インタビュー

秋武 政道さん/昔ながらの自然な味わいを伝え 干物ファン「じじらー」を育てる。

秋武 政道(あきたけ まさみち)さん
『合資会社 じじやのひもの』 店主
じじや太助

北九州市出身。早稲田大学卒業後、干物の加工卸販売業の家業に入り、26歳で3代目の社長を引き継ぐ。10年に渡る倒産の危機を、顧客の声を活かした経営で立て直す。現在、市内に4店舗を展開。2000年のバナナフェアをきっかけに「愛と正義の使者 バ ナナマン」を名乗る。門司港レトロのご当地キャラクターとしても活躍中。

秋武さんへ3つの質問

Q. この仕事に向いている人は?
A. お客様の声を間近に聴ける人。

Q. あなたのバイブルは?
A. 神田昌典の著書「小予算で優良顧客をつかむ方法」

Q. あなたのメンターは?
A. 北九州で頑張っている街づくりの仲間たち。

昔ながらの自然な味わいを伝え
干物ファン「じじらー」を育てる。

門司港の干物屋『じじや』には掟がある。その掟とは、「試食しなければ買ってはいけない」という一風変わったもの。店頭には焼いた干物が何皿も置かれ、訪れた客は次々と試食をすすめられる。「干物の味を知ってもらいたい。しっかり食べて納得してから、買ってもらいたいんです」と話す秋武さん。昔ながらの製法を守り、素朴な味を伝え続ける。

顧客の励ましの声で、経営危機から脱却

干物屋になろうと決めたのは、中学生の頃。大学を卒業すると地元の北九州に戻り、1年半後には父親から社長を引き継いだ。「若さにまかせて、好き勝手やっていました。放漫経営で会社は赤字の道にまっしぐら。倒産寸前でしたね」と当時を振り返る。資金繰りやコミュニケーションなど問題は山積みだった。秋武さんは状況を改善するためにマーケティングを学ぶ。コンサルタントのアドバイスに従い、できることはすぐに実践していった。 赤字の主な原因は過剰投資だった。商品力には自信がある。新鮮な魚を厳選し、保存料などの添加物は一切使わない。創業以来ずっと使い続ける塩汁(しょしる)が味の決め手だ。そんな強みを改めて見直し、顧客の声に真剣に耳を傾けた。顧客の喜びや励ましの声をDMに活用したことをきっかけに、徐々に経営が安定してきた。『じじや』らしさを実直に伝え、ファンを育てる戦略が功を奏した。

『じじや』が実践したマーケティングは成功事例として注目され、秋武さんはセミナー講師として活躍するようになる。ところが、今度は自社の経営が手薄になり、再び窮地に追い込まれた。「門司港という観光地で商売する以上、街全体が繁盛しなければ店も危ない」と考えた秋武さんは、門司港の街づくりに積極的に参加するようになった。

門司港レトロの名物男バナナマン

門司港はバナナのたたき売り発祥の地。14年前に第1回バナナフェアが開催され、イベントを盛り上げるために、秋武さんは原始人風のバナナマンに仮装した。その姿が予想以上に反響を呼び、翌年にはバナナマンの着ぐるみができた。

イベント以外にも、メディアで門司港の案内役を務めるなど、ご当地キャラとして活動するようになった秋武さん。「ボランティアなのに大変でしょう」と周囲からよく言われるが、マスコミ対応の仕方など新たな経験から学べたことも多い。店の宣伝をしていなくても、“バナナマンの干物屋”と興味を持ってくれる人が増え、ありがたく思っている。「子どもからお年寄りまで親しまれる店でありたい。干物のおいしさに気づいてもらえたらうれしいですね」。素朴な味わいの干物と、庶民派のヒーロー像が重なって見えた。

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