「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が広く知られるようになって久しい。一見、福利厚生施策のようだが、実は仕事とプライベートをうまく調和させることで仕事での成果もあげていくという経営戦略でもある。
園田博美さんは起業以来、「ワーク・ライフマネジメント」のスペシャリストとしての研鑽を重ねてきた。園田さん自身が自らの子育て体験を通して女性の “就職難” や “働きにくさ” と直面してきたことも背景にある。
20代から営業、人事、経営など幅広いキャリアを積み、面接での自己アピールに自信のあった園田さん。しかし、その得意な面接で子育て中とわかると不採用になった。気持ちを叱咤しながら社長に直談判した人材派遣会社にようやく派遣コーディネーターとして採用。
「ところが、クライアント企業が求めている人材像にジャストな優秀な即戦力をコーディネートしようとしても、子育て中だと断られる。企業、人材双方にとって大きな損失です」。この無念さが起業のきっかけとなり独立。『キャリア研究所』では当初からキャリア開発業務に留まらず、経営戦略に則った組織改革、業務改善に注力してきた。近年はクライアント企業の残業削減や生産性向上に取り組む具体的な案件も増えている。
「組織が働きやすくなることで従業員はインプットの時間が取れる。そうすることで生産性は高まり、業績アップにつながる。優秀な人材の離職も防げます」。企業メリットの追求はもちろんだが、何よりも園田さんが応援したいのは働く人の「やりたいことができる人生」。自身もNPO法人『FOCUS』の理事長を務める、「転機を乗り越えた女たちの会」などを主催するなど多色パレットのような “やりたいこと” の持ち主だ。これからも働く環境や働く人々の人生を幸せ色に塗り替えてくれるのだろう。
キャリアコンサルタント
園田 博美さん
1970年福岡県生まれ。1992年大手英会話学校に入社。1997年人事課長に就任。社員の採用から育成、人事考課に携わり、翌年最優秀幹部賞を受賞。毎月の決算報告なども担当し、企業の経営視点を養う。2000年子ども服輸入販売会社を起業。2001年子育てと仕事、自分自身の“満足”を求め、会社を引退。人材派遣会社に再就職。2003年最年少取締役に就任。コーディネーター業務の傍らビジネスマインドを確立し、『キャリア研究所』を設立。2012年NPO法人『FOCUS』設立。九州初のワーク・ライフ・バランスコンサルタントでもある。
▲ 1.九州内の大学や高校の教壇にも立つ園田さん。
▲ 2.キャリア開発とワーク・ライフマネジメントの視点から人と組織の活性化支援を中心に、企業の人財育成研修、若年者の求職支援に取り組んでいる。
▲ 3.34歳でキャリアコンサルタントの資格を取得したのを皮切りに、園田さんは今もさまざまな資格試験に挑み続けている。
株式会社 キャリア研究所/NPO法人 FOCUS
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