女性の管理職登用などが盛んに取り沙汰される割には、その環境づくりには進展の余地がある。なかでも、ながたあいさんの懸案事項だったのは大都市で働く女性と、地方で働く女性の知識やスキル習得の環境格差。「地方でも一流の講師に一流の話が聞ける。そんな “場” を作りたかったんです」。その “場” こそが『好奇心カレッジ』。第1回目の講師はテレビ朝日、玉川徹氏。続いて第2回目は精神科医、名越康文氏を講師に迎えた。「知名度が高いと行ってみようかなっていう気になるでしょ。最初はそれでいいと思うんです。好奇心が動きだしたり、行動するきっかけになれば」。
彼女自身、学び不足を痛感した経験がある。20代後半、地元の中学校で教壇に立っていた。素直に自分の話を受け入れる生徒たちと接しながら、自分はどれだけ世の中のことを知っているのか、自問自答していた。社会経験不足とグローバルな視点の必要性を自覚した彼女は思いきった転職をする。選んだのは外国車の営業職。まずは「お客様第一」の世界で揉まれてみようと思った。商談を重ねるうちに数字に興味を持ち、税理士事務所へ転職。学べば学ぶほど世の中には知らないと損をすることがたくさんあった。それを伝えていきたいという情熱が彼女をコンサルティング会社『アイ・プラット』起業へと駆り立てていく。
「女性が主体的に体験できるチャンスづくりも使命の一つ。『好奇心カレッジ』の参加者の中から “こんな人の話を聞きたい” と手を挙げる人がいれば企画からお任せするチャンスも提供したいと思っています。会社の中で企画部署は花形部署だから配属される人は一握り。そんなチャンスの “格差” も埋めていきたい」。
社名の『アイプラット』は少し高い場所という意味の「プラットホーム」が由来。意識の高い場所でみんなをつなげていくのが願いだ。
経営コンサルタント
ながた あいさん
1980年生まれ。長崎県佐世保市出身。大阪教育大学教育学部日本アジア言語文化コース卒業後、佐世保市の中学校の国語教師に。その後、28歳で外国車のディーラーに営業として転職。営業活動の中で数字に興味を覚え、税理士事務所に転職する。税理士事務所勤務時代、AFPの資格を取得し、多くの経営者との出会いを得る。そのネットワークを生かして、2015年研修事業(好奇心カレッジ)と経営コンサルティング事業を柱とする『i-PLAT』を設立。電子書籍を営業ツールとして活用するプロデュースにも力を入れている。
▲ 1.2016年春、ながたさんは「皇居勤労奉仕」に参加した。天皇皇后両陛下がスタッフに直接労いのお言葉をおかけになる『天皇皇后両陛下の御会釈』に大変な感銘を受けたそうだ。
▲ 2.「好奇心のある女性」を表現した好奇心カレッジのロゴマーク。
▲ 3.2016年4月から開講した『好奇心カレッジ』。日本文化や女性の働き方など多彩なテーマによる講座が好評だ。
i-PLAT(アイプラット)株式会社
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