離婚時に夫の年金を分割する制度があると聞きました。どんな制度ですか?
佐木 さくら 先生
京都大学法学部卒。54期。2001年10月から弁護士としてスタートを切る。弁護士として要求される「離婚」を巡る専門知識・技術を磨くと同時に、「結婚」を巡る知識・技術も磨き、今ではその成果を達成し、私生活も充実している。
年金分割は、年金の報酬比例部分の計算のもとになる、婚姻中の収入の記録を夫婦で分けるという制度です。
年金は、保険料の納付期間によって計算される基礎年金に、働いていた時の収入によって計算される報酬比例部分が足されて、金額が決まります。 年金分割は、報酬比例部分の計算のもとになる、婚姻中の収入の記録を夫婦で分けるという制度です。一般的に、夫婦では夫の収入が多く、妻は家事を分担する分、収入が少ない職についており(又は専業主婦)、その分、年金額が少ないことが多いので、離婚する場合に、その差を平均化するというものです。分割の対象になるのは、結婚期間中の収入に対応する報酬比例部分だけですから、受け取る年金の金額が同じになるわけではありません。また、国民年金や私的な年金(企業年金や年金保険など)は分割の対象ではありません。 年金分割の手続きですが、「年金分割のための情報通知書」を年金事務所(旧社会保険事務所)で取り(※)、家庭裁判所に調停または審判の申し立てをします。(※共済年金(主に公務員)の場合は共済組合の担当部署。)夫と分割の合意が出来ている場合には、公証役場で合意文書を作成する方法もあります。離婚後2年が経つと時効にかかり、年金分割が出来なくなることに注意して下さい。 年金分割については、わかりにくい点がいろいろとあるかと思います。詳しくは是非、弁護士にご相談下さい。
女性協同法律事務所
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「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。