『オリバー・ツイスト』 2005年 フランス・イギリス・チェコ ★★★★★
監督 ロマン・ポランスキー
キャスト バーニー・クラーク、ベン・キングズレー
『戦場のピアニスト』でブキミなほど静かに戦争の悲惨さを描いたロマン・ポランスキー監督が、今度は子どものためにと思って作ったのがコレ。原作は、チャールズ・ディケンズの同名小説『オリバー・ツイスト』。みなしごオリバー少年の波乱の半生を描いた、世界名作全集なんかには必ず入ってる、本好きにはおなじみのお話です。
でも、これをあのポランスキー監督が撮るとなると、一体どんなショッキングでキョーレツな映画になるのか?『戦場のピアニスト』の印象があまりにも強くて、観にいくのがちょっとコワかった。トコロが、そんな不安を裏切って、映画はスバラシイのひとことでした!もう、手放しで絶賛!!劇場公開は年明けになるらしいですけど、始まったらまた観にいこうっと!
まず簡単にストーリーを。救貧院で暮らす孤児のオリバーは、給食のおかわりを求めたばかりに、施設から追い出される。葬儀屋に引き取られた彼は、そこでひどいイジメにあい、家を飛び出してロンドンへと向かう。ロンドンに着いたオリバーは、飢えと疲れで行き倒れ寸前に。そこに、スリの少年ドジャーが現れ、彼をどろぼう業の親分フェイギンの所に連れて行く。オリバーは狭い屋根裏部屋でフェイギンとスリの少年たちと共に暮らしはじめる。フェイギンがオリバーを拾ったのは、彼をスリとして育てるためだった。ある日、ドジャーたちの「仕事」を見学していたオリバーは、逃げ遅れて警察につかまってしまう。どろぼうを働いたカドで少年が処刑になった例は過去にいくらでもあった。青ざめて、ブルブル震えながら法廷に立ったオリバーは・・・。
「原作に忠実に」映画化したそうですけど、ひとつ違うところを発見。それは、オリバーの出生の秘密が全部省かれていること。原作では、オリバーを助け、育ててくれる親切な紳士ブラウンロー氏(エドワード・ハードウィック。TVドラマ『シャーロックホームズ』でワトソン君をやった人。)は、実はオリバーの亡き父の親友だったことが判明します。だけど、映画ではオリバーとブラウンロー氏の過去のつながりは一切ない。オリバーは、どんなひどい仕打ちにあってもひたすら人を信じ、きれいな心を持ち続ける。ブラウンロー氏もそんなオリバーを信頼し、自分の子供のように可愛がる。映画では、この二人を何のつながりも持たない他人同士にすることで、無条件に人を信じて愛そうとする、人間の「善」の部分がクローズアップされてるように思えます。
この映画の出来は、何といっても主人公オリバー役にかかってる。オリバーは「きれいな顔立ちなのに、どこか物悲しげな少年」という設定。この役を演じるのは、オーディションで受かった新人バーニー・クラーク。愁いを帯びた大きな目、うっすらと漂う気品。まさに原作のオリバーのイメージに奇跡的なほどぴったり。さらに、演技力がすばらしい。「ウマい」んじゃなくて、「自然」なんです。演技していることをまるで感じさせない。将来すごい俳優になりそうで、ゾクゾクします。
ワキを固めるのも、魅力的なキャラクターばかり。スリの天才・ドジャー(ハリー・イーデン)は、シルクハットにロングコートといういでたち。パイプをふかして大人顔負けのカッコよさ。フェイギン(ベン・キングズレー)は人間離れしたブキミな姿で、まるで妖怪か?と思ってしまう。こういうキャラ、スキです。フェイギンの奇怪な風貌からほとばしり出る感情は、生々しく、激しく、哀しい。冷酷非常な悪人ビル・サイクス(ジェイミー・フォアマン)とブルドックのブルズ・アイのコンビは背筋がゾクッとする怖さ。これだけいいキャストを集められるのも、大物監督のなせるワザですね。
それから、見逃してはならないのが、セットです。19世紀のロンドンの街がすごくリアルに再現されてて、まるで温度や匂いまで感じられそうなんです。映画館にいることを忘れるくらい。最後のエンドロールは見るべし。版画で描かれた当時のロンドンの様子が、映画のシーンと重なって、いい後味を残してくれました。
今回おススメの映画のお伴は・・・

き○この山。冬になると新作チョコがたくさん出ますね。ウキウキ。


















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