
藪内 孝彦さん
やぶうち・たかひこ。『藪baryab(バー・ヤブ)』のオ―ナーバーテンダー。1973年北九州市出身。バーテンダーに憧れ、21歳の時『BIRD.TheBar』に就職。7年間の修業後、28歳で独立し、現在に至る。独特なインテリアセンスとさりげない接客にファンが多い。ジンリッキー、フルーツカクテルが得意。26歳の時、日本バテンダー協会九州大会決勝で課題のカクテル部門で3位で入賞。趣味は読書。
「機微」こそ、サービスの基本。
憧れのバーテンダーへの道に進むことができたのは21歳の時。それまでにはどのようにしたらいいかさっぱりわからず、レストランバーやスキー場、営業などアルバイトで寄り道をしていました。求人誌で『BIRD・The・Bar(バード・ザ・バー)』を見つけた時はほんとうに嬉しかったですね。
『BIRD』では多くのものを学びました。「機微を知れ!」。機微とは容易には察せされない微妙な事情や趣(と広辞苑で書かれています)。普通には察せられない気持ちにまで気づく努力をしなさいという意味。実にお客さんの気持ちを汲み取ったサービスができて、一人前のバーテンダーになれるのですね。サービス業においては至って基本ですが、恥ずかしい話、若い頃の私は、言葉使い、礼儀に始まり、知らないことづくめでした。
当然ですが、日々を重ねるうち、少しずつその真意が解ってきた気がします。お客様の本日の体調は?今の気分は?をキャッチし最高のカクテルを作って差し上げようと腕を振るう。その気持ちがお客さんに伝わり、「美味しかったよ」や「お顔見にきたよ」とフィードバックされる。こっちもまた嬉しくなり、もっと喜ばれるように頑張ろうと思うのですね。思えばお客さんから、本当のサービスの意味を教わっていたのです。
薮baryabをオープン。
28歳に現在の『藪 bar yab(バー・ヤブ)』をオープンしました。独立の予定は30歳でしたが、早くも転機が訪れました。繰り返される毎日に焦燥感を感じはじめ、笑えなくなった自分がいたのです。独立する勇気はない。ジャンルを超えて再チャレンジする力もない…。悩んだ末、下したのは結局「自分の店を持とう」という決断でした。困難はありましたがたくさんの方の力添えで店を開くことができ、そして気付けば来年4月に3周年を迎えることになりました。
もっとバーを楽しんでいただけるには。
北九州のバーのレベルは東京・大阪などの大都市を除き、他の地区に比べて劣ることはないと思いますが、バーのあり方は時代によって変わらないといけないという危機感も合わせ持っています。
バーはお酒が飲める方が、楽しむ場所というイメージがありますが、これからは飲めない方でもバーを楽しめる気軽さを提供していきたいと思っています。人によって酔える酒量は異なりますよね。中には1滴のアルコールで酔う方もいると思うんです。カクテルはその調合が自由にできますので、気軽にお申しつけいただきたいし、私たちも知らせていく努力をしていかねばと思っています。
バーテンダーの知名度をより高めていきたい。
バーをより親しんでいただけるにはバーテンダーの地位向上が必須だと思っています。オーナーシェフ、オーナーソムリエのように、オーナーバーテンダーがあっていい。どうしたらそれができるのでしょう? 私は業界のみんなが力を合わせ、盛り上げていければ可能だと思っています。一人ではできないことでも、力を一緒にできれば、大きな渦を作り、輪を広げられる。そう信じ、微力ですが実際仲間と活動をしています。
この業界に足を踏み入れ、もうすぐ10年になろうとしていますがやはりこの仕事は好き。でも、そこに安住してはいけない気持ちもあります。手にした技術、教わった人生の素晴らしさを、これから自分より若手に伝えていきたいですね。


















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