
北九州市立大学文学部教授
近藤 倫明 先生
こんどう・みちあき / 1952年大分県別府市出身。「不思議なこと」「説明がつかないこと」を科学として紐解きたいという好奇心から、心理学を専攻。福岡教育大学教育学部教育心理学科卒業。九州大学大学院博士課程心理学終了。1987年より、現在の北九州市立大学へ。論文には「法と心理」などに。ダンディな雰囲気と語りが素敵な先生。
日本でも世界にもあることわざ「百聞は一見に如かず“Seeing is believing”」。あなたは、一度でもこの言葉を疑ったことがある? でも、それってホント? 「いえいえ、違います。人間の目は、時として見えないものが見えたり、見えるべきものが見えなかったりするものなのですよ」と言うのは、北九州市立大学の近藤先生。先生の専門は視覚心理学。では、その根拠は? とたくさんの質問をストックして、いざ研究室へ。
誰でもはまる、視覚のトリック
見るゆえに間違う、つまり「錯視」は誰にでも起こりうる。私だけは違う! という疑い深いあなたへ、簡単な実験を。P3の2つの机を見て。一つは細長、もう一つはノーマルな形の2種類の机。でも、実はこれ、全く同じ面積の平行四辺形を縦横に並べただけというから、ビックリ。これでも、何かの間違いと思っているあなたへ、後押しの実験をもう一つ。下の図を見てみて。さて、不規則に並んだ13個の三角形はどこへ向かってる? ちなみに、私は右。でも、人によっては右上、左下に見えたりもする。このように、同じものを見ても解釈が異なるというのは面白い。当日のゼミでは、他にもたくさんの実験を用意。視覚のトリックにどっぷりはまろう!

引用:ロバート ソルソ(1994)
賢い脳をほめてあげて。
では、話は核心へ。「別に間違いではなく、視覚というのは、そもそもそういうものなのです」と近藤先生。どうやら、その原因は私たちの“脳のメカニズム”にあるらしい。“物を見る”という時、2つの作業が瞬時に行われる。“ボトムアップ”(目から情報を取り入れる)と“トップダウン”(情報を知識や経験から解釈する)だ。このトップダウンが、その原因の一つ。情報を知識や経験、ステレオタイプなどを駆使して解釈をするというのは、無意識で避けては通れず、特にあいまいな情報ほど、影響を受けやすいという。言い方は悪いけれど、常に「色メガネ」をかけている状態なのだ。さっきの三角形の実験だって、見る人が違えば違うものに見える。でも、自分は間違っていないと信じているから、やっかいだ。そんな証言が、法の現場で採用されているとしたら? 現在は、法的な場面でも少しずつ採り入れ始めている「視覚心理学」。先生の専門は交通心理学・目撃証言にも拡げられている。その辺の話も実際の事例を参考に詳しく伺おう。「人間の脳は、自然界の最高傑作。錯視も、賢いがゆえに起こしてしまうに過ぎないんです。そんな脳はすごいなって思ってくださいね」と先生。さあ、視覚に自信のある人、気軽に参加を! 実験型のゼミで身をもって体験しよう。


















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