「わたし、ひょっとして『うつ』かも!?」 働きながらそう思ったことはない?
いまや身近な病気として取り上げられることも多くなった「うつ」。
でもどのような状態になったら「うつ」なんだろう?
職場にそういう人がいたら、どう対応していけばいいんだろう?
今月は「働くとうつ」について考えてみました。
職場でありえるこんな“気分障害”
~オフィス「U-TSU」の場合~
気分の変調により、苦痛を感じたり、仕事や日常生活に何らかの支障をきたしたりする状態のことを総じて「気分障害」という。うつ病や双極性障害(躁うつ)など、広範囲な精神的疾病がこの分類にあてはまる。ここではあるオフィスをモデルにして、いろんな気分障害やその症状、行動の傾向を見てみよう。
※うつ病などの気分障害は過度なストレスが原因で起こる「脳の病気」。くれぐれも個人の性格が原因でないないことを理解しておこう
SAD(社会不安障害)
他人の注目を集める行動や、他人に悪い評価を受けることへの不安により強い苦痛を感じたり、身体症状が現れることが続き、日常生活に支障をきたす状態。
焦美(32歳・企画)
入社9年目の中堅社員。明るくて社交的、目立ちたがりやな一面もあるが、数年前、本社会議でのプレゼンがうまく行かず、場の失笑を買って以来人前で話すことが極度に怖くなり、そういう機会を避けるようになる。上司や社外の人と対面すると、緊張して書く手が震えることも。周囲とうまくつき合いたいので人には気を遣うタイプだが、疲れてしまうことも。基本的にあまり自分に自信がない。
うつ病
うつ病とは、抑うつ気分や焦燥(しょうそう)、意欲の低下や記憶力・集中力の低下、食欲不振、不眠などを特徴とする病気。
疲労先輩(38歳・経理)
入社15年目のベテラン社員。真面目で仕事はコツコツとこなす。責任感が強く、几帳面な性格で、些細なミスでも強く自分を責める。対立を好まず、自分から折れる傾向があるが不満は溜まる一方。頼まれると嫌と言えず仕事を抱えすぎることも。慢性的な肩こりや疲れがあり、休日には遊びに行く気力が出ず、1日中寝ている。
双極性障害(躁うつ病)
躁うつ病とは、躁状態と、うつ状態を繰り返す病気のこと。
躁社長(56歳・社長)
普段は陽気でダジャレ好き、面倒見もよく気のいい性格だが、時々些細なことをきっかけに興奮して話が止まらなくなり、必要以上に部下を叱り飛ばしたり、会議の場で突飛なアイデアを自信たっぷりに主張する。かと思えば急に悲観的、弱気になって黙り込むこともある。
パニック障害
激しい動悸や発汗、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった体の異常が突然起こり、同時にこのままでは死んでしまうというような強い不安感に襲われる状態。
破裂部長(47歳・部長)
喜怒哀楽が激しく、短気でせっかち。仕事は完璧主義。周囲の期待に応えようと最大限の努力をするが、一度決めたことを変えられない、変える気もない頑固なところも。プライドが高く、自分の失敗を他人に知られたくないと思っている。仲間はずれを極端に恐れる。
新型うつ
20~30代の比較的若年層で多く発症しているのが特徴。自分で責任を感じることが少なく、他人に責任転嫁、逃避する傾向がある。抑うつ気分や意欲の低下などは、従来の典型的うつ病よりも軽症の場合が多い。自己中心的に見えるが、本人なりに苦痛は感じている。
憂井くん(22歳・営業)
真面目で負けず嫌い。嫌な仕事や苦手な人を前にすると気分が悪くなり、逃げるか心を閉ざしてだんまりを決め込む。これではいけないとは感じているが自分ではどうしようもなく、たぶん先輩や上司、または環境が悪いと思っている。仕事の最中は明らかなうつ状態だが、仕事がないときは、自分の趣味に没頭したり、気の合う友人と楽しく遊ぶことができる。
気分障害は、社会生活に支障が出ている時点で、医師や専門家へ相談を。ここではうつやメンタル不調のサインや予防について学ぼう。
うつやメンタルヘルスの不調のサインに気づこう。
【自分で気づく】
●よく眠れない悲しい・憂鬱・沈んだ気分になる
●やる気がでない
●自分には生きる価値がないと感じる
●疲れやすく、身体がだるい。
●肩がこる
●アルコール(飲酒)の量が増えた
眠れないからとお酒を飲むのは逆効果! 深い眠りの妨げになり、自殺の危険を高める。
【周りが気づいてあげる】
●表情の変化が乏しくなる
●髪型や身なりに気を遣わなくなってくる
●付き合いが悪くなってくる
●単調で力のない話し方になる
●仕事などの能率が下がる・普段やらないミスが増える
●遅刻や欠席、急な約束のキャンセルなどが増える
「もしかして…?」と感じたら?
まず「食べる」「寝る」「遊ぶ」のバランスをとって生活のリズムを作ろう。
職場のメンタルヘルスが悪化する原因はなんだろう? ここでは上司と部下の関わり方を見てみよう。
コミュニケーションのズレがストレスの原因になる
部下に必要なこと
意識改革
●一方的に被害者意識を持つのではなく、いろんな人がいて、自分とは違う考え方や捉え方、コミュニケーションの取り方をする人がいるということを理解する。●自分自身の考え方や捉え方、コミュニケーションのクセを知る。(ストレスを感じるのはどういうときか、どんな時にモチベーションが上がるか、人からどう思われたいか、など)
上司に必要なこと
自分自身と部下のストレスマネジメント
●部下に興味を持ち、しっかりと観察する ●コーチングを学ぶ ●部下と接するときに心の内側に起こっていることを自覚し、それが自分の行動に及ぼす影響を自覚する。(部下に馬鹿にされてはいけない、上司は部下よりも知っていなければならない、部下は上司を敬うべきだ、など)
メンタルヘルスを良好に保つためには、まず心と身体が健やかに整っていることが大事です。ですがこれが整っていても会社における関係性や労働環境が悪ければ、メンタルヘルスは悪化します。最近ではパワハラ防止研修の依頼を受けることも増えてきました。上司側がストレスのはけ口として、部下にあたるということもあるからです。お互いのコミュニケーションのズレを埋めていくことが、良好な職場環境につながります。
落ち込むことは誰にでもあること。落ち込みや苦しみが大きくなってつらいときには、相談できる場所が様々あるのでぜひ1人で抱え込まずに利用して。地域の相談機関・窓口を検索できるサイトをご紹介。
うつやメンタルヘルスに関する情報
働く人のメンタルヘルス・サポートサイト「こころの耳」
http://kokoro.mhlw.go.jp/
UTU-NET 「うつをこえて」
http://www.utu-net.com/
こころが軽くなる認知療法活用サイトうつ・不安ネット
http://www.cbtjp.net/
知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/
若者を支えるメンタルヘルスサイトこころもメンテしよう
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/
みんなでなくそう! 職場のパワーハラスメントあかるい職場応援団
http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/
病院検索
ふくおか医療情報ネット
http://www.fmc.fukuoka.med.or.jp/qq/qq40gnmenult.asp
いのちとこころの情報サイト
http://www.ktq-kokoro.jp/
全国の精神保健福祉センター
http://www.zmhwc.jp/centerlist.html