動も始めた。北九州を拠点に商業活性会、まちづくり、企業の理念や戦略づくり、マーケティング、販売促進展開等の分野で活躍している。
まちづくりや企業の事業展開のプランニングを行っている横田さん。ゆっくりと言葉を選びながら話す彼女の口調は、穏やかで安心感がある。「私って肩書きと雰囲気が全然違うでしょ?」。気負いのない彼女の話に惹きこまれるまで、時間はかからなかった。
人生を変えた、師匠との出会い
「特にこれといった特技もないごくごく平凡な子」と自分の子ども時代をそう語る横田さん。コピーライターという仕事への憧れから、広告代理店に入社。そこで師匠と呼べる上司と出会う。直属の上司だったその人は、横田さんにプランニングの仕事を一から教えてくれた。どうしたらこの街や店に人が集まるのか。人のあらゆる行動パターンや心理を考える。パズルのピースを埋めていくように、1個1個組み立てるたび、新しい発見のあるプランニングの仕事の面白さに惹かれた横田さんは、コピーライターではなく、プランナーになろうと決めた。
3年後、今がいい時期かもしれないと感じた横田さんは、独立を決意。早すぎる独立に「プランだけでは食べていけない」と周囲は反対した。しかし師匠から「仕事は自分で面白くしていくもの。人から面白くしてもらおうなんて考えは300億年早い」と教わった。自信は全くなかったが、現状に満足したくない、今より仕事を面白くしたい、という想いだけは強かった。
物事の背景を考える
勢いで独立した横田さんは、自分の意見が時にその会社の方向性を決めてしまう仕事の怖さ、責任感の重さを痛感。態度や言葉も今まで以上に気をつけるようになった。ある企業で社内の改善を頼まれた時、「サングラスをかけてこい!」と怒鳴られたことがあった。ワンマンな社長の態度を見て、「原因はあなたよ」と顔に出てしまっていたのだ。後から考えてみれば、「あの時ワンマンにならざるを得なかった社長の気持ちを考えることができたら、あんな態度はとらなかったと思う」。
プランニングとは人を見ること、そして人を知ること。自分が経営者だったらどうして欲しいか、消費者だったらどんな物が欲しいか。横田さんは失敗や経験を通して、物事の表面だけでなく奥にある背景を意識し始めるようになったという。
昨年は「子育て支援住宅づくり」に参加。リサーチから始まり、母親の気持ち、子どもの動きを考えた。自分が経験したことでないから、この仕事はできないと考えるのではない。「想像力を働かせ、考えることで見えてくるものがある。私もまだまだ気が付いていないことがたくさん。新しい仕事をする度、発見の連続なんです」。横田さんのモットーは「失敗しても、反省はするけど後悔はしない」だ。
不器用さもひとつの個性
独立したばかりの頃、個性的な周囲に圧倒され、不器用でこれといった個性のない自分にコンプレックスを感じていた時期があった。その時、師匠から言われた言葉が「それも長所。不器用なところがお前の個性だ」だった。その時は分からなかったことも、立ち止まって考えることで分かってくる。小さなことにも疑問を持ち、考え、学んできたこと全てが自分の肥やしになっていると。「自分に嘘をつかずに、正直に生きていきたい。柔軟さと頑固さをあわせ持ちながら」と横田さんは言う。人と自分を比べて落ち込むのではなく、自分の長所を生かして前に進めばいい。肩の力を抜いて、自然体に。
撮影 酒井 晃
取材・文 本庄 香織





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