好きな日本語は「一期一会」。「この世に生まれてきて、色々な人と出会うわけですが、その出会い一つ一つを大切にしたいです」
李 正善さん
韓国語教室 KS-LEE、Lady’s SPA 李’s 代表。1963年生まれ。韓国ソウル出身。20歳のとき結婚を機に北九州へ。翌年、韓国語教室『KS-LEE』を開校。以来23年間、多数の教室で講師を務め、翻訳、通訳業にも携わる。2007年1月に、『Lady’s SPA 李’s』をオープン。
思いを伝えられるってすばらしい
まだ日本では韓国のことがほとんど知られていなかった24年前、李さんは結婚を機に北九州へやってきた。初めての日本。当時、何と20歳。その頃の韓国では女性は23歳頃までに結婚するのが一般的で、結婚=女性の幸せだった。「早く自立して親孝行をしたかったんです。冒険でしたが、自分で決めたことだから迷いはありませんでした。若くて、純粋でしたね(笑)」
最初は日本語がまったく分からず苦労した。必死で言葉を覚え、会話ができるようになった1年後、「自分に今できることは何か」を考えるようになった。「いつか日本と韓国はもっと親しくなり、お互いの言葉が必要になる」とその頃から確信し、両国の言葉を教えることが自分の使命だと感じて、韓国語教室を始めた。「たくさんの言葉を知らなくてもいいんです。感謝の気持ちや自分の思いを素直に少しでも伝えられるってすばらしいことですよね」。
‘88年のソウルオリンピックをきっかけに、韓国語講師として活躍していた李さんに通訳や翻訳の依頼がどんどん舞い込んできた。2人の息子はまだ幼かったので、韓国のお母さんに何度も手伝いに来てもらい、日本と韓国を飛び回った。とにかく社会に認められたくて懸命に働き、「未熟だったけれど一番輝いて充実していた」27歳の頃だった。
日本の女性の健康を守りたい
くじけそうになったことは、もちろんたくさんある。でも「苦労を苦労だとは思いません。成功するための途中経過です。ダメだと思ったら自己暗示にかかってしまう。自分の中で評価を変えて行くしかないんです。それを乗り越えれば心も成長し、さらに高みに上れるはずです」と語る李さん。30歳を前に、離婚というつらい経験をしたが、韓国に帰ろうとは思わなかった。「いろんな方との触れ合いやつながりに、本当に助けられてきました。逃げたら、支えて下さった方や両親、子どもたちまでも裏切ることになる。今まで関わった全ての人が私にとってスペシャルです。その方たちに恩返しをしていきたいんです」
20代は体力に自信もあり多忙な日々を送っていたが、30を過ぎて大きな転機を迎える。体調を崩し数回の入院を繰り返したことで、健康でなければ何もできないことを痛感し、それをきっかけに、「日本の女性の健康を守りたい」という思いを強くした。「病気は治療ではなく予防が大事です。でも、日本の女性はその意識が低い。女性が、特にお母さんが元気じゃないと家の中は暗くなりますよね」。そして、その思いを実現させるため、昨年1月、韓国伝統の「よもぎ蒸し」やエステサロン、ネイルサロンなどを備え、女性の健康と美を支える『Lady,s SPA 李,s』をオープンした。
「今になれば、若い頃なぜあんなにがむしゃらだったんだろうと思うこともあります。でも、ただ日本にお嫁に来た、だけで終わりたくなかった。韓国にいたらそんな風には思わなかったでしょうね」。韓国よりも長くなった日本での生活。日本に来たからこそ、見えたことがある。「韓国も日本も大好きです。日本は私を育ててくれた国。女性であり、韓国人である自分ができることをこれからも精一杯やっていきたい」と語る目は静かに、しかし力強く輝いている。

日本の女性の健康と美を守るために、昨年オープンした『Lady’s SPA 李’s』は、心と体が安らぐ癒しの空間。また、併設の韓国語教室『KS-LEE』は23年の歴史を持ち、多くの卒業生が様々な方面で活躍中。現在も、幅広い年齢を対象とした多彩な講座内容で、日韓の交流を深める役目を果たしている。


















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