インタビュー

中島 俊介先生/「あるがままの自分」を受け入れて自分も周りもハッピーになろう。

中島 俊介先生
北九州市立大学地域創生学群 基盤教育センター教授
佐賀県生まれ。北九州大学(現・北九州市立大学)を卒業後、会社員、小学校教員などを経て平成21年より現職。心理学、メンタルヘルス、ポジティブ心理学を教える傍ら、執筆・講演活動にも積極的。学術博士・臨床心理士。著書に「心と健康」「こころと人間」(ナカニシヤ出版)「技ありの人間関係」(西日本リビング新聞社)など。

「イラッとしなくなる、幸せな人間関係」について
「あるがままの自分」を受け入れて自分も周りもハッピーになろう。

誰でも、「怒り」「不安」「ゆううつ」など、いろいろな感情にふりまわされて、疲れてしまうこともあるはず。ストレスに負けないタフで柔軟な心を作るには、何が必要なのだろう。心理学の研究から答えを探す、中島俊介先生に話を聞いた。

悩みの本質とは何だろう

先生に悩みを相談する人の、およそ8、9割は人間関係。実際は、関係性そのものではなく、自分の感情に悩んでいる。例えば、「不安」は未来と結びついているので、先の事を楽観的に考え、「なんとかなる」と思うことで軽減できる。また、「ゆううつ」は過去への思いなので、「いつかこの経験が役に立つ」と考えなおすこともできる。しかし現在の「怒り」については、みんな手を焼いている。「受け入れる」「行動に集中することで感情に囚われない」など、あらゆる心理学研究から学び、自分にあった対処法を知っておきたいところだ。

「現在、私のゼミでは、東洋の学問として森田療法、西洋の学問としてアドラー心理学を学ばせています。多くの人が悩む人間関係において、負の感情、特に怒りの感情はとても厄介。アドラーが言うには、相手を支配するために怒りの感情を使うのはコミュニケーションの失敗につながります。とはいえ、怒りという感情は、今、その瞬間に湧き上がるもの。怒りを消し去るようにコントロールするのは、非常に難しい」。

そこで中島先生がお勧めするのが森田療法。感情は心の中に起きる自然現象だからコントロールできないと知ること。しかし行動は変えられる。「たとえばプールで、飛び込みが怖いとします。怖いという感情はそのままにして飛び込むという行動を繰り返せば、怖いという感情に邪魔されずに行動できるようになります」。

「行動」が、「健康な自己愛」への道

「負の感情に囚われたままでも、行動することで道が開く。建設的で適切な行動を繰り返すことで感情と欲求が変化します。「自分の感情」と「他人の感情と評価」は思い通りになりません。行動に集中することで、負の感情はあるがままにします。悪の花(不快な感情)を引っこ抜くことなかれ。根っこは善の花(適切な行動)とつながっていますからね」。

先生が理想的な姿として教えてくれたのは、自己受容できている「健康な自己愛」。自分の短所や負の感情もきちんと受け入れたうえで、自分を許している人のこと。すぐ傷ついたり、人からの評価を気にしすぎたりしないという。

今回のアヴァンティゼミでは、自分を受け入れて「健康な自己愛」になるためのポイントを一緒に考える。両親や友人とのコミュニケーションのズレなどで、健康な自己愛が育つ環境が脅かされる今、自分をきちんと受け入れることでハッピーな人間関係を目指そう。

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