
熊本 陵平さん
音楽文化創造団体『Leciel』 代表
くまもと・りょうへい
1976年生まれ。2000年、アメリカの名門インディアナ大学ブルーミントン校ピアノ科修了。名ピアニスト ミシェル・ブロックの最後の弟子。作曲を南弘明、吉田峰明、ユージン・オブライエン、室内楽を練木繁夫の各氏に師事する。IMTNA音楽コンクールにて作曲・ピアノ両部門とも1位。現在、音楽創造団体『Le Ciel』の代表を務めるほか、FM KITAQにて「マエストロ!お時間です♪」のコーディネーター兼解説を務める。
音楽文化創造団体を設立
アメリカから帰国して早5年。様々な音楽関係者の会議に出席するようになった。話題に必ずのぼるのは「地元北九州市の音楽家にもっと活動の場を」ということだが、ほとんどの関係者は提案はしても何も行動に移せてない。自分も、事あるごとに提案を繰り返していたが、年功序列的な閉鎖された社会でもあることから、いくら提案してもなかなか実現には程遠いことを実感した。
「このままでは不平・不満・愚痴となんら変わらなくなる」。そう思い、1年ほど前に仲間の音楽家たちと『Le Ciel』という団体を結成した。
北九州の音楽文化の現状
多くの北九州市民は北九州市に一体どれくらい音楽家が存在しているのか知らない。現在、500人以上音楽家がいるなかで、知られている人はほんの一部。コンサートを行うたびにお客様から、「音楽家っていつも何やってるの?」とか「どうやったら北九州市の音楽家と知り合えるのか?」などと多く質問された。また、一方では多くの地元音楽家は自分から売り込みにいくことをしない。ただ、仕事が来るのを待っているだけだ。そうして来る仕事をただありがたがってやるか、報酬の額の交渉をする程度。かつて自分もそうだった。演奏する側と聴く側の接点がまったくなく、これではいくら演奏者がよく考えて価格や曲目を設定したとしてもお客が来るわけがない。市内の音楽家たちの多くが考えている価格の相場や曲目選定などは、聴く側の市民の思う価格相場や聴きたい曲目とかけ離れている。
そういう矛盾を感じているとき、ある地元音楽家に「なぜ音楽をやってるの?」と尋ねたことがある。その人は「食べていくため」と答えたが、単純に食べていくためなら音楽家にならない方がよい。もっと良い仕事が見つかるはずである。では、なぜに音楽家なのか?音楽家は音楽創作のことだけ考えていればいいわけではなく、音楽家だからこそ、人々に「心の文化」を訴えていくべきだと思った。
地域の音楽文化に貢献したい
『LeCiel』はこのような想いから、音楽家と一般市民とが手を結べる接点を作り、地域音楽文化に貢献していこうと活動を開始した。北九州市内外、身近な店舗を始めとして、様々な場で演奏を行い、更に新たな活動の場も開拓していった。その活動を行っていくうちに様々な人に出会い、助けてもらい、音楽についても他の分野についてもいろんなことを学んだ。より幅広い考えで取り組むようになり、現状は変わらなくとも以前のようにジレンマを感じることが少なくなった。また、自分の能力は決して音楽だけではないことも知った。
今、『LeCiel』は音楽文化創造団体という肩書きのほかにNPO法人という肩書きをつけようとしている。これは、お遊びではなく真剣に行うことの意思表示のようなものだ。『LeCiel』としての活動はこれからが本当のスタートである。市内の音楽業界には数多くの問題点がある。一般市民が自分に合った音楽講師を探す手段がないこともその一つである。今後、『LeCiel』が取り組んでいく事業のなかには、一般市民が安心して音楽講師を探せるように、生徒のやりたいことと講師の教えたいことがマッチできるように、情報提供を行うことも検討中だ。
世界的ピアニストを招き コンサートを開催
9月10日には、世界的なピアニストケヴィン・ケナー氏を招いて地元音楽家とのコラボレーションコンサートを行う。これもまた、知られざる地元音楽家が世界的な音楽家とひけをとらない例を示すことと地元音楽家たちに刺激を与えるためなど、その聴衆を含めた参加者たちに地域音楽文化について考えるきっかけ作りとして臨んでいる。
*ケヴィン・ケナー氏とのコラボレーションコンサートについてのお問い合わせは、093-583-3850(スミックスホール取り扱い)


















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