
川原 尚行さん
NPO法人・国際NGO ロシナンテス 理事長
かわはら・なおゆき/1965年生まれ、北九州市八幡東区出身。医学博士。小倉高校、九州大学医学部在学中は共にラグビー部の主将を務める。卒業後、外務省に入省し医務官としてアフリカのスーダン大使館に赴任。2005年に外務省を辞職、ロシナンテスを設立し、スーダンにて支援活動を始める。ロシナンテス本部事務所 093-922-6470
目の前で苦しむ人を助けたい!
高校時代はラグビーをするためだけに学校に通っていたようなものでしたね。主将を務めていて、本当に寝ても覚めても授業中もラグビーのことを考えていました。大学でもラグビーに没頭していましたが、それで培った経験や精神力、先輩・後輩とのつながりは、今、とても大事なものとなっています。
医学部に進んだのは、直接的に人に役立つ仕事をしたかったからです。卒業後、外務省に入省して、アフリカのスーダン日本大使館に医務官として赴任しました。そこで、難民や貧困問題など、内戦のつめあとが生々しく残るスーダンの現状を目の当たりにしました。でも、日本大使館の医務官なので、基本的には日本人しか診ることができない。目の前に治療が必要な人がたくさんいるのに、手を差し伸べることができないという葛藤に苦しみましたね。
そして、悩んだ結果、一人の医師として自分ができることをしよう! と決心して外務省を辞職し、支援活動を始めました。高校時代のラグビー部のマネージャーだった妻は、一度決めたらつき進む私の性格をよく知っているので、「あなたがそういうのなら」と応援してくれました。今も年に2回ほどしか帰国できないのですが、妻も仕事をしながら3人の子育てを頑張ってくれていて、本当に感謝しています。
力を合わせれば何かできるはず
スーダンでは、医療事業を軸に、教育、衛生、スポーツ振興などの支援活動を行っています。支援するにあたって一番重要なのは、現地の人たちの力で自立できるようにすること。支援は永久には続きませんから、その体制づくりを出来ることから一つずつはじめています。
スーダンの人々はとてもフレンドリーで、おおらか。たとえ生活は貧しくても心が豊かなんです。自分自身、学ぶことがすごく多いですよ。物事の見方や視点、感覚の軸を変えて、色々な考えを持つことの大切さを痛感しています。
現地で活動していて、嬉しかったことはたくさんありますが、中でも重いマラリアを治療した女の子が結婚したとき。ふつうはお嫁さんに会うことはできないのですが、呼んでくれて、その綺麗な顔を見たときは、感慨深かったですね。
「ロシナンテス」という名前は、小説「ドンキホーテ」の痩せ馬「ロシナンテ」から取ったものです。この広い世界で、一人ひとりは無力で小さな存在だけれど、集まって力を合わせれば、何かできるはず! という想いを込めて、複数形の「ロシナンテス」にしました。
大切な人たちに支えられて
帰国の際の滞在は1カ月ほどで、その間は、講演会やイベント、交流会などに奔走し、分刻みに動いています。でも、どんなに忙しくても、前の日遅くなっても、家にいるときは家族と一緒に朝食を取ります。家族は大切な存在。仲がいいですよ。息子からは「お父さんが帰って来ると祭りのようだ」と言われます(笑)。そして、体の疲れを取るには大好きな温泉がいちばん! 河内のあじさいの湯には何度も通っています。
今年10月の帰国時には、北九州芸術劇場で「集え! 北九州のロシナンテたち」というイベントを行いました。北九州の中・高・大学生が講演を通じて考えたことを発表したり、スーダンを訪れた経験のある学生たちに、彼らが見たこと感じたことを話してもらったり、もっとスーダンを知ってもらうこと、異文化と関わってもらうことが目的でした。これもまた、多くの方に支えられて実現したことです。地方都市の北九州でこんなに面白いことやってるよ!とアピールできたのもうれしかったですね。
日本では、各地の中・高校での講演を通じて、若い世代と対峙するのがとても楽しみ。彼らはすごく真剣に興味深く話を聞いてくれて、ちょっと不真面目そうな生徒から「カッコエエ!」と言ってもらえたり、パッと手を挙げて「世界は広いですか?」とまっすぐな目で質問されたり、大人にはない純粋な気持ちに触れることができて、感動しますよ。こちらもエネルギーをもらいます。
これからの目標は、ロシナンテスの活動をもっともっと多くの人に、まず知ってもらうこと。そして何よりも、この活動は北九州で支えられています! 北九州で国際協力やってます!と、声を大にして伝えていきたいと思っています。





コメント