
水本 弘文先生
北九州市立大学 文学部教授
みずもと・ひろふみ / ‘45年、福岡県山田市生まれ。九州大学フランス文学科卒業後、同大学で助手を経て、現在の北九州市立大学へ。フランスに興味を持ったきっかけは、子どもの頃に見た一枚のフランスの切手。その美しさに魅了され、勉強を始めたという先生は、毎年数回フランスに訪れては、その自由な空気を満喫しているのだとか。「よみうりFBS」の講師としても活躍中。
「たいせつなものはね、目に見えないんだよ…」。このフレーズであまりにも有名な「星の王子様」。一度はこの物語を読んだことがあるのでは? 砂漠に墜落してしまった飛行士と、そこで出会った不思議な王子様の物語。たくさんの哲学的な言葉と多くの謎。そこには忘れてはいけない大人へのメッセージが隠れている。文明が発達して、大事なものが見えにくくなっている今だから「星の王子様」は必要かもしれない。自身も大のフランス好き、北九州市立大学の水本先生がその世界へと導いてくれた。
フランス人と日本人の共通点
まず話はフランスの文化から始まった。オシャレで洗練されたイメージが強いフランス。言わずと知れた文化大国で、絵画、庭、映画etc…、多くの文化が花開いた場所だ。実は、フランスと日本には1つの共通点があるという。19C、フランスの画家たちが浮世絵に強い影響を受け、今日本人がフランスの印象派の絵画を好むように、美意識が似ているのだ。地味だけどよく見ると華やか、職人技を好む繊細さ。日本のわびさびが、フランスの調和、簡素さ、つまり“静の中の動”に通ずるというのは面白い。
パリジャン&パリジェンヌたちの考え方、生き方
でも考え方、生き方はといえば、「一番違和感がある」と言う人もいるほど全く違う。例えば、ハリウッド映画を見慣れた私たちには、フランス映画は静かで分かりづらく感じるのでは? でもそこには、フランス独特の世界観が溢れている。日本でもヒットした「アメリ」を想像しよう。風変わりな人々が登場するが、作家は彼らを否定するわけでなく、「それはそれでいいんだよ」と包み込むように描いている。多様性を認めているのだ。「これがまさにフランス的。不安定な地理、歴史の中で培われたんでしょうね」と先生は言う。
人付き合いもサッパリ、程よい距離を保つのがフレンチスタイル。アメリカよりも個人主義だ。「だから、初めはつっけんどんに感じるでしょうね。でもそれが悪いんじゃなくて、相手も自分も大切にしてるってことなんですよ」。生き方だってそう。日本人なら“どう生きるべきか”、でもフランス人は“どう生きたいか”が大切。そこには揺るがない筋と一貫性がある。100年間一向に変わらない街並も、そう考えると実にフランス的だ。
「こんなことを踏まえつつ、“星の王子様”を読むとさらに面白いですよ」と先生。目に見えないほんとに大切なものって何だろう? 現代にも通ずる“見えない世界”を見つめることで、私たち大人の胸に突き刺さるメッセージに気付くだろう。今まで読んだことがない人もこの機会にぜひ。

先生はユーモラスで話しやすい雰囲気なので、研究室はほのぼの。


















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