真花 宏行さん
『料亭 金鍋』店主
まはな ひろゆき / 北九州市若松区出身。九州産業大学芸術学科卒業。35歳で5代目店主となる。30歳から板場で10年近く修行し、店の伝統的な味を習得する。現在は板場に立つこともあれば、店全体のマネジメントやイベント企画など、仕事内容はさまざま。もともと映画界で働いていたことや、若松ゆかりの映画がたくさんあることをきっかけに、料亭で映画を見ながら食事をする「若松映画祭」を企画・実行。
改めて見えてきた価値に気付く。
私は生まれも育ちもずっと若松。生粋の若松っ子です。しかし、大学で美術を学んだ後は東京で映画の世界に入りました。映画会社の美術担当として、当時人気だったゴジラシリーズや孔雀王といった映画に携わりました。黒澤明監督とも一緒にお仕事させていただいたことがあります。もう、一生映画で食っていこうと思っていましたね。でも、ちょうど30歳のころ、父親が体調を悪くしたのをきっかけに若松へ戻ってきました。東京では十分にやりたいことをやらせてもらったし、それに何より、戻ってきたことで若松がとても新鮮に見えたので、跡を継ぐことにしました。「将来は家業を継ぎなさい」とは言われずに育ってきましたが、家業のことを「古臭い、時代遅れだ」と捉えていたんですね。でも、戻ってから改めて見ると、建物や食文化そのものがとても価値のある大切なものだと分かったんです。それからは、父親の下で板場に入り、一から修行し始めました。
郷土料理や食文化を次の世代へ。
『料亭 金鍋』は今年で創業113年。若松の繁栄とともに育ち、文豪・火野葦平や俳優の天本英世さんなど、数多くの著名な方々に愛されてきました。その背景には、今まで培ってきた独自の味、そしてずっと守ってきた日本の食文化・郷土料理があります。その伝統を守り、後世に伝えていくことが料亭の使命であり、私の仕事であると自負しています。そのためにも、家業の味を守ることはもちろん、もっと若い世代の方が気軽に料亭に足を踏み入れられるようなイベントも企画しています。例えば、ジャズを聴きながらの食事会だったり、若松ゆかりの映画の上映会だったり。また、小倉城の中に『漬物処 糠蔵』という、糠(ぬか)漬け・糠炊き専門の店をオープンしました。郷土料理の文化を守るため、営利目的を抜きにしてでも、食文化の伝統を継承するような食のアミューズメントを作りたいと前々から思っていたことが、形になったんです。こういった様々な活動や当店の料理を味わっていただくことなど、入口はどうであれ、最近薄れつつある“母から娘へ伝える味・食文化”について少しでも多くの方が心をとめていただければと願っています。
仕事人に問う!
Q1 座右の銘は?
「一日一生」。昔からよく云われる言葉ですが、若松出身の映画俳優、故天本英世の座右の銘でもあります。私が映画の仕事をしていた時代から、親しくさせていただきました。「今日という一日を大切に生きなさい」と常々言われており、その言葉通りの一生を貫かれました。その生き様は、私の人生にも多大な影響を及ぼしました。人生はいかに長く生きたかでは無く、一日一日をどう生きたかにあります。人には必ず最後の一日が来ます。その時、後悔しないような生き方を心がけています。
Q2 尊敬する人を教えて!
もちろん、天本英世大先生。
Q3 この仕事に向いてる人は?
よく学び、よく遊ぶ人。


















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