インタビュー

岡田 知子先生/団地暮らしが再びあこがれの存在に?! これからの新しい住まいと暮らし方を知ろう。

岡田 知子(おかだ ともこ)先生
西日本工業大学 デザイン学部 建築学科 教授
大阪府出身。大阪市立大学大学院生活環境学科修了。1983年に西日本工業大学に着任。「震災復興計画」、「地域コミュニティ計画」、「東アジアの住まい」など幅広く研究。八幡市民会館リボーン学生提案(市民賞受賞)、折尾マンションリノベーション、徳力団地の再生活動研究など、地域に密着したプロジェクトにも取り組んでいる。趣味は旅行、スキー。

「私たちの住まい・暮らしデザイン」について
団地暮らしが再びあこがれの存在に?!これからの新しい住まいと暮らし方を知ろう。

引越しや転勤が多いこの時期、間取り図を手に新居先を考える人も多いのでは? 「リノベーション」「シェアハウス」も最近では話題になっているこの頃。住まいの話が聞きたいと、今回は西日本工業大学で建築を研究してている岡田先生を取材した。「私たちが普段目にし、口にしているDK(ダイニングキッチン)という言葉、実は日本生まれなのですよ」という先生の一言にびっくり。そこから取材ははじまった。

DK(ダイニングキッチン)は日本特有!?

「私たちが間取りを表すときに使うDKという言葉、これは実は日本特有なのです。普及したのには戦前からの歴史があります。京都大学で住環境の実態調査をしていた西山夘三教授が、庶民の食べる場所と寝る場所を別々にしたいという要求をあきらかにしました。当時の庶民は食事をする間で寝ていたのです」と岡田先生。

西山教授の調査に基づき、その後東京大学の吉武泰水教授が新しい案を作った。

「台所で食事をつくり、台所で食事をするDKの方式を編み出しました。それが戦後の公営住宅や日本住宅公団に取り入れられ、普及し、今に至ります。ダイニングキッチンのおかげで空間の有効的な利用と効率的活用ができました」。

1950年ごろにDKは住まいのあり方として広く定着し、都市部の人々が住む団地のほとんどで採用された。DKを取り入れた先駆的な団地は当時あこがれの住まいとされ、天皇陛下も訪問していたというから驚きだ。

戦後、あこがれの住まいとされたそんな団地も現在では高齢化が進んでおり、いかに若い世代に団地に住んでもらうかが課題となっている。岡田先生の研究生たちは現在北九州を代表する団地の一つである、徳力団地のリノベーション案や活用法について研究している。今後の新しい団地のあり方に注目だ。

“シェア”“コレクティブ”という新しい住スタイル

他人同士が同じ家で暮らす、「シェアハウス」。シェアハウスを素材に使ったテレビ番組もあり、認知度や需要が高まっている。

先生いわく契機となったのは東日本大震災。「震災以降、シェアハウスはコミュニティや交流という側面から注目を集めています。共同スペースでの居住者同士の交流から、一人暮らしで感じる心細さや不安を解消することができます」と先生。近所の付き合いが希薄になってきている現代ならではの求められる暮らしのあり方なのかもしれない。

北欧・スウェーデン発祥の「コレクティブハウス」というものもあり、これは、家族や単身者、高齢者などありとあらゆる世代・世帯・家族構成の人々が大きなひとつの家で共同生活するというもの。今後日本でも新しい住まいのあり方として普及するのではないかと考えられている。「住宅は社会を投影しています」と先生。今回のアヴァンティ・ゼミでこれからの住まいと暮らし方を学ぼう!

先生が手がけた苅田町立白川小学校 (左から 外観・教室・ウッドデッキ)

ABOUT ME
アヴァンティ編集部
アヴァンティ編集部です。 働く女性を応援するお役立ち情報をたくさん提供していきます!
この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます
インタビュー

松尾 宏一先生/患者が少しでも元の生活を取り戻せる副作用の少ない抗がん薬治療をめざして

2016年10月20日
アヴァンティオンライン
自分らしく生きるための抗がん薬治療|患者が少しでも元の生活を取り戻せる副作用の少ない抗がん薬治療をめざして 今月は、がん専門薬剤師として …
インタビュー

岩瀬 由和さん/福岡の夜カフェに、スペシャルティコーヒーを。 消費者のコーヒー観を変えるおいしい一杯を提供したい。

2015年6月22日
アヴァンティオンライン
岩瀬 由和(いわせ よしかず)さんレックコレクティブ株式会社 代表取締役オーナーバリスタ愛知県岡崎市出身。料理人、コーヒー店のアルバイトを経 …
インタビュー

岡本 豊さん/『西鉄』の公式アプリ開発で一躍話題に! IT技術で人々の生活を豊かにしたい。

2014年4月21日
アヴァンティオンライン
岡本 豊(おかもと ゆたか)さん『株式会社からくりもの』代表取締役1983年シンガポール生まれ、6歳から長野在住。長野工業高等専門学校を卒業 …
インタビュー

「ひやっ」「どきっ」を解消し、より多くの人命を助けるために。/AUTHENTIC JAPAN 株式会社

2017年6月20日
アヴァンティオンライン
資本金1億9千万円。まもなく増資して2億5千万円になる予定。そんな莫大な資本がつき、2020年に上場を目指す会社が福岡にある。 「いったい …
インタビュー

星本 聖矢さん/百貨店の食品売り場で培った“現場主義”アイデンティティ。 消費者の声を、市場へ、業界へシェアする若きホープ。

2014年8月20日
アヴァンティオンライン
星本 聖矢(ほしもと せいや)さん『株式会社岩田屋三越』 福岡三越 総菜・レストラン・地下・他階催事 担当佐賀県出身。福岡大学卒業後『株式 …