コラム

すでに離婚した夫に、財産分与や養育費の請求はできますか?

夫と早く離婚を成立させたかったので、財産分与や養育費を決めないで離婚届けを提出しました。しかし、子どもたちが高校・大学進学を控え、自分の給料だけでは子供の教育費等が払えそうにありません。今になって離婚した夫に財産分与や養育費の請求はできるでしょうか。

離婚のとき、結婚中にお互いが築いた財産の清算を求めるができます。これを財産分与といいます。

財産分与を求めるためには、まず、話し合いをします。話し合いでまとまらなかったら、調停という家庭裁判所で話し合いをする手続をとることができます。調停でも合意ができなかったとき、審判という手続で裁判所に判断をしてもらうことになります。

財産分与は、離婚が成立してから2年経ってしまうと、請求することができなくなりますので、ご注意下さい。

次に、養育費についてご説明します。夫婦が離婚しても子どもたちの両親であることは変わりなく、子どもたちを育てて行く義務があります。ですので、離婚した後からでも、養育費の支払いを請求することができます。

養育費の請求は、まず相手と話し合いをします。話し合った結果について公正証書を作成することをおすすめします。公正証書は、公証役場に行くと作ってもらえます。

話し合いでまとまらなかった場合には、家庭裁判所に調停を申立てることができます。調停がまとまらなくても、審判によって具体的な額や支払い方法を決定してもらえます。

養育費の額については、標準的な額を定めた算定表(養育費・婚姻費用算定表)があり、養育費を決定する目安になります。算定表は、インターネットで見ることができます。

しかし、算定表は金額が少なすぎるという批判もあります。よりしっかりとした養育費支払いにむけての様々な提言もなされているところです。

答えてくれたのは・・・井芹 美瑛 先生

熊本県出身。九州大学法学部卒業、九州大学法科大学院修了。
2015年、弁護士登録・当事務所に入所。依頼者に寄り添う優しく、問題解決のために尽力する強い弁護士となることが目標。趣味はミュージカル鑑賞と手芸。最近ではホームベーカリーでパンを焼くことにはまっている。

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女性協同法律事務所について

「女性による女性のための法律事務所・女性の権利のための法律センター」を目標に、1989年に事務所を設立。現在では11名の女性弁護士が在籍している。相談者は圧倒的に女性。離婚事件が多く、相続などを含めると約6割が家事事件。つづいて破産・負債整理、セクシュアル・ハラスメントを含む労働事件、少年事件・刑事事件、性暴力や医療過誤、交通事故や学校事故などの損害賠償請求事件、通常の契約をめぐる事件など。法人のメリットをいかし、長期間にわたって「お一人様の老後」の世話をする成年後見の業務にも携わる。

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