インタビュー

日々谷 健司さん/豊かな資源と市民パワーで撮影をサポート 不可能を可能にする “映画の街 北九州”

日々谷 健司(ひびたにけんじ)さん
『北九州フィルム・コミッション』事務局長
北九州市広報室フィルム・コミッション担当課長

福岡県遠賀郡水巻町出身。1989年に北九州市役所に入庁し、図書館、港湾局、総務局勤務を経て、2000年広報室イメージアップ班(現 北九州フィルム・コミッション)に配属。行動力と熱意で数々の映画撮影を誘致。日本のフィルム・コミッション界のカリスマ的存在として活躍する。

日々谷さんへ3つの質問

Q. この仕事に向いている人は?
A. 度胸はあるけど、ビビり(心配性)の人。

Q. あなたのバイブルは?
A. 「成りあがりHow to be BIG―矢沢永吉激論集」

Q. あなたのメンターは?
A. 矢沢永吉。人生で大事なことは、すべて永ちゃんから教わりました。

豊かな資源と市民パワーで撮影をサポート
不可能を可能にする “映画の街 北九州”

全国初のフィルム・コミッション

映画やドラマなどのロケ誘致、支援を行っている『北九州フィルム・コミッション(KFC)』。市のイメージアップを目的に、映像を通してまちの魅力を発信しようと1989年に日本初のFC組織として設立された。当初は旅や情報番組が中心だったが、2000年に日々谷健司さんが配属され、映画・ドラマの誘致に取り組んだ。「FCには、業界人を雇ったほうがいいのでは」と案じる上司に、日々谷さんは「自分がその業界人になるから心配ない」と言った。

初めて誘致した映画では、1カ月間撮影スタッフと寝食を共にして徹底的にサポート。このとき築いた信頼関係が実を結び、KFCは着々と実績を伸ばす。熱心なサポート体制が評判になり、様々な映画のロケ地として選ばれるようになった。「地の利がない北九州が東京からロケを呼ぶためには、他が真似できないことをしないといけない。信頼を得たことが成功の要因です」。

迫力あるシーンを撮るために

日々谷さんの戦略は2つあった。1つは北九州にしかないロケ地をアピールすること。昭和の街並みが生きる環境は全国的にも珍しく、撮影舞台として大きな魅力があった。「もう1つはド派手な撮影。勝負をかけてうまくいったから今があるんです」と力強く語る。 空港を舞台にした撮影、大規模な道路封鎖、繁華街での爆発シーン。日本では不可能といわれる撮影を、積極的に誘致してきた。

「派手な撮影は大迷惑行為です。だから許可されないことを前提に、いろいろな関係者を回ってダメな理由を聞く。それを一つひとつ地道につぶしていけば、不可能なことはないんですよ。迷惑を最小限に抑えるためには最大限の準備が大事。いつもビビりながらやっています(笑)」。 現在のKFCメンバーは6人。それぞれ役割分担をしながらチームで問題解決に当たり、不可能が可能になる瞬間を幾度も体験してきた。

北九州を映画で遊ぶ街に

大自然や文化遺産に恵まれた環境、KFCの支援体制と約7000人の市民エキストラ、200本近い映画・ドラマの撮影実績。ものづくりのまちの強みをベースに、北九州は“映画の街”として新たな魅力を育ててきた。昨年放映されたテレビドラマ「MOZU」では、小倉のデパート前で爆弾テロのロケを敢行。制作への協力体制が高く評価され、FC組織として初の「東京ドラマアウォード2014」特別賞を受賞した。

「映画をまちづくりにもっと活用していきたい」と話す日々谷さん。海外からも映画を誘致し、ロケ地を観光資源として活かしていく考えだ。市民の理解を深めるために、撮影時の見学マナーや啓発活動にも力を入れていく。「北九州全部貸します! と、制作側に言えるようにしたい。市民の皆さんと映画でもっと遊びたいですね」。日々谷さんは地域という舞台に光を当て、ワクワクする街を創っていく。

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