LICCAさん
現代美術アーティスト
りっか / 東京生まれ、東京育ち。学生時に事業を興すもあっさり会社を手放し、北九州へ隠居。読書三昧・車道楽の日々を過ごしながら1999年に初の個展を開催。以後、北九州や福岡の美術館をはじめ東京・京都のギャラリーなど各地で刺激的な作品を発表し続けている。9月1日よりリバーウォーク北九州1 Fミスティック・コートにて作品「雛鍔(ひなつば)V」を公開予定。http://www.licca.info/
事業経営は一つのステップ。目指すは自由で気ままな隠居
巨大な構造体から轟音をあげて降り注ぐ3万枚もの1円玉。 101個の風船が発光しながら自在に鑑賞者の周りを浮遊する時空間。意表をつくこれらのダイナミックな造形作品が、スラリと細いこの女性の手で作り出されたと知れば、誰もが驚くだろう。
LICCA、北九州を拠点にユニークな活動を続ける気鋭の現代アート作家。評価が定型化した古典芸術とは違い、まだ明らかでない時代の息吹を先取りして提示する現代アートは、しばしば私たちが盲目的に「常識」と信じている価値観を超える。「アーティストは、生き方をみせるものだと思うのよ。生き方や認識の積み重ねが、作品に反映されるんじゃないかな」と語る彼女の生き様も、いわゆる常識的な範疇には収まらないかもしれない。
両親が会社経営に忙しかったため、おじいちゃん・おばあちゃん子だった彼女は、幼い頃から「遊んでいるようにみえる」隠居が夢だった。日がな一日、お茶を啜って世間話や趣味に興じるお年寄りの生活が、羨ましく見えたのだ。「子どもの頃、文学雑誌の私小説を読むとたいてい、実生活で食った食えないなんて書いてあるのよ。それなら、先に収入を確保してから書けばいいんじゃない? って思ったの」好きなことをするにはお金が必要。ならばどのくらい必要で、どうやって確保したらいいのかと考えた末、大学を1年で辞め精密機器の製造会社を起業。しかし、景気が悪くなりそうな空気を察知するや従業員の再就職を斡旋した後、会社を売却した。「働いたのはやりたいことを手に入れるための手段。効率のいい生き方がモットーかな」と笑う。
人も社会も多元的。壁があったら迂回する
貯めたお金は不動産へ投資して家賃収入を確保、いよいよ憧れの隠居生活へ。あらゆる分野の本を1日2冊ペースで読破しながら、田舎へ移ったらオープンカーで走る。という夢も叶えつつ、車関係の知人達から交友も広がった。面白いかも、と現代美術のギャラリーを巡るが飽き足らず、これなら自分で創っちゃえと発表した作品が評判を呼び、今では様々な企画展で活躍するアーティスト。こんな経歴の彼女だが、意外にも失敗を歓迎したいという。「自分の成功モデルを作ってしまうと、人は何度でもその真似を繰り返す。そこに、進歩はないでしょ。だから、その方法を壊そうといつも意識してる」
ポリシーは、自分が絶対正しいとは思わない、正義感は持たないようにすること。多様な価値観を受容する、しなやかな感性を大切にしているのだ。例えば、壁にぶつかった時の処世術。「ぶち当たって、立ち止まるくらいならさっさと迂回するのよ。これがダメならやめようって。一つの道しか行けないわけじゃないんだし。迂回できないのは最初から、こういくべきだ。なんて正義感を持っているからよ。常にもう一段、広い視点から全体を見ておけば、ここがダメならこっちに行けるな、と思えるんじゃない?」
人生は愉しむためのもの。さて、如何致しましょう? 作品を通し、自身の生き方を通して彼女は問いかけ、提示し続ける。


















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