「謙遜するほど偉くないから」と言い切ったのは、アヴァンティ編集長のキムさん。その時のシチュエーションは忘れてしまったけれど、「ほんとうにそーだね」と感服したのは私。
若い友人とすれ違いざまに「あら!コンニチワ!ステキなブラウスね」と誉めた。「ありがとう」と笑顔を残して立ち去ると思っていたら、そこからが大変。立ち止まって「3年前に買った安物で、色が変で、今日うっかり着てしまって後悔していたんです」ととめどない。人の良い私は「そんな事ないわ。とっても綺麗な色じゃあないの」と念を入れて誉める。しかしそれで終わると思ったら大間違いで「最近太ったからピチピチで…」などと思いつく限りの謙遜をする。その辺で私は「あー誉めるんじゃなかった」と後悔しはじめる。
謙遜って奥ゆかしいと思ったらとんでもない。相手に何度もほめる事を強要することなんだって気がついた。年上の知り合いが誉めているのだから素直に受けるのが礼儀じゃないのかしら。笑顔で「ありがとう」と返して、誉めた人を気持よくさせてくださいよ。「誉めてもらって元気が出たわ」「迷ったのだけどこのブラウス着て良かった」なんて言われるとこちらも元気が出るから不思議なもの。人を誉めないのは心のケチだけど謙遜し過ぎは魂のケチ。
つい数日前、すらりとした美人が「この頃太って、この部分に変な線が出るから痩せないと」とジーパンの後ろの方をさすりながらため息をついた。「あなたが太っていると言うならば、私なんて生きていけないわ」と私はおどける。彼女は続けてほとんどえぐれているとしか思えないお腹をさすりながら「下腹は結構ポッコリ出てるの」と言う。よせばいいのに、「私は全身ポッコリと出ているんだけど」としつっこく言葉を返しながら情けなくなっている。客観的にみればどちらもおバカよね。
先日、イギリス人の友人が息子さんを紹介する時に、名前の後に「彼はナイスガイなんだ」と付け加えた。「うーん本当にナイスガイ」と私も心の底からの相づちをうちましたよ。今度人に息子を紹介する時に使おうと思っているけれど、あの子には似合わない言葉かも。おっといけない!一番してはいけない謙遜でした。
![]() |
| ●やまぎわちづえ/料理研究家として広く活躍すると同時に、仕事は食品関連会社顧問、メニュー開発、執筆、講演、公的機関の委員、テレビ番組、ラジオのコメンテーターとして多方面にわたる。著書「おなかすいてない?」海鳥社より好評発売中。 http://www.qbiz.ne.jp/yamagiwa |
| →最新記事に戻る |
| →バックナンバー一覧 |
鈍感は不幸の始まり
2004-03-28 17:22. [ いろいろ ] 編集部
« 鈍感は不幸の始まり
::
謙遜し過ぎは魂のケチ »








コメント