インタビュー

小野 郁さん/いくら学んでもゴールがない “地域づくり” この上なく難しいから、最高におもしろい

小野 郁(おの かおる)さん
株式会社リクルート ライフスタイルじゃらん
リサーチセンターエリアプロデューサー
大分県豊後大野市出身。学生時代はプロを目指すほど野球に熱中。大学卒業後はスポーツに関わる仕事をした後2005年に『株式会社リクルート』に転職。九州と東北で宿泊施設への営業を6年担当し、2011年から2年間『一般社団法人天草宝島観光協会』へ出向。現在は九州のエリアプロデューサーとして、主に福岡県と大分県を担当。単身赴任中で、女児2人の父親でもある。

 

小野さんへ3つの質問

Q.この仕事に向いている人は?
A.圧倒的な当事者意識を持てる人。

Q.あなたのバイブルは?
A.最も重視しているのは書物ではなく「人の声」。人の話から受け取るものを大切にしています。

Q.あなたのメンターは?
A.『株式会社バリュー・クリエーション・サービス』の佐藤真一さん。多大な影響を受けています。

いくら学んでもゴールがない “地域づくり” この上なく難しいから、最高におもしろい

地域に飛び込み、地域と向き合う

「大きな会社で自分がどれだけ通用するか試したい」と『株式会社リクルート』に入社して10年。たまたま配属された観光の仕事に魅せられた小野さんは、スマートでソフトな印象だが、観光の話になると一気に熱を帯びる。宿泊施設への営業や地域づくりなどに関わってきた中で「最も刺激的だったのは出向時代」と振り返る。

32歳のとき、『一般社団法人天草宝島観光協会』に2年間出向。自治体からの補助金で成り立つ観光協会が自主財源で運営できるように、事業を見直し“稼げる組織”にするのが使命だった。しかし、着任最初待っていたのは協会の努力に反して「観光協会は地域の役にたっているのか」「よそから来て何をしようとしているのか」という地域の人たちの厳しい声。税金で運営されている観光協会はシビアな目で見られていること、自分がそう簡単には受け入れてもらえないことを痛感した。

波乱の幕開けとなったが、小野さんは地域の人と地道にコミュニケーションを取ることで、少しずつ信頼関係を築いていった。「大切にしたのは、共有し共感し協働すること。観光の仕事は地域にどれだけ熱を持ち愛情を注ぎ、時間をかけ、泥臭くやったかが重要なんです」と語る。小さな目標を立ててトライする目標追求型で様々な人と手をつなぎ、隠れた名物だった寿司に着目したイベントなど、新しい企画も実現。結果的に1年間で約1,000万円の営業収入をうみ、地域と観光協会のよき繋ぎ手として信頼を得た。

一方、地域から学ぶことも多かった。例えば「人は何歳でもチャレンジできる」ということ。牛深地区の民宿は宿主が高齢化し、ITの波に取り残されて客足が減る一方。小野さんがインターネットの勉強会を企画すると、それまでパソコンに触れたこともない高齢の宿主たちが中古パソコンを購入して参加してくれた。「電源の入れ方から学び、立ち上げた宿泊サイトから予約が入ると『予約が入ったよ』と報告の電話をくれるんです。何歳になっても挑戦する姿勢に感服し、本当にうれしかった」と目を細める。地域と真剣に向き合い続けた小野さん、出向が終わる時には毎日のように送別会が開かれた。小野さんが認められ、地域に受け入れられた何よりの証だろう。

将来は生まれ育った大分に貢献したい

現在はエリアプロデューサーとして、九州各地の地域開発に携わる。「地域づくりは難しいからこそやりがいがある」と力を込める。「うまくいかないことの方が多いけれど、粘り強く続けることが大事。地域にはそれぞれ個性があり、地域づくりに正解はありません。とにかく地域と向き合い、その土地の方から学び続けていきたい」。そんな小野さんには、いつか実現したい目標がある。それは地元大分に帰り、地域づくりに関わること。地元を元気にする日を夢みて、小野さんは今日も熱い心で各地を駆けめぐる。

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